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「四月になれば彼女は」:川村元気の原作小説を丁寧に映画化。映像のクオリティはなかなかだが、ラストも含め、?な感じが拭えない。。

<あらすじ>
四月。精神科医の藤代俊(佐藤健)のもとに、かつての恋人・伊予田春(森七菜)から手紙が届く。“天空の鏡”と呼ばれるウユニ塩湖からの手紙には、十年前の初恋の記憶が記されていた。ウユニ、プラハ、アイスランド。その後も世界各地から届く春の手紙。その頃、藤代は婚約者の坂本弥生(長澤まさみ)と結婚の準備を進めていた。だが、弥生は“愛を終わらせない方法、それは何でしょう”という謎掛けだけを残して突然、姿を消す。春はなぜ手紙を書いてきたのか? 弥生はどこへ消えたのか? ふたつの謎は、やがて繋がっていき……。

KINENOTEより

評価:★★☆
(五段階評価:★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高、☆が最低)

「電車男」(2005年)、「告白」(2010年)の映画プロデュースとして名を上げ、近年では細田守監督の「バケモノの子」(2015年)、新海誠監督の「君の名は」(2016年)などの大ヒット作で一躍名プロデューサーに躍り出た川村元気さんの原作小説映画化作品。本作と同じ、佐藤健主演で2012年に発表した小説「世界から猫が消えたなら」も、2016年に映画化されているので実写映画化プロジェクトとしては第2弾となる作品。監督は、宇多田ヒカルなどのMVを手掛け、本作で劇映画監督デビューとなる山田智和。

同じ原作者、同じ主演で取り組んでいるからかもしれないですが、映画のパッと見の印象は「世界から猫が消えたなら」(2016年)と良くも悪くもあんまり変わらない。。ちょっとゆったり感がある穏やかな男性像はどちらも共通で、前作(続編ではないけど笑)は宮崎あおい、本作は森七菜という、一目見ただけでちょっと印象に残る女性を物語の中心で据えているという形も同じ。それにお話自体も、過去の恋愛にまつわる想いで展開していくという形も結構そっくり。それでもいいなと思うのは、独特の映像の美しさでしょう。本作では、森七菜演じる伊予田がかつての恋人で、本作の主人公となる藤代との旅行するはずだった場所をたどっていくという中で、ウユニ、プラハ、アイスランドと世界の名所・絶景スポットとなっているところを巡っていくので、スクリーンに映えないわけはない。いいなと思うのは、単純に風景として素晴らしいだけでなく、伊予田が旅行していく中で、現地の空気感が見える形で表現されていることや、それがかつて学生時代に2人がカメラを通じて出会い、日常を映していった様の延長として位置づけられているところ(雨宿りしている二人のシーンとか、最高かよって思うw)が、2人の恋愛劇をとてもリアルなものに仕立てている効果となっていると思います。

ただ本作、映像や音(環境音)として素晴らしいところは満載だけど、お話は??っとなるところが多い。特に、終盤で伊予田と、今の恋人・長澤まさみ演じる坂本がクロスオーバーしてくるところとか、僕は正直、”こわっ、ホラーかよ”って思ってしまいました(本作ファンの方、すいませんm(__)m)。恋愛劇としては愛すること、そして愛されることをお互いが感じ合うというところを描くのは重要だとは思うのですが、それを突き詰めすぎると逆効果ということの典型かなと感じる作品でした(恋心抱く追っかけも、ストーカーと紙一重ですらかね。。)。ただ、作品の雰囲気は素晴らしいと思うので、鑑賞時は大きな画面・スクリーンで堪能してもらえたらと思います。

<鑑賞劇場>TOHOシネマズくずはモールにて



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