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「映画ドラえもん のび太の地球交響楽」:ドラえもんシリーズの中では異色の音楽映画。冒険色は薄目だけど、これはこれで面白い!

<あらすじ>
学校の音楽会に向けて、苦手なリコーダーの練習をしているのび太(声:大原めぐみ)。そんな彼の前に現れた不思議な少女・ミッカ(声:平野莉亜菜)は、のび太の吹くのんびりのんきな“の”の音を気に入り、音楽がエネルギーになる惑星でつくられた“音楽【ファーレ】の殿堂”にドラえもん(声:水田わさび)たちを招待する。実はミッカはこの殿堂を救うため、一緒に演奏をする音楽の達人【ヴィルトゥオーゾ】を探していたのだ。ひみつ道具『音楽家ライセンス』を使って楽器を選び、ミッカと共に演奏することで少しずつ殿堂を復活させていくドラえもんたち。だが、世界から音楽を消してしまう不気味な生命体が現れ、地球にも危機が迫る。“音楽”の未来、そして地球を守るため、ドラえもんたちの大冒険が始まった……。

KINENOTEより

評価:★★★☆
(五段階評価:★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高、☆が最低)

原作ではなく、アニメとしてスタートしたドラえもんと僕は同い年。映画も第1作「のび太の恐竜」が公開されたのは1980年で、今年で44年目(映画としては43作目)。初代からの大山のぶ代世代から観ると、今のドラえもんは新シリーズと映るかもしれませんが、今の水田わさび世代に変わったのが2005年なので、それでももう20年(映画としては2006年公開の26作「のび太の恐竜2006」から)となるので本当に月日が経つのは早いもの。26作目以降数作は以前のリバイバルシリーズと交互の公開が続きましたが、近作は完全にオリジナルになっています。そして、今回取り上げるのは音楽がテーマとなる、本作的な音楽映画。音楽がエネルギーとなる移動惑星「ファーレ」を助けるというのが主題になりますが、「ファーレ」自体が地球の近くにやってくるので冒険色は少し薄め。そんな中でも、独自の面白さを出しているので、ドラえもん映画の中では少し異色・そしてある意味エポック的な作品にもなるのかなと思います。

前にも何かの感想文で触れたと思うのですが、最近の歴史・民族研究の中で、人と人が結束力というか、チーム・集団として1つに感じる瞬間というのが、食事を共にする(料理も含む)ことと、音楽を供することの2つが挙げられるらしいことを何かの本で読みました(いろいろあやふやですが笑)。今でもデートするときとか、友人・同僚と距離を縮めたいときには食事を共にすることはよく行われると思うのですが、このもう1つの音楽を供する機会ってなかなかないんじゃないかと思います。僕は今、会社員なんだけど会社員でないという微妙な立場で仕事をしているので、いわゆるサラリーマン的な立場じゃなくなって久しいのですが、それこそサラリーマン時代に新人歓迎会や忘年会などの二次会でカラオケとかいくと、普段オフィスでは感じられないキャラクターを各自の歌で感じることができたり、みんなで簡単な曲を合唱的に歌うとやっぱり結束力を感じてしまうなど、音楽というのは不思議な力を持っているなと感じさせられるところがあったりします。考えれば、今でも海外では友人を迎えたり、親戚が集まったりするところで、踊りに興じたり、ギターなり、ピアノなり持ち出して何か歌うということも普通に行われたりしています。日本ではカラオケ以外で、そうした人との関係を音楽で彩るというお洒落なことをする人も、できる人も少ないかと思いますが(笑)、社会的な関係の中で音楽の存在意義を感じれる機会を作るということも重要なのかと観ていて感じました。

と、小難しいことは抜きにして(笑)、本作の楽しいのは、いつものドラえもんの仲間たちが音楽とともに各個人の成長や、仲間との団結感を楽しむことができます。しずちゃんが原作コミックではバイオリンとか習っていたかと思うのにパーカッションだったりと??な設定があったりもしますが、音楽で大事な単純に譜面や音階を追うだけでなく、メロディやリズムに想いを込めていく大事さもしっかり描かれているので、音楽をそれなりにやっている人も受け入れられる作品(のび太の変なメロディがミッカにウケてしまうところとか、不思議な設定の意味が分かる)になっています。アドベンチャーを楽しみたい男の子にはちょい不満を感じるかもですが、全ての子どもたちに楽しんでほしいなと思う作品だと思います。

<鑑賞劇場>TOHOシネマズくずはモールにて


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