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「DUNE デューン砂の惑星」、「デューン 砂の惑星PART2」:PART2公開に合わせて、第1作目と並行鑑賞。1作目の期待感がPART2に繋がらなかったのが残念。。

<あらすじ>(PART2のみ)
その惑星を制する者が全宇宙を制すると言われる“砂の惑星デューン”こと惑星アラキスをめぐり、宇宙戦争が勃発。アトレイデス家とハルコンネン家の壮絶な戦いは100年間続いた末に、ハルコンネン家の陰謀により、アトレイデス家は後継者・ポール(ティモシー・シャラメ)を残し一族皆殺しにされてしまった。ポールは砂漠の民チャニ(ゼンデイヤ)と心を通わせ、やがてその絆が彼を救世主としての運命に導いていき、宇宙の命運が決まる最終決戦がついに始まる。

KINENOTEより

評価:★★★(PART2のみ)
(五段階評価:★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高、☆が最低)
→ちなみに1作目は★4つ

「メッセージ」(2016年)、「ブレードランナー2049」(2020年)とSFの良作を生み出してきたフランスの鬼才ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が、1965年に発売されたフランク・ハーバートの同名小説を映画化した作品。ちなみに原作小説は「スター・ウォーズ」(1977年)(砂の惑星タトゥイーン?)であったり、宮崎駿監督の「風の谷のナウシカ」(1984年)(サンドワーム=オウム?)にも影響を与えているといわれるくらいのSFの金字塔的作品であり、原作小説の発表以降、多くのクリエイターたちが映画化に挑戦して断念しているという歴史があったりします(この辺りは、「ホドロフスキーのDUNE」(2013年)というドキュメンタリー映画になっていて、これも面白いです)。そして1984年に、デヴィッド・リンチ監督によって待望の映画化されたものの、シリーズ作品も含め、長尺の原作に対して2時間30分にも満たない形で映像化されていることも含め、ちょっとファンにとっては盛り上がらない内容だったらしいです(こちらは未見)。その後、2000年代に入ってテレビシリーズ化もされたりしましたが、満を持して、ドゥニ監督によって現在のVFXを駆使した映像化が行われただけにファンにとっては期待高まる公開となりました。

と書いておいてなんですが、僕は第1印象を書いてしまうとあまりノレなかったです。原作小説は未読ですが、今回の映画化された2本の作品は原作小説のシリーズ1作目を前後に分けた形になっているとか。題名にもある”砂の惑星デューン”を巡って、主人公ポールが跡を継ぐアトレイデス家と、宇宙を統治する大領家連合の命により、一旦デューンを離れたハルコンネン家が再び攻め入るニ家の対立劇が基軸となっています。1作目は、デューンを統治し始めたアトレイデス家に撤退していたハルコンネン家が夜襲をかけ、ポールの父であるレト公爵を暗殺。不意を突かれたアトレイデス家は兵力のほとんどを失い、跡継ぎのポールと母ジェシカは近臣に護られながら、命からがら砂漠の自由民フランメの居留地まで逃げ込むまでが描かれます。そして2作目となるPART2では、砂漠に住みつく巨獣サンドワームを操ることでフランメに認められたポールが、ハルコンネン家に復讐をしていくという形で話が進んでいきます。なので、話自体は結構ありがちなところでもあり、ポールがハルコンネン家の居城に少数精鋭で攻め込みながら、フランメたちが「スター・ウォーズ」の共和国軍みたく背景で大規模攻撃をかけていくというスタイルは、この作品から生まれたといっても過言無く進みます。でも、このポールが結構曲者で、(ネタバレになるので詳しくは触れないですが)あるものを味方につけたり、あるものを裏切ったりと、「スター・ウォーズ」のルークみたく純粋な勇者像では描かれないので、これはこれで真のヒーローなぞいないというアンチテーゼ的なところを突いているのかもですが、単純にエンターテイメントとしては楽しみにくい要因になっていると思います。

映画を観終えたイメージでいうと、この物語って、「ロミオとジュリエット」的な単純な2家の対立に対し、日本だと平安時代の藤原氏と天皇家との血脈に関する争いみたいのが、過去・未来含めて繰り広げられる(これにはフランメの長老だったり、2家を操る大領家だったり、女性だけの理想人類を作る組織ベネ・ゲセリットが絡んでくるのですが)というのがミックスされている印象です。ここにいろいろな現実世界の宗教の対立構造であったり、ナチズムなどの理想主義やマイノリティたちへの攻撃であったりとかが、様々な要素として物語に反映されているのですが、SF小説ならまだしも、映画のエンターテイメントとして盛り込むのはちょっと無理があるかなと思いました。アメリカでのヒットというのも多民族国家ならではの問題点に共感する人が多かったのに対し、日本では早々に公開規模が小さくなった(なかなかの苦戦だった)のも文化背景の違いかなと感じたりしてしまいます。

話としてはちょっとと思うところが多かった鑑賞になりましたが、IMAXフル(1:1.43比)での圧倒的な映像は迫力満点でした。でも、いい意味でも悪い意味でも、ノーラン監督の「ダンケルク」(2017年)を観たときの感動と比べると徐々に薄れているなと思ってしまいました(笑)。人間の慣れというのも恐ろしいものです。。

<鑑賞劇場>両作品とも、109シネマズ大阪エキスポシティ IMAXレーザーGTにて

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