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「不死身ラヴァーズ」:両想いになると相手が消える謎のラブコメディ。アイディアは面白いが、お話は思ったほど、、

<あらすじ>
幼少期に出会った少年・甲野じゅん(佐藤寛太)のことを運命の相手だと信じてずっと探してきた長谷部りの(見上愛)は、中学の後輩で陸上選手であるじゅんを見つける。喜んだりのはマネージャーを買って出て、陸上競技会のチーム戦に挑むじゅんを支えながら熱烈に想いを伝えた。その勢いに戸惑うじゅんだったが、そのまっすぐな熱意に次第に惹かれていく。そして二人は両想いになるが、その瞬間、じゅんは存在自体はじめからなかったかのように跡形もなく消えてしまう。自分以外の誰もじゅんのことを覚えておらず、りのは呆然とするばかり。それからもりのは何度も甲野じゅんを見つけては恋に落ちていった。高校の軽音部の先輩であっても、登下校の際に見かけた車椅子の男性であっても、アルバイト先のクリーニング店の店主であっても、りのは運命の相手のじゅんを見つけては恋に落ち、好きだと全力で伝えていく。しかしそれでも両想いになった途端にじゅんは消えてしまうのだった。それでも諦めないりののどこまでも真っすぐな想いが、奇跡を起こす。

KINENOTEより

評価:★★☆
(五段階評価:★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高、☆が最低)

恋することをしたことがあるなら、誰しもこういうタイプの人は惹かれるということはあるでしょう。それは相手の髪型や身長・体重など見た目的なことかもしれないし、ちょっとしたことの動作だったり、足が早いとか、力持ちとかの特徴的なことかもしれない。僕も結構自認していることがあって、こういう要素を持ち合わせていると、ふっとした出会いがあったときに今でも惹かれてしまうという気持ち悪いオッサンであることの自認している部分はあります(笑:決して、ここでは言いませんが)。本作は、こうしたちょっとした相手の要素に惹かれ続けるということを、逆に利用したワンアイディア・ムービーになっています。

主人公・長谷部りのは、本人も覚えていないくらいの小さなときに不思議な出会いをする。そのときに出会った少年・甲野じゅんを運命の相手と思った彼女は、じゅんをひたすら追いかける人生を歩み始めるが、彼と出会い、両想いになった途端に、なぜかじゅんは突然いなくなってしまう。おまけに周りの人間も、”じゅんって、誰?”という始末。しかし、彼女は再び以前のじゅんとは違った彼と出会うのだが、いつも決まって両想いになると彼は再び消えてしまうのだった。いつの瞬間もあきらめきれない彼女は、街角でじゅんを見つける度に、彼にもうアプローチをかけていくのだが、いつも結果は同じ。。摩訶不思議な世界に迷い込んだ彼女ではあったが、真実は違うところにあったのだが。。

告白や両想いな状態になるたびに、その恋がいつもリセットされてしまう(おまけに悲しいことにじゅんの存在すらなかったことになる)不思議な設定の恋物語だが、それでも彼女は恋をあきらめないというバイタリティがすごい。僕自身、青春時代といわれたときは今よりだいぶ奥手だったので、いいなと思う人がいても声すらかけれないキモ男だったので、なりふり構わず恋に邁進していくりのの姿はうらやましいというか、例え、キモいと思われても事を進めなかった自分を今ではすごく後悔しているので、人生前向きというのは(特に青春時代は)重要だなと思います。ただ、物語としては、このお話、細田守の「時をかける少女」(2006年)のようなSF物語ではなく、じゅんがいなくなるのはちゃんとした設定があるのだけど、これが僕の中ではなんかスッキリしない。スッキリしないから、りのの親友・田中に終盤いろいろ説明させるのだが、このネタばらし的なところもちょっと正直成功しているとは思えないのです。ネタ自体は悪くはないので、もうちょっとSF的な部分にこだわった見せ方を前半にすれば、ネタばらし以降の後半部分も盛り上がれたのかなーと思うだけに、ちょっと残念な作品でした。

<鑑賞劇場>アップリンク京都にて


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