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「ソウルフル・ワールド」:人生で本当に大切な価値あるときとは。。人は結局盲目だったりする。

<あらすじ>
ジャズ・ミュージシャンを夢見る音楽教師のジョー(声:ジェイミー・フォックス)。ある日、彼はニューヨークでいちばん有名なジャズクラブで演奏するチャンスを掴むが、夢が叶う直前にマンホールに落下してしまい、ソウル(魂)たちが地上に生まれる前にどんな自分になるかを決める世界に迷い込む。そこで、やりたいことを見つけられず、人間に生まれたくないと何百年もソウルの世界に留まっている22番と呼ばれるソウル(ティナ・フェイ)と出会う。夢のため、地上での人生を取り戻したいジョーは22番に協力を求めるが……。

KINENOTEより

評価:★★★★
(五段階評価:★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高、☆が最低)

先日鑑賞した「あの夏のルカ」(2021年)に引き続き、コロナ禍によって日本公開が見送られたピクサーシリーズ。僕は劇場では見ていないのですが、ディズニー・プラス(ディズニーの動画配信サブスクサービス)で公開時に鑑賞していて、全編にキーになるジャズバーでの演奏シーンを劇場で見たく、今回の再上映に合わせてスクリーンで堪能することができました。人生における幸せとは、、に迫った物語も、コロナ禍という厳しい時期を乗り越えた私たちにとっては重要なメッセージだったんじゃないかと今振り返ると思います。

この感想文を書いているときは、人間の感情をキャラクター化したピクサー人気作「インサイド・ヘッド」(2015年)の続編公開が控えているのですが、本作の主人公たちも造形のない”魂”というものをキャラクター化した意欲作。近作では、「マイ・エレメント」(2023年)もそうでしたが、感情なり、魂なり、エレメント(世界の構成要素)なり、抽象化したキャラクターというのは子どもとかが真似て描くのは簡単なんですが、マーチャンダイジングが得意なディズニー目線でいうと、キャラのフィギュアやぬいぐるみというが作ってもあまり売れない(造形があまりにもあまりにもなので笑)のに、作品として作り切っちゃうのがさすがピクサーと思っちゃうところです。実際、本作も人間界から、魂の世界にお話が移っても、造形は同じでも一人一人がちゃんと性格づけられていて、物語というエッセンスが降りかかると活き活きしてくる。3DCGアニメという先駆を今も突っ走りながら、古風な物語主義を貫くピクサーの玄人さに感心するところでもあります。

ついでに関係ない話をしてしまうと、今「このプリン、今食べるか?ガマンするか?」(柿内尚文著)を読んでいるのですが、この本のテーマがまさに本作のような人生という有限時間をどのようにコントロールするかを描かれていて面白いです。もちろん長い人生の中で、子どもを育てないととか、親の介護がとか、お金がないからとか、学生だからとか、、様々な理由で、パワハラ職場やいじめのあるクラスで苦しい人生を送っている人もいると思います。でも、事故や事件に巻き込まれて、一瞬でその人生に幕が下りることもなくはないのです。そのときが訪れたとき、”きっと、なぜ今??”と僕も思っちゃうと思うのですが、そのときに公開しないように、苦しい今でも如何に「幸せな時間」を送るのかがやっぱり重要なのかなと思います。じゃあ、自分にとっての幸せは何なのか?それはきっと十人十色だと思うのですが、本作を観て、都度都度自分の人生プラン(時間プラン)を見直すようなきっかけにしたい秀作です。

<鑑賞劇場>TOHOシネマズくずはモールにて


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