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島根で考えた地域の資源とか日本とか

こんにちは。

前半に引き続き、島根に4泊5日してきた時のことを書きたいと思います。

後半は、温泉津で教えてもらったり考えたりした、温泉津のこととか、日本のこととかを残したいと思います。

〜前半はこちら〜


温泉津のこと

まず、温泉津っていうくらいで、やっぱり温泉があります。

共同浴場が2軒あって、真ん中に番頭さんがいて、男女が分かれている昔ながらのやつ。

どちらも効能が高いようで傷口があったら滲みるかも。ちなみに入湯料が安い方はなんとシャワーもありません💦

シャワーない方笑
番頭のおばちゃんの愛想が良い。

お風呂場も周辺の風景も、レトロ。つくられたレトロじゃなくて、本当に昔の形そのままのレトロ。

大きな旅館があるわけでもなく、コンビニのような現代的なものがあるわけでもなく、夜は行灯だけがホワっと灯っている感じ。

タイムスリップしたかのような、いや、そんな具体的なものではないけど、とにかくいつもと違う感覚だし、なぜか落ち着きます。


小林さんのサウナ

そして、温泉街にある、小林さんがブランディングとか工事に関わった「時津風」っていうサウナが最高でした。

小林さんの里山から獲れた木材を使用し、木造の古い建物をリノベしています。

とにかくサウナが面白い。1階がサウナ。厳密には1.5階。サウナストーンやストーブには島根の石州瓦が使われていて、下で火をつける独特の構造。

入った時は40〜50℃で、構造も変わってるし、そういうぬるいやつかな〜とたかをくくっていたら、熱波師の方が現れて、ロウリュ→アウスグース!一気に全身から汗が。「うぉ〜」と唸るしかありません。

その後は、水風呂を済ませて2階の外気浴スペースへ。ここは古民家の2階スペースを改装していて、窓がない剥き出しの空間に、インフィニティチェア。緑を間近に感じながら、そよ風にあたってととのい。最高。

ととのった時の独特の頭がグワーってなる感じありますよね。いつも僕サウナ3周してて、だんだんあのグワー感は回を重なるにつれ弱くなっていきます。でも時津風は、3回ともFULL MAX。3回とも僕を中心に地球が回ります。

時津風の独特の手作り感が、逆に人の感覚に合っているからか、最高のととのいを与えてくれるのかなと思います。


地域の瓦のこと

先ほど出てきましたが、この石見地方は石州瓦という瓦が有名。独特の赤みがあって、島根・山口のあたりのお家は本当にこればっかり。独特の景観を作り出しています。

私、この瓦めっちゃ凄いと思うんです。

列車から見えた、統一感のある家々

この石州瓦、日本三大瓦に選ばれています。

瓦に使われる土も釉薬(塗り薬)もこの土地で採れたものを使用しています。

土には石の磁器的な頑丈さがあるようで、また瓦の中でも比較的高温で焼き上げることから、水を吸いません。

このようにつくられた石州瓦は、日本海側の過酷な気候に耐え得る頑強さを持つため、この地方の家の屋根には石州瓦だけが使われる!という状況が生まれています。

登り窯が現存。
瓦だけでなく焼き物もあり、
水瓶や日用の食器がつくられている。

それに加え、この重たい瓦を支えられる丈夫な家が新しく作られることも少ないため、新しく大企業が開発に入ったりすることがなく、昔ながらの景観が保護されています。

また、この強さが評価された結果、ロシアや北海道など他地域でも利用されているようです。

その土地で採れたものが、その土地で加工され、その土地で必要とされ、利用されている。また他の地域でもそれが評価されている。

地域性みたいなものを考えるなら格好のフィールドだなと思い、感動しました。


資源はある

資源は瓦だけじゃありません。小林さんがやっている里山にもたくさんの資源があります。

さっきの時津風も里山の木材を使用しているし、作業場づくりに使った木も、里山から切り出してきたもの。

手を入れながら、必要な資源を頂いて活用していく。里山の理想的なあり方ですよね。

小林さんが切ってきた木を製材して作りました

木材は石炭など燃料になるし、余った薄い木は柵の土台になったり。おがくずも工夫すればプロダクトに変わる。すごい。

私もTURNSのようなまちづくりに関わる本を読んだりプレイヤーさんの話を聞いたりして、「地方には資源が溢れている」とよく聞いていました。

うーん、正直、確かにものはあるかも知れないけど、どこでも同じじゃん、そんな活かせるものがあるのか、などと思っていました。

でも、それを活かせると見極めて、どう活かすか思い浮かべて、実際に手を動かす。色々努力も必要そうですが、まずその資源に感動できる自分の感性を持てれば、いくらでも活用できるなと思いました。

もっともっと、色んなところでたくさんの人と話し、もののルーツやことの仕組みの深いところまで知り、課題意識を持ち、物事を愛せるようになる。

これができれば、自分の人生ももっと豊かにできそうです。頑張ろう。


歪んだ仕組み

少し話は飛びますが、昨今ウッドショックとか言って、木材が不足・高騰した結果、建築業界が阿鼻叫喚、みたいな状況を見聞きします。シンプルにホームセンターでベニヤ買おうと思っても高すぎて躊躇います。

小林さんは言います。目の前に木がたくさんあるのに、手に入らない。なんだこの状況、と。

これは、木材の物流の仕組みをあまりに効率化しすぎたせいで、輸入先などなにか1つ崩れたらものづくりまで全てが崩れてしまっているという状況です。

効率的すぎると変化に弱く脆いんです。

せっかく資源は近くにあるのに。

近くの山で伐採し、保管して、ここで製材する
そしてこの作業場の2階作りに使われる

そして、今の林業に携わる人たちは、「伐採」「製材」など縦割りされた自分の仕事以外のことに対して目を向けていない場合が多いそう。

もっと産業の構造全体を見て、いちばん重要な課題を見つけてそれを解決していく人を増やさないと、この歪んだ状況は無くならない。

ものづくりの過程に携わる様々な人々の間に、分断が生まれている。この分断をなくすために、小林さんは自らが担い手となって行動しています。

日本のこと

先ほどの石州瓦のような、日本やその地域独自の文化ってたくさんありますよね。でも、どんどん衰退していっていることも、よく言われています。

果たしてこれの何が問題なのでしょうか。

無知な私はやっぱり「文化がなくなったら面白くはないけど、困るかなぁ。使わないものもあるしなぁ。」とハナクソをほじってました。(嘘です実際にハナクソほじってたのは小学生まで)

でも、そうです。自分の国である程度循環できないと、ウッドショックみたいなことが全ての産業で起こり始めるのです。

例えば、極端な話ですが、鎖国したらどうなるでしょうか。身近な食べ物や生活必需品の大半が供給されなくなりますよね。

小林さんから聞いた話ですが、海外の人は日本をとても面白い国だと評価してくれているそうです。画一化・効率化された産業がたくさんあるのに、日本各地で小さくも豊かで奥深い、面白い文化がたくさん残っている、と。反対に海外では画一化されたものだけが残り、どこにいっても同じものばかりだそうです。

総じて、これまで大事に培われてきた文化や産業を残さないと、将来的に自分たちの仕事や生活に影響が出てくるということだと思います。

正直、この内容を語るには、自分には説得力がないことを実感しています。

でも、理由は明確に説明できないけど、どこかでやっぱりそういう日本の個性的な物事を残していきたい!と感じていますし、そこに関わることができる行動を1つ1つ進めていきます。

焦らず急いで色々勉強していきますので暖かく見守っていただけると幸いです。


地方は手が足りない

そして、地域のそういった個性的な文化や産業は、なぜ危機に瀕しているのでしょうか。お金が足りないのでしょうか。アイデアがないのでしょうか。

小林さんは「人が足りない」と言います。

外から来てアイデアを出す人はたくさんいる。けど、結局それを実現する人がいない。担い手がいないんだ、と。

僕が今回温泉津で少しだけ意識したことがあります。

それは、喋る前に手を動かすこと。

喋ってしか分からないことがあるのは確かですが、なんか、最初からズケズケ聞くのは違うなと思って。特に今回。

温泉津に集った他のメンバーより半日ほど早く温泉津に到着して、小林さんと交流しました。

色々気になることはあったけど、まずは一緒に作業をしました。

その場で分からないことは聞くけど、小林さんの意図とか考えは保留で。

そうすると、意外と空いた時間で小林さんの方から色々教えてくれたり、なんか、笑い合えたり。

話して情報を共有するのも良いですが、同じ作業やテンポを共有することで、体感レベルでもっと目線を近づけることができたんじゃないかなと思います。

いくら話す内容で寄り添っても、結局どのくらい相手の力になれるかは、どれだけ手を動かして、どれだけ物が動いたか、仕事ができたかでしか測れないし、そうやって関わることでしか人の心を動かすことは出来ないなぁと感じます。

今まで、関わったけど良いことばっかり言って何もしてこなかった人や場所がありました。

それに不足感を抱いていた自分がいて、今回こういった変化が感じられたのは成長かなーと思います。


マキノの頭の中

小林さんは学生時代に、デザインで救える範囲が小さいことに気づいたことで、職人育成・販路開拓・里山再生に取り組み始めました。

マキノにはこの思考回路がスッと入ってきたのです。

というのも、私も芸術工学部でデザインを学びつつ、大学のまちづくりサークルに入って、サークル内唯一のデザイン系の学部ということで、いくつかデザインをしてきました。

その中で、学部で専攻しているプロダクトや工学系のデザインでは変えられないことがたくさんあることに気づきました。

何か事業をするときに、デザインで良いアウトプットをつくるだけよりもっと必要なことがある。

補助金を取ったり、もっと色んな人に営業に行き、仕組みを理解してもらったり。

凝ってつくったサークルの活動紹介資料
今見ると、読みたくない…笑

そうなるとデザインの力って弱いなあと思い、色々考えて就職先も決めました。何かの事業会社というより、どちらかというとコンサルとか代理店に近い方です。

またLIVE DESIGN Schoolも、広義のデザインと掲げているように、そういう働き方が出来たらなと思っています。

でもですよ、確かに課題解決には色んな活動が必要ですが、小林さんのように1つ1つへのコミットがないと立ち行きません。

自分は確かに色々な視点で物事を考えられるようになった反面、集中する部分を大学時代に怠ってきたように感じています。

だから、そういう視点の高さみたいなものは、低いだけじゃ何もならないけど、高ければ良いわけでもないんだなと思います。

コントロールできたら良いですよね。めっちゃむずいと思うけど。

あと、来年からの仕事のことも色々と考えてしまいます。幅広く考えることができる立ち位置だからこそ、逆に何してるんだろうってなりそう。伴走者的なポジションになりがちな仕事だし。

島根で気付いたように、可能な限り一緒に手を動かしてみる。責任を持つ。そうやって物事を進めていこうと思います。

その視点で会社の環境に限界を感じた時が、仕事を変える時ってことなのかもですねー。

あと、島根に行ってから、日常のアルバイトとか友達と話す時でも、自分の発言が言っているだけで相手の行動を期待しているなとか、言う前にやらないといけないことじゃないかとか、節々に感じるようになりました。

自分が納得できる行動と発言のバランスを尽くしていくことも、目標になりました。


仲間たち

そういえば、今回集まったのは、LIVE DESIGN Schoolの参加者の中で有志の約10名。全国各地から集まりました。私は福岡から。

物理的には福岡が一番近いんですが
行きは6時間・帰りは18時間かかりました

この皆さんがいたからこそ、今回のフィールドワークがめちゃめちゃ楽しかったんだと思います。

またいろんな地域で会って話したいなぁと思ってしまいます。

みんな、なんか、話しやすいんです。小林さんも「居心地が良い」とおっしゃっていました。

最高だぜぇ〜🐢

そしてそれは、肩書きで人を判断しない人たちが集まっていたからなのかなと思います。

来ていた人の肩書きは、ディレクター・公務員・学生・自宅警備員など様々でしたが、みんな過去のことを気にしすぎることなく、今どう感じたか、これからどうしていくか、みたいな創造的な話ができていたように感じます。

なんか、年上だしめっちゃ経験豊富だし、それをヒシヒシと感じるんだけど、ずっと知り合いだったみたいにフランクに話せちゃう、みたいな。

今回のワークを取りまとめてくれていた人が、人と会う時に
「なるべく人に名刺を渡したくない」
と言っていたのが正にそういうことだったのかなと思います。

自分はサークルに入っていた時は名刺を作ってホイホイ交換し合ってました。それは大人ごっこみたいで楽しかったし、名刺をデザインの対象として見る分には面白かったです。

サークルでつくった名刺
今見るとおもてのデザイン変やな〜

でも、本当にお互いのことを知って仲良くなったり、一緒に良いものをつくるような状況になった時は、名刺の有無は関係ないし、名刺頼りになるのも、肩書きで語り合うのも違うなーと思いました。この心忘れたくないですね。

帰りは18時間

長く充実した温泉津フィールドワークでしたが、帰り道は京都から車で来た人たちに連行され、京都経由で帰りました(移動距離3倍)とても楽しかったです。関西弁が移りかけました。

滞在時間:1時間
よるごはん:駅前のなか卯

以上です!

もっとこういうことしたいし、どこでも行くのでぜひぜひ呼んでくださいな〜

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