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迷う前に、まずは『初めの一文』を書いてみて。~ライティング研修開催レポート~

2022年5月~6月に、全3回の『ライティング研修』をオンライン開催しました。講師は、YELL FORの運営メンバーであり、フリーライターとして個人でも様々な記事に取り組む木谷さん。米子高専を卒業され理系の出身ですが、現在は「コミュニケーション」と「ものづくり」に興味をもち、分野にとらわれず様々なプロジェクトに関わり活動をされています。

ライティングは、在宅ワークでも人気のお仕事。企業様の広報やコンテンツ制作を代行するYELL FORの中でも、書く仕事の割合は高く、ほとんどのYELL FORメンバーが通る道です。
YELL FORでは、業務に必要なスキルを学ぶ研修を定期的に開催しています。今回の『ライティング研修』では、基本的なライティングの知識から、リモートワークでのライティング業務への向き合い方について教えていただきました。

このレポートでは、講師の木谷さんへのインタビューをもとに、ライティング研修の内容を振り返ってお伝えします。

実経験を共有するところから始まったライティング研修

ーーまずはじめに、ライティング研修を開催するに至った経緯を教えていただけませんか?

私がYELL FORに参加したのは昨年8月からなのですが、実務としてライティングを始めたメンバーから、「難しい」といった声があがっていました。実は、私は以前から文章を書いたりクラウドソーシングで校正などをしていたのですが、なぜかその素性が知れ渡り(笑)。クライアントワークの流れや、校正する際のチェックポイントは押さえていたので、その経験を共有する意味でも、昨年10月に第一回ライティング研修を開催しました。

昨年の研修が好評だったため、今年の新規メンバーに向けては、実際の業務を始める前に研修に参加してもらいました。ライティングに対するハードルを下げるためにも、「まずはやってみよう」と、研修で最初の一歩を投げかけたかったのが主な理由です。

ーー実務前に研修があると安心ですよね。研修の内容は、ライティング初心者向けだったのでしょうか。

そうですね。参加者には、研修前にアンケートを取ったのですが、大学のレポート作成やSNSで文章には慣れているけれど、仕事としての「商業的な文章」にはあまり携わってきていない印象でした。なので、この研修は「これからライターとしてやっていきたい!」という人向けの内容を意識しました。また、YELL FORとしては、リモートワークができる人材を育てることも目指しているので、私のライターとしての経験談など、実務にあたって役立つような情報も伝えるようにしました。

ライティングいろは、最初の関門「文字起こし」

①文字起こし、②整文、③文章化の全3回で構成されたライティング研修。参加者には、研修前に1本の音源が渡され、「文字起こし」の事前課題に取り組んでもらったそう。

ーー研修前に文字起こしの課題をこなすのは、初心者にはいきなりハードルが高かったのではないでしょうか?!

「文字起こし」とは、音源を文字にする、文章化のための素材集めのこと。ライティング業務には欠かせないプロセスですが、実はかなり大変な作業なんです!平均して音源×5倍の時間を要すると言われていますが、音質や話し手のしゃべり癖、テーマの内容次第で作業時間は相当変わってきます。「文字起こしってこんなに時間がかかるんだ!」ということを参加者に実感してほしくて、あえて事前課題として、文字起こしを体験してもらいました。

課題は、12分程度のインタビュー音源。専門的な内容だったので、初めて文字起こしに取り組んだみなさんは、結構苦戦したんじゃないかと思います。その大変さを実感してもらった後に、文字起こしのいろはを研修で伝えました。

ーー難しさを体感した後の研修は、すごく身になりそうです!研修①「文字起こし編」では、どんなことをお話されたのでしょうか?

研修①では、文字起こしの基本認識や押さえておきたい専門用語、仕事を受注する際のポイントなどについて話しました。

研修①内で使用したスライド〜文字起こしの基本認識

~文字起こしの基本用語~
【逐語起こし】 あー、えーなど話し手の口癖も含め、             
        音源を全部文字に起こす
【ケバ取り】  「それが無くてもあきらかに伝わる言葉」を削除する
【要約】    文章を最小限にまとめる
【整文】    ほぼ完成形の形まで仕上げる

※参考
国語好きを活かして在宅ワーク・副業を始める 文字起こし&テープ起こし即戦力ドリル


文字起こしの仕上がりには、ケバ取りや要約などいくつかの種類がありますが、クライアントが正しく認識していない場合もあります。
例えば、ケバ取りの依頼を受けたとしても、クライアントが整文までをイメージしていれば、その形で納品しないといけません。余分なやり直しを増やさないためにも、双方の齟齬をなくし完成形のイメージをすり合わせることは重要で、受注側のライターが基本知識をもっておくことはマストなんです。

また、納期までの作業時間を逆算してイメージすることも大事です。短い納期設定で依頼がくることも多いので、自分のキャパシティに合わせて納期の相談ができるようになるためにも、文字起こしにどれだけ時間がかかるかを、事前課題で体感してもらいました。

クライアント・読者の立場で「一番伝えたいこと」を見つける

研修②内で使用したスライド~記事作成の基本知識

ーー文字起こしの次のステップ、研修②「整文編」はどのような内容だったのでしょうか?

整文では、文字起こしで集めた素材を取捨選択したり、文章をまとめあげる力が必要になってきます。研修②では、整語や整文の仕方について、よりテクニック的な部分を伝えました。

研修では、参加者からの相談も受けたのですが、その中でも多かった悩みが「整文について」でした。話者の人柄やオリジナリティを残したいけれど、文章は整えないといけない。素材の取捨選択や、話者の意図を変えずに文章を再構築していくことが難しいと感じているようでした。

理想は、文章の中で一番言いたいことを見つけ出して、それが際立つように整文すること。もちろん、商業的な文章なので、主観ではなく、クライアントやその記事を読む読者が求めるものを意識することが大切です。ここでも、クライアントとのすり合わせがポイント。うまくヒアリングできなくても、過去の記事を読んでリサーチするなど、出来るだけクライアントの立場になって考えることが重要です。

迷う前にまずは書きはじめてみて!文章力よりも大事なこと

研修研修③内で使用したスライド〜文章化の話

ーー記事化の最終段階「文章化」では、文章力やセンスが問われそうですが……。研修③「文章化編」では、どのようなお話をされたのでしょうか?

ライティングのテクニック的な部分は研修①、②で説明していたので、研修③ではモチベーションの上げ方など、よりメンタル面にフォーカスした話をしました。

文章を書く仕組みが分かっていても、「書けない時」ってどうしてもあるんです。人ぞれぞれで生活リズムも予定も異なるので、それぞれのバイオリズムに合わせて、いかに納期までの段取りを立てられるかが重要になってきます。

また、文章ってセンスが必要だと思われがちですが、実は合理的にできていて、パズルのように組み立てていけば完成します。だから、「まずは書いてみよう!」と。100%完成形でなくても、納品後にクライアントや校正担当が整えてくれるので大丈夫。書き始める前に自分の中でハードルを上げてしまわないで、ということを伝えました。

研修③内で使用したスライド〜文章化の話

気軽に相談・助け合える横のつながりをつくろう

ーー在宅ワークとして需要が高いライティング業務ですが、リモートだからこそ発生する問題もあるのでしょうか?

参加者には、事前課題の内容で文章化まで仕上げてもらったのですが、「他のメンバーはもっと出来ているのでは?」「課題に時間がかかるのは自分のやり方が悪いのでは?」という不安が多い印象でした。リモートワークだと、相談できる相手が目の前にいない状態なので、余計に不安を感じてしまうのかもしれないです。

一度不安を抱え込むと大変なので、全体を通して、参加者同士で横のつながりが生まれるような場づくりを意識しました。ひとりで戦わないで相談してほしいことや、情報共有できる場所があることを伝えたかったのです。
通常の業務委託だと、仕事を受注して納品するのみ、という場合がほとんどだと思います。その点YELL FORでは、Slack上で気軽に話せるコミュニティもあるので、初心者でも安心ですよね。

研修の様子~参加者にとっては悩み相談や情報共有の場にも
研修の様子~これからはじまるライティング実務もがんばります!

きっかけは、様々。
まずはやってみて「新しい好き」を見つけられたら

「もともと読書が好きだった」という木谷さんですが、理系の畑から現在のライター業を始めたきっかけは、接客業での経験だったそう。仕事中に起こった1シーンに、オチや笑いを付けては話す、ということを繰り返しているうちに、物語を考えたり書くことが好きになったと言います。
そのため、ひるまないで「まずはやってみて!」という想いがあったそう。やってみないと、自分の向き不向きにも気づけません。きっかけって本当に分からないものだと、木谷さん自身の経験が一番に物語っているようでした。

全3回の研修では、参加者同士でもつながりや志気が高まった様子。和気あいあいとした雰囲気の中、相談や情報交換が飛び交う場となりました。ライティングの知識はもちろんですが、「分かりやすくて楽しかった!」という参加者の感想通り、新しい「好き」や「得意」を見つけられた時間にもなったのでは、と思いました。

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