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『聴く』力が経営力を左右する②|聴き合う組織をつくる『YeLL』のnote

こんにちは。エールの篠田真貴子です。
前回は、「きくこと」が経営にとって大切とは、どういうことかをお話ししました。

経営においては、新しい価値を創造し(イノベーション)、 組織の人々の方向を揃えてこれを実現し(社内コミュニケーション)、その過程で様々なステークホルダーと理解をすり合わせていくこと(社外コミュニケーション)が必要です。
これらの活動全てにおいて対話、つまり背景や文脈が異なる相手や、自分と利害が必ずしも一致しない相手とのコミュニケーションが必須です。そうしたコミュニケーションには、「聴く」ことが欠かせません。

少し具体的に見ていきましょう。

<イノベーション>

世の中にない新しい価値、あるいはこれまでなかった新たな問題解決方法も提供する営みです。ポストイットなど革新的な製品を生み出し続けているスリーエム社の昆社長は、イノベーションについてこう語っています。

イノベーターがアイデアを出すには、彼らの脳みそが一番気持ち良い状態で、なおかつ、その脳の中に異質で良質な知識を入れ込んでおく必要があります。

イノベーターの頭の中に異質な考えを入れるということは、自分の考えは保持したまま異なる専門分野の知見を受け止めるということです。それには、自分の専門分野とは異なる背景や文脈を持つ人とやり取りする必要があります。それは「聴く」こと、つまり相手の「肯定的意図」に注意をむけてきくことに他なりません。

<社内コミュニケーション>

経営方針を社内に伝え方向性を揃えていくのは、経営者の大切な役割です。
経営者と社員は立場が違いますから、 日頃接している情報や大切にしていることなど背景や文脈がお互いに異なります。経営者は経営方針を発信するのはもちろんですが、従業員との対話、 言い換えると従業員の声を聴くことも欠かせません。聴くことで、自分の発信がどう受け止められたか分かり、今後どのように伝えていったらよいか示唆を得ることができます。

経営層からのメッセージを受け取る従業員達にも聴く力が必要です。
経営層のメッセージに対し、「肯定的意図」に注意をむけてきくことができれば、会社の理念や方針が自分にとってどのような意味を持つか、建設的に考えるようになります。意見が異なる場合も、それを建設的に表明できるでしょう。逆に、 斜に構えたり評論家的になる従業員は、経営層の「肯定的意図」を考慮してないのではないでしょうか。

このように書いている私も、リーダーに対してリーダーの肯定的意図をに注意を向けられていないことがよくあります。
例えば安倍前首相がコロナ対策としてマスクの配布を発表した時のことです。私にとっては期待外れの発表内容で、口さがなくテレビに向かって文句を言っていました。 しかしその時、エール代表の櫻井さんは、「みんな、安倍さんの肯定的意図を全く見てないですよね」と言ったのです。はっとしました。「肯定的意図」に注意をむけることの意味を理解できた出来事でした。

<社外コミュニケーション>

事業を進めるには、取引先、株主、地域社会など、様々なステークホルダーに会社の方針を理解してもらうことが必要です。 経営者は、組織内の考え方や都合を背景に、経営方針を立てています。社外のステークホルダーとは、背景や文脈を共有できていません。そんな相手とコミュニケーションをとるには、「聴く」力が特に重要です。一般的に「対話」と言われているコミュニケーションは、「聴く」ことなしには成立しないのですから。

ここまで経営の主な活動であるイノベーション、社内コミュニケーション、社外コミュニケーション、どれも「聴く」なしには成立しないことを見てきました。

「聴く」ことは上司として部下とのコミュニケーションの際に留意するべきことなだけではありません。より幅広く、高い視座を求められる場面で必要なビジネススキルです。

「聴く」ことがもたらしてくれる可能性について、少しでも興味を持って頂けたら嬉しいです。


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