読書メモ #13 『夜明けのすべて』 瀬尾まいこ
去年読んだのをもう1回読み返した。
PMS(月経前症候群)がひどい主人公と、同じ会社にいるパニック障害の男の人の話。
メインの登場人物が若い男女、しかもPMSという病気は女性のみのものだけど、だからといって男女の話になっていないのが好きなところだ。恋愛にならないし、男女の友情でもないし、生理に理解のない男性の描写もないのがありきたりじゃなくて良い。
山添くんが変化したのは藤沢さんのお節介の賜物だと思うけど、それ以上にお節介をお節介だと言ってはねのけられる山添くんのデリカシーのなさのおかげな気もする。パニック障害に限らず、自分で自分の行動範囲を必要以上に制限してしまっている人には、藤沢さんくらい図々しく入り込んできてくれる存在が必要かもなあ。
あと、粟田金属の雰囲気がかなり好きだ。
仕事に何を求めるかは人それぞれだし正しいことはないけど、やりがいとか世間からの評価とか、そういうのにがんじがらめになるのはやだなぁと読む度に思う。
仕事で自己実現しなきゃと躍起になってる人は眩しくも見えるけど、ほんとに自分の意思なのかなと思ってしまう。夢を叶えることも自己実現も、フィールドはたくさんあるのになあ。私の志が低いのかもしれないし、現実主義を装った生ぬるい思考なのかもしれないけど。
あなたにとっての正解が私の望むものでもあると思わないで欲しい。そういうのは親だけでじゅうぶん。
藤沢さんも山添くんもお互いにそれをわきまえているからいい影響を与えあえたように思う。もっとも、2人が恋愛でも友情でもない淡白な関係性だったからこそ実現したのかもしれない。
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