見出し画像

読書メモ #8 『発光地帯』 川上未映子 エモいと恋愛

図書館で借りた。

あとがきを読むと、元々は食エッセイの予定だったらしい。でも川上さんがその後に続けているように、食の要素はわりとまばら。そういうテーマだったと言われなければ気が付かなかった。
分かりやすく特徴的な食材が出てくることもなく、強いて言えば エシャロットの塩漬け が印象的だ。

「スノードーム前々夜」が好き、というか図書館でこの部分を少し読んで借りることを決めた。
自分が死んだあと遺言通りに周りの人は動いてくれるのか、その遺言にスノードーム50個の行き先を書いておく。スノードームをもらったその人が、それを捨てていいのはいつになるのか。
「五十個もあると。きれいだね。」の終わり方が切なくてお気に入りだ。

「純愛に、触れることはできません」で語られていた純愛による自殺。
恋愛感情によって自死を選ぶことが、純愛によるよるものになるためには川上さんがいうように、それが第三者に伝わってはいけない。
あなたの事が好きだから、でも辛いから死ぬね!と言い残して死ぬのは純愛とはいえなくて、ただの恋愛になる。
相手に、誰かに、知って欲しいという感情が背景にあるだけでそれは純愛ではなくなると。もちろん遺書もだめ。
純愛による自死を川上さんの言った通りに定義するなら、それはなんか「エモい」ものになりそう。

恋愛とエモいを組み合わせると私は途端に大きめの声で言いたくなることがある。言わせてもらいますが。
浮気と不倫とタバコとセフレはエモくないから!!!!!!
タバコはごめん、諸説ある。
該当ツイートを見つけられなかったが、好きな人がいるけど2番目に好きな人と結婚する、みたいなのがエモい!とバズってたのが見ていてしんどかった。誰と結婚しようが勝手だけど、胸の中に別の人がいるなら責任もってしまっとけ、エモがるな、キモイの間違いだからな。
元恋人との写真とか、手紙とかそういうのを後から掘り出して懐かしくなるのはギリギリエモい。現恋人がいるなら別だけど。

このトピックにおいての私自身の考え、意見はかなり確固たるものだけど、それを曲げてする恋愛はエモい?と頭によぎった。そんなもんかもしれない。

この記事が参加している募集

#読書感想文

190,092件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?