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僕もLIFEから30年後の未来にいたよ

小沢健二がLIFE発売30周年を記念して発売日と同じ8月31日に日本武道館で再現ライブをする。小沢健二・LIFE再現・武道館。この3つが揃っていて行かない理由があるだろうか。

まえがき

というわけで参戦したチケット争奪戦は想像を超えて激しいものになり、負けに負け続け最終抽選に漏れてもはやこれまで…と思ったが、最後にいつも一緒に行く仲間から立ち見で当選のLINEが来た。

連絡が来たのが18時前だったのでそこからローチケでTシャツ買ったり、せっかくだから散髪したり札幌からの飛行機とホテルを探してわちゃわちゃしながら当日を迎えた。

天気は相変わらず読めないなか、早めのフライトで東京に行きつばめグリルで昼食を取り大きな玉ねぎの下へ行きグッズの引き換えを済ませた。ライブの看板は予想外の手書き文字。これは上がる。

当然この後矢印の下でも撮った

その後、仲間と合流してお茶してから本番の会場へ。当然すごい混雑。九段下の駅から「チケット求む」の紙を持った人を久しぶりに見て、さながらお祭り会場のようだった。

そう、今回のライブはLIFE発売翌年95年のGWあたりに武道館であったVILLAGEというコンサートに近い感じがあった。これは2018年のコンサートが渋谷系同窓会の感じがあったのと対照的だと思う。

会場

座席にはシールを使って紙が貼られていた。これは広げるとながーーい1枚の紙で二段組になっていくつかの曲の歌詞が書かれていた。そしてツルツルの質感。そう,FAXで送られたものということだった。

ツルツルで長い紙(感熱紙ではないけど質感はほぼ同じ)
不在メモですね

ステージは武道館に合わせたやや非対称な八角形を基調に三段に積み上がっていた。ギター木暮さんのツイートが分かりやすい。

ちなみにキーボードは最大で3人と言ってて,2セットは見つけた。ベースのところにもキーボードが1台あったからそれも使ったのかな?一応撮影禁止となっていたのでお絵描きで。2段目のバランスが悪いのは画力の問題でホントはちゃんときれいな八角形。

アリーナ席とステージを区切る柵は無く,メンバー(キッズコーラスやスチャ)も必要に応じて舞台を降りて最前列で見ていた。

センターステージだけど、立ち見は初めてなんで見え方が気になり思い調べたところ、やはり前の人が立つと見えづらく、踏み台が必要ということで、先逹に従いキャンプ用の折りたたみイスを持参した。

これは大当たりで、おかけで公演中のストレスは全くなかった。

開演まで会場ではアナウンスと「THE RIVER / あの川」(アルバム「毎日の環境学」より)が交互に流れ続けたていたが約20分(体感)遅れで会場の照明が消えスタート。

LIFE is coming back!(内容)

セットリストはその手のサイトもあるけど,MCなんかも含めた完全版はかがりはるきさんのツイートを参照しよう。

事前にインスタのストーリーで小沢くんから提灯画像のダウンロードをするよう言われていて,会場の外にもQRコードが貼られていたり,開演前のMCでも強調されていた。

流れ星ビバップ」(ちなみに一番好きな曲)の歌詞が付いていたのできっと本番でやるんだろうと思っていたら,入場に続けて序盤から「提灯を付けて!」とMCで言って合唱だった。ステージのライトがほぼ消えた中で1万人のピンクのライトが灯され全体がピンクになり,舞台にある譜面用の照明と合わさった光景はなかなか面白かった。

写真は撮れないのでイメージで

第一部はリクエストを参考にするということだったけど,どうも古い曲が多かったようで,最近はこういう曲だよということでそちらもけっこう入っていた。今回の選曲で驚いたのは「旅人たち」「大人になれば」という「球体を奏でる音楽」から2曲を入れて,ゲストで渋谷毅さん(84歳!)がピアノを弾いていたこと。当時ベースを弾いた川端民夫さんは鬼籍に入られていて,岩見継吾さんが弾いていた(川端さんの名前もコールしてた)。「球体」が出た当時ジャズ研究会にいたのもあってぜひライブで!と思っていたが,チケットを取り損ね,ビデオ収録までしていたけど結局リリースされず部分的に徹子の部屋などで流されただけだったのでこちらも忘れ物を取りに来た感じだった。

音響の引用としては,ホーンセクションの音量がやや抑えめでベースがけっこう強めに出ていたように感じた。センターステージがそういうものかもしれないし,LIFE再現ということも加味したのだろうか。

第二部は第一部から休憩時間もなくMCだけで入った。あらかじめ最後が「愛し愛されて生きるのさ」と言ってたので曲順は変えるんだなとは思っていたが,完全に逆順と聞いて驚いた。完全に逆順なので,最初は「いちょう並木のセレナーデ」のオルゴールから。これはパーカッションの人が何かで再現するのかと思ったら小沢くんが自分でオルゴールを回していた(と思う)。

そして最終曲だった「おやすみなさい、仔猫ちゃん!」はキッズコーラスが入って可愛らしかった(ちなみに当日は子供の客が1000人ぐらいいたらしく,小さい子の鳴き声なんかも良い雰囲気を出していた)。この曲は当時ホーン類がかなり柔らかい音だなあと思っていたけど,今回はGAMOさんがソプラノサックス,北原さんがユーフォニアム,NARGOさんがたぶんフリューゲルホルン(分からなかった)だった。なるほどねえ(クレジットを見直せばいいのだけどちょっとCDを取り出すまでかかる)。

そこから間髪を入れず「ぼくらが旅に出る理由」。思い出したのが,29年前のVILLAGEのとき,入場曲(VILLAGEのテーマ。まだ歌詞カードなしで歌えるぞ)に続けてやったのがこの曲だったのだ。そう,コンサートがまさに始まるぞって曲。そのせいか,なんかこの30年のいろんなことが駆け巡っていった。そのせいか,僕はイントロで情けないぐらい大泣きに泣けてしまい,まわりに悟られないようにするのが大変だった。

その後も逆順に再現していったのだけど,ただ淡々とやるわけではなく,曲の合間にいくつかオーケストラで短い変奏曲が入っていた。これがはじめは同じ曲とは思えないときもあり,その後見事に知っているフレーズになって終わり,とても良いアクセントになっていた。

客席の風景で思ったのは,もうあまりみんなドアノックダンスってやらないんだなあということ。僕は気にせず思いきりやっていたし,まわりもまあまあやってたと思うけど,明らかに減ってて「これが30年かあ」とも思った。でもオーケストラ指揮の服部さんは前と変わらずしっかり踊っていた。

東京恋愛専科の始まりはホーンで基本のメロディーをくり返し,それに合わせて客席も手を叩いていただのだけど小沢くんから「オリジナルは1,2,3は休んで4だけ叩く」という指導が入って,みんなしてそれをやってた。僕のところからはオーケストラの人たちの様子が見えて,もちろんやっていたので合わせやすかったように思う。しかしこの「4だけで叩く」というのはまったく気づいてなかった。30年目の発見。

この曲もそうだけど,フェードアウトで終わる曲もけっこうあり,その再現をどうするの?と思ったらフェードアウトしてた。そして「だめー!」て戻ってみたり。

そんな感じで進んでいき,最後は「愛し愛されて生きるのさ」を弾き語り+客席で。これは真城めぐみさん(ヒックスヴィル)のインスタライブがとてもクオリティが高くてすばらしいのでそちらを。

MCでも言っていたけど,これから30年先の2054年って途方もなく遠くて,それを考えると1994年からここまで30年は途方もなく遠いところだった。

そんな途方もない世界から,最後は小沢くんとみんなのカウントダウン(ついでに言えばこのカウントダウンは「みんな」でやるのがとても好き)と供に生活に帰ってきた。もちろん僕ももう生活に帰っているし,4日には口頭発表,7日からはポーランドの学会でポスター発表が待ってる。ほどなく後期も始まる。

そういう1日1日のLIFE(日常の生活)を豊かにしてくれるそんなライブだった。

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