見出し画像

奨学金貸与率を見て軽い絶望を覚えた


タイトルが全てを語ってしまっているのだけど,ちょっと調べ物があってJASSO(日本学生支援機構)のページにある奨学金の貸与・返還のデータを眺めていたら,ちょっと頭がクラクラしてきてしまった。というのも,東京大学の貸与率があまりに低いからである。同機構によれば,全国の貸与率は37.5%である。

スクリーンショット 2019-12-10 15.37.57

一方,東京大学の貸与率は約10%(11.93%)である。

スクリーンショット 2019-12-10 15.33.38

奨学金の貸与率が低いということは,それだけ親が太い(お金がある)ということを意味する。これはもう十分知られた話であると思うが,東京大学に通う学生の親は平均年収が高いと言われている。

大学の条件(都心部・地方/国公立・私立/四大・短大等)によって様々だが,私の場合,勤務校が50%程度ということを知っていたのでこの数字には本当に驚かされてしまった。それでいくつかの条件を決めて検索していったところ表題にあるように軽い絶望に近い感覚を覚えた。あまり気持ちのいい話ではないだろうから,コーヒーでも紅茶でも飲みながらお付き合いいただきたい。

東大に限らず在京国立大の貸与率が低い

上では東大を出したが,この割合の低さは東大に限ったものではない。東京にある国立大学のデータを以下に示す(割合の降順にしている)。

スクリーンショット 2019-12-10 15.40.56

東京大学は最も低いのではあるが,どこも平均以下である。つまり,東京の国立大学に通っている学生はけっこうな割合で実家にお金がある。

東京の私大もそこまで貸与率は高くない

もっとも国立大学は私立大学よりも学費が安いので借りる必要がないということは十分にありうる。そこでなんとなく思いつく大学という程度だがいくつかの東京の私立大学をピックアップした結果を示そう。

スクリーンショット 2019-12-10 15.43.59

大東文化大学を除いて(これはなんとなく理由がつくが,後ほど)いずれも平均以下である。慶應義塾大学にいたっては10%を切っていて笑うしかない。つまり,これは「東京」ということが効いている可能性が高い。

東京からの距離が効いてる説

上の可能性を検証するには東京以外の関東圏の国立大学のデータを見るのがいい。そこでやはりいくつかの大学をピックアップした結果を以下に示す。選んだ大学はテキトーなので全部調べればまた違う結果になるかもしれないが。

スクリーンショット 2019-12-10 15.47.36

ここで注目してほしいのは宇都宮大学と茨城大学といういずれも北関東の(失礼ながら)ややマイナーな国立大学に比べて東京に近い(近そう)な千葉大学や横浜国立大学は貸与率がだいぶ下がる。もっとも信州大学はどうするんだという話にはなる。

地方は露骨に高い

これが地方に行くともっと露骨に出る。私が住んでいる札幌にある私大をいくつかピックアップした結果を以下に示す。これも対象はテキトーであるが,変なところを選んでいないというのは地元民なら分かると思う。

スクリーンショット 2019-12-10 15.50.45

どうだろう。北海道大学を除いてみんな平均より上にある。北大だって東京の国立に入れば2位まで上がる。地域による収入差が露骨に出ている。

全数調査を東北で見て納得

しかし,全体では37.5%というのに大学生の多い東京ではそこまで高い数字にならないというのはどういうことか。最後に東北地方にある全大学のデータを見るとこれの答えが出そうである。参考までに国立はオレンジ,公立はブルー,私立はピンクで色分けしている。

スクリーンショット 2019-12-10 15.55.00

国立を含めほとんどの大学(49大学中44大学)が平均を超えている。最も低い国際教養大学ですら東京に入ると最も高い。東京と地方の経済格差とか言葉としては知っててもこういった形で見ると唸るというかため息が出てしまう。

さて今年から奨学金の無償化(収入制限あり)が始まったが,上のような状況を考えるとこれはひとつの地方振興策と読めるかもしれない。もっとも条件の厳しさを考えるとこの中に対象となる学生がどれだけいるのかということにはかなり慎重になってしまうのだが。

ちなみに今回の記事は他の地方をまったく調べないで書いているので容易に反証されてしまうかもしれない(ヒー。実は九州は低いとか。私はとりあえずこれで満足しているので,追加で調べる人がいたらどうぞ。

おまけ

大東文化大学(ちなみに母校)が40%を超えていたが,これは大学の1,2年が東松山(池袋から1時間)という立地を考えると,東京にあるとは言うものの半分埼玉の遠くの大学だと扱う必要があったりしそう。←怒られる?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?