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「言語の起源」研究禁止!

言語学者だったらかつて「言語の起源の研究が禁止されたことがある」という話を聞いたことあると思います。これは1866年にパリ言語学会が禁止したというものです。条文にあるようなのでどっかで原文が見られないかと思ったらまだパリ言語学会ってありました。なんなら原文もそこにありました。

Article 2. La Société n’admet aucune communication concernant, soit l’origine du langage soit la création d’une langue universelle.

よんさま(ChatGPT-4)訳「第2条 本会は、言語の起源や普遍的言語の創造に関するいかなる報告も受け入れません。」

フランス語は(も)入門書以前の新書を読んだだけなのでほとんど分かりませんが,調べつつ。

  • La Société 学会(Laは女性名詞単数の定冠詞。てことは学会は女性名詞)

  • n’admet 認めない(admettreの否定形)

  • aucune どんな〜ない

  • communication コミュニケーション

  • concernant 〜に関わる。concernと同源というか英語が借用

  • soit または(最初に来るのか!)

  • l’origine du langage 言語の起源。l'origineはorigineが起源でl'が定冠詞。duはof

  • la création 創造

  • d’une de と不定冠詞のuneが組み合わさったもの(へー)

  • langue universelle 言語の普遍普遍の言語(フランス語は被修飾-修飾なのを忘れてた)

日本語だと「および」となるのをorっぽいもので繋げるのが僕の「へー」ポイントでした。

しれっと言語の起源だけでなく言語普遍 普遍言語も禁止していたんですね。ただ「研究を禁止」というよりは「報告を受け入れない」というだけで個人の研究を禁止するわけじゃないのはちょっと注意が必要かもしれません。もっとも当時は学会で報告できないなら意味もないのかなとも思います。

※この件は修飾関係の語順を忘れていたので完全に余談になったので引用に入れました。

ちなみに現代だと言語の普遍性についてはノーム・チョムスキーの研究が有名すぎるぐらいですし,言語の起源も話題の新書で言及があったかと。

他にも鳥の言語の研究は人間の言語の起源を探るものとして注目されていますね。

ちなみにその後この条文がどうなったんでしょうかね。規則が1964年に改正されたようですが,そこまで残っていたのかなどちょっと分かりません。

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