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ご恵贈御礼『みんなで読む源氏物語』
著者のひとり近藤泰弘先生よりご恵贈いただきました。
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目次はこちら。
PART 1 『源氏物語』の門前
第1章 『源氏』ってどんな物語?––あらすじと主要人物を一気に知る
第2章 紫式部とその時代
コラム① 挫折せずに読み通すには
PART 2 『源氏物語』に親しむために
第3章 日常づかいの和歌・古典 対談:俵万智✕安田 登
第4章 『源氏物語』のヒロインを階級で読む 三宅香帆
コラム② 夕顔物語 宮田愛萌
PART3 時代を超える、言語を超える
第5章 現代“小説”としての『源氏物語』ーヘテログロシアの海で 鴻巢友季子
第6章 謎と喜びに満ちた〈世界文学〉––英語を経由して『源氏物語』を読む効能 対談:円城塔✕矢まりえ✕森山恵
コラム③ 源氏物語変奏曲 全卓樹
PART 4 こんな視点でも読み解ける!
第7章 イギリス文学から考える『源氏物語』––ケア、ピクチャレスク、無意識、コモン・ガール 小川公代
第8章 データサイエンスが解き明かす『源氏物語』のことばと表現––本居宜長からChatGPTまで 対談:近藤泰弘✕山本貴光
コラム④ 人はなぜ物語を必要とするのか 角田光代
あとがき 〜『源氏』をもっと楽しむためのブックガイド〜 渡辺祐真
付録 源氏「聖地」めぐり 渡辺祐真
現代語訳者、文学者、何度か読もうとして挫折してきたお笑い芸人、分析する言語学者など、様々な背景の方が源氏物語を語ったものです。
私は古典が苦手で、文法、単語、時代知識もありません(センター試験はフィーリングで読んで25〜30/50点とか)。しかし方言研究をしていると様々な場面で古典語との繋がりが出てきて、そのたびに自分の無知ぶりにトホホとなります。
その一方で面倒なことに「代表的な文学作品を読んでいない」ことにコンプレックスを持っていて、学部生のときは大学図書館で日本文学全集を借りてみたり(2冊ぐらいで挫折)、代表作品の概要が2ページにまとまった本を買ってみたり(私は読みきれず当時の友人が読んでた)、数年前にはコミカライズ版の古典全集を買ってみたり(娘がほとんど読んでいた)してます。
源氏物語も例外ではなく授業で桐壺を少し読んだ覚えがある程度で、有名な冒頭の1文も覚えてるのは不完全でした)。
こんな背景を持つ人としてPART 1の2つの章とコラム1、2は「ひとまず」知識を得て、雑にでも読み通してみようと思うための糧となりました。
反対に第3章の対談は古典や和歌を読める人にとって「分かる分かる!」みたいになるんだろうと思いました。
4章の古典で大切と言われながら意識し切れてなかった階級差からの解説でこれから読むためのヒントになりそうです。
5〜7章は英訳の源氏物語がひとつのキーとなります。「そんなに評価されてたのか!」という驚きが正直ありました。コラム3も海外文学との繋がりで読めて楽しいです。
8章は言語学に関わるところで、古典語研究でのコンピューター利用の歴史をコンパクトに知れたことが大きな収穫です。また、近藤先生の研究史の一端も面白く読めました。
最後のコラム4はちょっと衝撃的です。
最後にブックガイドと聖地マップがあります。原文と現代語訳のセットもあるのは知りませんでした…
こんな感じで未読の人もこれまで源氏物語に親しんだ人も楽しめそうな本になっていると思います。