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渋谷区はハロウィンへの態度を変えたのか?

今年,渋谷のハロウィンに対する態度が急変したと話題になってました。拾いもので恐縮ですが,おおむね次の写真の対比で語られています。

これをもとに「渋谷区はハロウィンを呼び込んだ」ぐらいの勢いで書いている人もちょっと見られるのですが,注意が必要です。

まず,上の「ハロウィーンを渋谷の誇りに」の写真は2019年のもので,設置したのは渋谷道玄坂商店街振興組合です。また拾いものですが。

一方,下の写真は紛れもなく渋谷区が設置しています。つまり,看板だけ見る限り,渋谷区そのものは静観していたのだけど,あまりに大規模で危険なので禁止に近い態度を取ったようにも見えます。それより前に警察だって出ているわけですし。

渋谷のハロウィンを語る上で無視できないのはおそらくこの商店会です。『朝日新聞』には1993年の記事に仮装パレードが行われたことが掲載されました。その中に仮装パレードが92年から行われているという記載があります。

朝日新聞1993年11月1日付朝刊

その後,しばらく新聞では取り上げられることはなかったのですが,2010年代に入って盛り上がったようで,2015年から新聞報道が多くなりました。

ただ,渋谷区が呼び込んだような記述はなく,むしろ着替えスペースやゴミ問題の対策に追われているように見えます。

ゴミが増え、着替えで施設のトイレが占拠されることも懸念されている。渋谷区は31日、 臨時のゴミ集積所を駅周辺に設け、着替えやメイクのスペースを公園に設ける。

朝日新聞2015年10月25日付朝刊

そのあたりの対応は渋谷区議会の会議録にも見てとれます。ハロウィンに関して区議会で話が出たのは2016年(平成8年)です。そのときは次のように,着替えの対策などで協賛金を募り賄ったとあります。

◆苫分科員 このハロウィンの啓発事業実施経費に入っているんだけれども、これは予算はどれだけとっているんですか。それで、ことしも結構渋谷はすごかったんじゃないですか、駅前。話題にもなったと思うんだけれども、そのあたり経費としてどういうふうに積算して、対応されようとしているのか、明らかにしてもらえますか。
○治田主査 堂薗課長。
◎堂薗安全対策課長 本年は予算、約300万円をとっております。昨年、ハロウィンでかかった経費は270万円でございます。ただしこれは、昨年度予算をとってございませんので、民間からの協賛金ということで対応しております。その270万円かかりましたので、積算して300万円ということで出しております。
○治田主査 苫委員。
◆苫分科員 実質的にこれは出たごみを処理するとか、どういう経費で使っているんですか。
○治田主査 堂薗課長。
◎堂薗安全対策課長 平成27年度の前に平成26年の年のハロウィンで、やはり事業者、デパートなんかのトイレが着がえ場所にされて、本来使いたい人が使えないとか、さらにはトイレを汚されてしまった、さらには道路上で飲んだ、その空きビンを捨てたり、ポイ捨てされたりして、道路がすごく汚くなってしまって、まちの人から、また事業者からも、何とかできないかということで、着がえの対策とごみの対策に取り組みました。

渋谷区議会 平成28年3月 予算特別委員会 区民環境分科会

そもそも上の「誇り」だって「盛り上げて」という意図ではなく,マナーを守って誇れるものにしようというものでした。

このあたりからも渋谷区のハロウィンに対する態度は変わっていないと見るほうが妥当でしょう。

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