「やったらやったで後悔しない」元居酒屋オーナーがド田舎で民泊を始めた理由
白北にある民泊『癒しのwonderland 泉』のオーナー、伊能優子(いのう ゆうこ)さん。
中国から日本にきて30年、繁盛店の小牧の居酒屋をたたんで白川町でゲストハウスを開いたストーリーと『町のお店をつなげるための夢』についてお聞きしました!
まず『命大事に』
——優子さん、宜しくお願いします。早速ですが、ここからの見晴らしめっちゃ良いですね!
ありがとう。この場所に決めたのはこの景色がいいな~と思ったのもありますね。
——このテラスでBBQしながらお酒飲みたいです(笑)こちらのゲストハウスはいつから始められたんですか?
2020年7月にオープンしました。
——コロナが広まって初めての夏ですね…。
そうそう!最初はこんな長引くとは思ってなかったね~。
——最初から民泊をやろうと思っていたんですか?
ううん、最初は…その時にやっていた小牧の居酒屋をやりながら中国の富裕層のお客さんを少人数で受け入れて、一棟貸出みたいな感じでやろうと思ってました。
——国外からお客さんを呼ぶのはコロナの状況だと厳しそう…。
そっから切り替えて、小牧のお店を畳んで民泊を開きました。その時はまず『命大事』にってことで田舎の方が安全なんじゃないかなと思って、こっちに引越したんです。
——都市と比較したら人との接触は圧倒的に減りますもんね。
でも引越してからもコロナが長引いたから、居酒屋辞めなきゃよかったと思ったよ(笑)
——それほど繁盛していたんですね!
4年くらいやってたんだけど、常連のお客さんも結構ついてくれたからね。でも居酒屋も影響あったからあのままやってても…って感じだったんだけど(笑)
——でも飲食店で、しかも個人でそれだけ続けるのはすごいです…居酒屋を開いたきっかけはなんだったんですか?
それは…子供たちを育てなかんと思って(笑)
「やったらやったで後悔しない」
中国から結婚を機に日本に来て30年くらい経つんだけど…お店立ち上げる前に離婚して子供2人の親権を持ったんです。その時長男は高校入ったばかり、下の子は中学入ったばかりで…。
——そうだったんですね…。
その時はファミレスとか色々仕事かけもちでやってたんだけど、休み無しでやってたから「このままだと私が疲れて死んじゃう!」って思ったんです(笑)
—— 命の危険を感じるほどの多忙さ…。
だから、この機に「お店をやっちゃおう!」と思って。昔からやりたかったし。
——え!?起業ってことですよね??もっと多忙になりそう…。
誰かに雇われた状態だと、時間も自由に出来ないし辛くなってばっかりだなって気づいたんです。
——なるほど!自分の時間を取り戻すためでもあったんですね。
あと友達が「手伝うからやりゃ~」って言ってくれたのもあるね。ファミレスで働いてた子も「一緒に辞めて手伝うから!」って言ってくれたりして。
——それは強い後押し!
お店についてくれたお客さん達もすごい良い人達で、お店以外でもほんと色んな事を助けてもらいました。
——優子さんの明るいキャラクター性に惹かれた人も多そう!ちなみに日本に来てからはずっと小牧でしたか?
そうだね~。結婚を機に中国から小牧に来てからずっとそうだったね。
——結婚でいきなり日本に来るのもかなりの勇気がいったと思います。
その時は若かったから!(笑)あと、90年代の中国は特別な理由がないと海外にいけなかったんです。海外はどうゆう感じなのか行ってみたかったのもあって、思い切りました。
親は反対してたけど「帰ってくるから!」って言って(笑)
——帰ってない(笑)お店もそうですが、思い切って踏み切る時の歩幅が大きすぎませんか(笑)
お店は結構軽い気持ちでやったよ(笑)ダメだったら違うこと考えればいいから、やらずに後悔するよりやって後悔する方がいいなって。
でも…あんまり後悔もしないんだけどね(笑)
やったらやったで。
それも経験。やっぱり人生は経験だしね。
——その後悔しない切替術、身につけたいです(笑)
でも計画性はないかもよ(笑)おっちょこちょいというか、思いついたらすぐやりたい人だもんで。
まさにワンダーランド
——物件を決めたのも早かったんですか?
全然!空き家を探すだけで2年かかったよ!
——かなり吟味している!そんな中なぜまた白川町に…?(笑)
下呂温泉が好きで行くうちに、通り道の白川町の道が「雰囲気がいいな~」って思ってたんです。山をみるだけでもその緑に惹かれて。
——民泊前の飛騨川沿いの道ですね!
ネットで見てピンと来て問合せしたんだけど、最初は「三重の方が良い」と思ってたから問合せしたこと自体忘れてた(笑)三重も毎週行ってたくらいだったから。
——白川町は三重と勝負してたんだ(笑)
問合せしたことも忘れている頃に、白川町から電話かかってきて「白川町は自然豊かだから、もし時間あったら一度見にいらしてください」って。
その時はハイハイって感じだったけど(笑)
——営業撃沈…。
でもそれから、子供から「空き家見に行かんの?」って言われた時に、白川町の人が「いつでもいらしてください」って言ってたのを思い出したんです。実際に見たらすごく良い所だったので決めました。
——白川町の営業力の勝利!(笑)ちなみに『癒しのwonderland 泉』という名前は白川町に来てから決めたんですか?
そうそう。毎朝起きて雲が山のところにかかっているのを見て「これはワンダーランドじゃないか…?」って。仙人でも住んでそうな感じだから(笑)
——たしかに(笑)特に川沿いは朝霧が深いから神秘的な感じがします!
あと、私が生まれ育った中国の街は『泉の街』って言われてるんだわ。済南市ってとこなんだけど72個の泉があるの。
——72個も!!
しかもこの物件の隣の神社は『和泉(いずみ)神社』って言うから、泉って付けたらいいなと思って。
——優子さんのルーツと白川の魅力がつまった名前だ。
お店の名前は50何角くらいだと繁盛するって、『ときどき庵*』店主の土屋さんに聞いたんです。なのでワンダーランドに『癒し』と『泉』つけて完成みたいな(笑)
——最初は正直不思議な名前だと思ってましたが、納得感すごい(笑)
「もっとつながるといいね~」
——実際に越してきてからはどうですか?
みんな親切にしてくれるね~!まわりの3.4軒くらいしかちゃんとわからんけど、野菜お裾分けしてしてくれたり!
ーー定番だ!
あとはこの広さだよね~。小牧にいる時は「自転車どこに置きゃいいの?」って困るくらいだったから。
——小牧はかなりの都市ですよね。確か白川町17個分くらいの人口だったような。
でも人間的にはそんなに変わらんかな~。向こうも畑あると野菜もってきてくれたりするし
みんなやさしかったしね。
——それは優子さんのキャラクターもありそう!
そう?でもあんまり裏表はないもんで(笑)
あと『幸栄』*って中華料理店もお店畳む前に「やってみない?」って聞かれたよ。でもあんな大きなお店はちょっと難しいかな~って思って断ったけど。
——そうだったんだ…。
ランチ食べれるとこもあるし、カラオケできるところもあるよね?切井の「わいわい広場」とか。
——あそこ行ったことあるんですね!気になってました。
喫茶店で声かけられて「行こうよ!」ってなってね。
——めっちゃ白川町っぽい(笑)
お店のお客さんはみんな顔見知りだしね。知らん人がいたら「どこからきたの?」ってなるよね。
——THE田舎って感じだ。逆に困ったことってありますか?
買い物は不便だな~。肉、魚を買うなら美濃加茂とか可児に行かないとね~。
——お店用の食材となると、確かに。
家庭用だけなら白川町でもいいけど、お客さんがBBQやりたいってなると、ちゃんと調達しないとね~。ここら辺のお店ってどこで仕入れてるかな~って思ってる(笑)
——今度お店取材した時に聞いてみます(笑)
でもほんと白川町全体ワンダーランドだよね(笑)
綺麗なとこいっぱいあるもんね。
——そうですよね!!(迫り気味)
でも若い人は見たことない。ここら辺の子供もほとんど町外出てるしね…。
でも有難いことに民泊のお客さんは結構若い人が多いから、お客さんにもピアチェーレとか白川のお店とか予約時のメールで紹介したりしてるけど、それがもっとつながるといいね~。
——もはや観光拠点だ!
でもエアビ*だと、顔もあんまり合わせないから…泊まった後にちょっと話をできるような喫茶店を近くでやって、白川町を直接紹介できたらな~と思ったりしてね。
カラオケとかできたりして(笑)
——めっちゃ楽しそう(笑)
まだまだ先になるかもしれんけど、喫茶店やることになったらヤゴーでも発信してね(笑)
——はい!是非に!楽しみにしています!
優子さん今日はありがとうございました!