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わたしたちとつむのトツキトオカ その2

その1はこちらです。

2020年11月2日
生まれるまであと、20日

 こんばんは。こはるです。
 バタバタしていて前回の更新から1週間近く間が空いてしまいましたが、日々つむとの思い出は積み重ねられているので、今日は前回予告した
「うん子が難産!」をお届けしたいと思います。うん子との格闘の中でわたしが感じたことを伝えるには両親学級のエピソードを書かないと始まらないので、まずは両親学級の様子と両親学級で教えてもらった分娩時の呼吸の大切さについて書いていきます。

 わたしは妊娠32Wに入ったその日に里帰りをして、34Wに里帰り先の病院での検診を初めて受診しました。里帰り先の病院は親友からの猛プッシュで決めた病院だったんですが、実際に行ってみるとプレパパとプレママと赤ちゃんに対する気遣いが心地いいとても素敵な病院でした。
 わたしがいいなぁと思ったのは、「母子手帳」ではなく「親子手帳」と呼称しているところや、検尿や診察室に呼ぶ時もプレママを受付番号ではなくきちんと名前で呼んでくれるところや、疑問を聞きやすい雰囲気や、細かな説明書きがきちんと整備されているところでした。もしかしたら最近は当たり前なのかもしれませんが、里帰り前に通っていた病院は微妙だったので「この病院は信頼できそうだ!」と感じたものでした。また、ドクターは理論重視・看護師さんはドクターとの橋渡し・助産師さんはメンタルのケアみたいな感じできっちり役割分担されてるのも分かりやすくてよかったです。
 まぁちょっと文句をつけるとしたら、エコー撮影の時にドクターがつむの発育状況や健康を重視するあまり、数値ばかりを追っていてちっとも顔を見せてもらえないのは不満ですが、そこは仕方ないかもしれません。前の病院のエコーが微妙でつむの顔が常にもやもやしていてほとんど分からなかったので、里帰り先ではちゃんと見れるかなと期待していた分ガッカリはしましたが、ドクターがつむの健康には太鼓判を押してくれたのでそこは目をつむりましょう。

 そして無事に初診を終えた私は分娩時の心構えなどを教えてくれる両親学級に出ておかねばという使命感に駆られて、さっそく予約をして1週間後に再び病院を訪れました。張り切り過ぎたのか一番乗りで会場に着いてしまったので、資料に目を通しながら両親学級が始まるのを待っていました。

 両親学級は助産師さんがプロジェクターを使ってお産の始まりや経過、陣痛を和らげる方法(呼吸法・マッサージ・リラックス・圧迫法)、入院の時期と方法や準備についてを教えてくれるとても分かりやすい講座でした。いろんな本や雑誌に目を通してはいましたが、実際に出産に立ち会ってくれる人の話はとても心強いものですね。

 当初は無痛分娩を希望して地元で唯一無痛分娩を行っているこの病院を選んだんですが、お産は呼吸とリラックスが大事でそれさえコントロール出来れば難産になることは少ないということや、無痛分娩は陣痛が微弱になるデメリットもあるという話を聞いているうちにどんどん「あれ、なんで無痛分娩にこだわってたんだろう?」という気持ちになってきて、両親学級が半分も過ぎた頃には、「よし、普通にお産しよう!」と決心を固めるにいたりました。出産時の呼吸法と言えばラマーズ法とか「ひっひっふー」とかのイメージが強かったんですが、実際は腹式呼吸をキープできることが一番大切で「ひっひっふー」みたいな呼吸はあくまで痛みを逃すための補助的要素が強いと知って目から鱗でした。さらに陣痛が進んでいきみたくなっても、妊婦さんはドクターや助産師さんの指示があるまではいきんではダメで、それまではいろんな呼吸やマッサージや圧迫法などでいきみたい気持ちを紛らわせて、最終的に赤ちゃんが出てくる時だけ思いっきりいきむらしいです。

 実はわたし呼吸法には多少自信がありまして、友達にボイストレーニングの先生がいるので地元にいた頃にはボイトレにいそしみ腹式呼吸には慣れ親しんでいました。…残念ながら高音がとても苦手で歌はそんなに上達しませんでしたが、腹式呼吸には普通の人より造詣が深いと自負しています。

 またこれは個人的な話ですが、里帰りしてから1週間程経った頃から長らく緩解状態にあった双極性障害が首をもたげてきて、いわゆる躁状態に突入しつつあったんです。わたしの双極性障害の症状としては、うつ状態になることはめったになくて躁状態になることが多くて、しかも躁状態になる時には1日や2日で一気に躁状態になってしまうというやっかいな感じなんです。ただ、今回は通算4回目の躁状態こんにちは!だったので、今までの経験値もあり何とか入院することなく、精神科への定期的な通院と、服薬と自宅での調整で何とか躁状態でウェーイ!になってしまうという事態は回避できました。

 ここで話は戻りますが、躁状態になった時にも呼吸って大事だとずっと感じていたんです。双極性障害や躁状態に詳しくない人が大多数だと思うのでざっくり説明すると、双極性障害とは「躁状態」と「うつ状態」を定期的に繰り返す病気だと言われています。一般の人でも楽しかったりへこんだりっていうバイオリズムはあるので病気というよりはバイオリズムが極端に出がちな状態だと個人的には認識しているのですが、そこは医者ではないただの一般患者なので責任は持てません。

 うつ状態は一般にも認知されつつあるので省略しますが、躁状態について自分の状態を振りかえって説明を試みるならば、「一見関係なく思える事象のすべてに繋がりを感じて、点と点が線になることにより梨汁ぶしゃー状態になって、ドラッグ無しで酩酊状態になって寝ないし食べないし、多動・多弁になっちゃう状態」って感じです。ようは、自分で脳内麻薬を分泌しまくって酔っ払い状態になって、「俺つええええええー!俺は唯一神!」的状態異常に陥っています。ずっと動けるしむしろ制止されたらめっちゃしんどいんですが、人間ってお酒を飲んでも永遠に酔っぱらい続けると多分身体はめっちゃしんどいじゃないですか?だから、動かざるを得ないけど気が済むまで動いたら基本的にはパタンって気絶するかのように眠ります。でも、その辺のことを周囲が理解してくれるわけではないので頭の中が破裂しそうなくらいに情報が溢れているから何とかアウトプットしたいのにそれを制止されて休むことを促されるから、よけい頭がパニックになって気が狂いそうになります。わたしの体感では躁状態ってそんな感じです。

 それで呼吸法の話に戻りますが、躁状態の時って基本的にバーサーカー状態なので呼吸は乱れがちでめっちゃ早いです。ただ、わたしも躁状態4回目のベテランなので、なるべく家族に異常だと思われないように睡眠及び行動を調整していきたいとは考えていました。ただ、状態異常中なのでそう思ってもうまく行くわけもなく、家族からは私の意にそわない言葉や気遣いからくる注意や忠告を投げかけられたりもしました。
 その時には大袈裟ではなく本当に呼吸ができない状態に陥りました。軽い過呼吸状態だったり、本当に息が出来なくなって苦しくなるんですよね。あまりにもその瞬間の自分のペースと異なる行動をするように言われると、まず呼吸がしんどくなるんです。そんな時はわたしはすぐ自室に避難して自分の好きな音楽を流しながら呼吸を整えていました。Apple Musicでランダム再生をして、流れてくる歌に身を任せているうちにだんだんと呼吸が落ち着いてくるんですよ。多分Apple Musicが無かったら今頃死んでたんじゃないかなーなんて思ったりもするくらいです 笑

 そんな感じで、双極性障害の時にはかなり呼吸法を意識して生きていました。なので、躁状態が落ち着きつつある時に「安産には呼吸法が大事」と言われてわたしは妙に自信を持ってしまったんです。わたし自身1週間以上呼吸法と向き合わざるを得なかったし、お腹のつむもわたしと一緒に毎日躁状態に向き合ってくれているし、今更分娩でお腹が痛くて呼吸がしにくくなるくらい別にいいんじゃない?…と思ったんです。

 呼吸法だけではなく、陣痛から出産までの流れも具体的に説明してもらえたことで、別に何ももう不安なことはないなぁとも思っていたら、親子教室の締めとして陣痛が始まってから出産するまでの病院自作のドキュメンタリー映像が流されました。いきものがかりの「ありがとう」と福山雅治の「家族になろうよ」に合わせて出産が進んでいくその映像は感動的で思わず泣きそうになりましたが、ぐっとこらえました。ただ、見終わって横を見たら隣の人は号泣してたので、私も泣けばよかったなぁなんて思ったりもしました。基本的に妊婦は情緒不安定なのですとも。

 午前3時くらいに猛烈な便意に襲われたのは、普通に分娩する決意を固めて帰宅した翌朝のことでした。トイレに急ぎ、すぐにうん子と対峙し始めたのですが、一向にうん子は出てきません。踏ん張ってもなだめすかしても梃子でも動かぬという姿勢を見せるうん子。深夜に30分以上トイレにこもり続けていたわたしはふと悟りを開くにいたりました。

 これは、つむを出産するにあたって神が私に与えた試練に違いない。うん子も元はと言えば私の体内で育って出ていく塊。つむと一緒にするのはつむに失礼かもだけど、わたしはうん子を無事に下水道に送り出すという責任があるに違いない…と何故かその時にはそう思ったんです。
 八百万の神々がいるとすれば、うん子にも何らかの魂が宿っていてもおかしくはない。それなら、無理に踏ん張って追い出すんではなくてちゃんとうん子の状態と向き合って何とか出てもらうしかない!

 そして私は踏ん張るのをやめて、ゆっくりと鼻から空気を吸い込んで、ゆっくり口から吐くことを繰り返すこと15分。ようやくうん子の一部が出てくるに至りました。午前4時の段階では全てが出てくるには至らず、私もたいがい眠かったので全部出し切ることは諦めて3/4くらいが出てきた時点でトイレを離れて再び寝ることにしました。

 残りは無事5時間後くらいに出ましたが、この経験を通して私が学んだのは、呼吸は大事と言うことです。わたしの体調にしても、うん子とのコミュニケーションにしても、そしておそらくつむの出産の際にも呼吸を意識することは役に立つはずだと思えたので、その後もずっと呼吸を意識して過ごし続けて早2週間が経ちました。その甲斐あってか今日の健診でもつむはすこぶる健康で元気に育っていてあとは出てくるのを待つだけだと先生には言われました。出産という大事な時に躁状態に振り回された頼りないお母さんではありますが、つむはそんな私のもとに来てくれたので自分なりにきちんと向き合ってまずは出産に臨みたいなぁと思っています。
 もう子宮口も結構開いているみたいで、予定日より早く出てきそうだと言われましたが、いつ出てきてもいいように最後の準備を整えつつ、ゆっくり過ごしたいところです。

 それではとっても長くなっちゃいましたが、今日はこの辺りにしておきます。読んでくれてありがとうございました!

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