見出し画像

鼎談を終えてー編集後記

(6,556文字/個人差はありますが、約10分~16分程で読めると思います)

こんにちは。よこはま発達グループの佐々木です。
実は、共著、単著含め今3冊ほど出版の依頼を受け執筆中です。一冊は、内山先生、宇野先生と共に療育に関するもの、一冊は学校の先生向けのもの(共著)、一冊は保育士さん向けのもの(療育施設ではなくて、地域の保育園や幼稚園、こども園で読んでもらうことを想定、単著)です。
   
それぞれにメインとなる読者層はさまざまですが、僕としては大事なエッセンスは共通するので、どれも手にとって頂けると嬉しいなと思っています。
  
が、そのためには自分が執筆を進めないといけないのですが…なんとも進まないもので。やる気はあるけれども、何かの合間では書けないし「よし!かくぞ!」とまとまった時間の確保をしないと難しいというのもあって、なかなかです。
  
どれも今年中の発売を目指しているので、また目処が立ってきたら、皆さんとも共有したいと思っています。


具体的にどんな本?

療育機関向け

ちなみに、療育に関するものでは、下記のようなテーマを担当しています。
   
「発達支援とは何か・支援者が目指すものとは何か」
「アセスメントから支援プランへーちぐはぐな支援をしないために」
「コラム:インクルージョンに思うこと」
    
コラムは文字数も少ないので、比較的あっさりとしたものですが、それ以外はそれなりに文字数があるので、自分が大事だと思っていることを絞り出して書いています。概ね書き終えていますが、全体とのバランスを考えて内容を精査したり、情報の取捨選択をしたりしていこうかなと思っています。

教育機関向け

学校の先生向けの書籍では、元々は「視覚から支援する/指示を明確にする(TEACCHの支援技術)」というテーマで頂いていたのですが、「支援の方向性」という形に変更をお願いしました。理由としては、これまで口頭で注意してきたことを「視覚的に示せばいいんだ」とか「なんでも視覚的に示せばうまくいんだ」と誤解されたり、視覚支援は大事だと思いますが、それ以外にも大事なこともあるので、できるだけミスリードにならないようにと思ったためです。
  
そしていつも伝えることですが、視覚支援は手段の一つでしかないということです。もちろん、それは視覚支援を否定するものなんかではなく、とても重要な支援の一つであると思います。でも、「見せればいい」わけではありません。視覚支援の前にもっと大事な、支援の目的があって、その目的を達成するための手段として視覚支援を使うものだと思います。
  
例えば、何が期待されているのか、どのような順番で取り組めばいいのかがわからずに不安にならないように、(人からいちいち言われるのではなく)自分でわかって、安心して取り組めるようにという目的のために、視覚支援として手順書を使ったりするわけです。スケジュールだって同じです。ただ活動を示せばいいわけではありません。スケジュールに限ったことではありませんが、目的もさることながら、「質」と「量」も考えて提案していく必要があります(以前も、コラムに書いた気がするので詳しくは割愛します)。
  
そうした考えがあるので、上記のようなタイトルに変更をお願いしたところでした。そして、この本で面白いのは、18項目のQ&Aがあることです。同じ質問に対して、複数の専門家が回答することで様々な切り口、視点で考えていけるような内容になっています。

保育機関向け

保育士向けの本は、単著になります。専門書というわけではなく(発達障害に関しても触れますが)、園生活の中でよく起こりうる(よく見かける)場面について、「こんな視点も持ってみては?」という投げかけというか、日々の保育のヒントになればと思うような内容にしたいと思っています。そして、それは専門家が正論をかざすというものだけではなく(そのように感じられる内容もあるかもしれませんが…)、保育園で実際に取り組んでもらったことも含めて書いています。なので、実例に基づく内容でもあったりします。
  
協力してもらったのは、特別な専門家やアドバイザーがいるわけではない、地域によくある保育園の一つです。保育士向けに書く本ですが、日々の子育てや支援にも役立つ視点があるのではないかと、自分では思っています。
  
これは、たまたまそうなっただけで、何も意図していないのですが、一般の保育現場向けの本、もう少し専門性が必要な療育現場向けの本、そして就学後の学校現場向けの本がそれぞれ今年発売という、結構いい構成なんじゃないかなと、個人的には思っています。
  
発売されましたら、手にとって頂ければ嬉しく思います。
  
と、宣伝めいた内容になってしまいましたが、どれも自分がこれまで取り組んできていることや大事にしていることをまとめたものになりますので、多くの方々に届けたいと思っています。
  
さて、前置きが長くなりました。
先日、吉川徹先生(愛知県医療療育総合センター中央病院)、関正樹先生(大湫病院)と鼎談をさせていただきました(その動画は来月配信です!)。その中で、僕が感じたことなどを、編集後記的に書いていきたいと思います。

どんな話をしたの?

いつもゲストの先生とは、特に細かい打ち合わせなどせずにぶっつけ本番で収録しており、内容も話の流れで決めていたりします。その中で、今回は下記のようなテーマで話を進めていきました。
   
1.発達障害とデジタルメディア
2.トラウマやフラッシュバックについて
3.医療として教育や福祉に期待すること
4.発達障害支援に関する課題や展望
   
個人的には、めちゃめちゃ面白くて、あと2~3時間は欲しかったくらいでした。
    
1については、吉川先生も関先生も、その領域の第一人者ですからお話を聞いたことのある方は多いと思います。でも、2~4も臨床的にはとても大事なテーマで、先生方がどのように考えているのか、方針を聞きたくて質問をしてみました(方針のすり合わせをしたかった)。
   
どれも面白かったのですが、特に3、4は絶対に見てほしいと思った内容です。

関係機関へのアプローチにも違いがある

僕らは日常的に関係機関とやり取りをすることがありますが、吉川先生や関先生はどうされているのかを伺ってみました。二人とも目指すものや大事にしている本質的な部分は多くの共通点がありつつも、アプローチの仕方、関わり方は違っていて、それがまた面白いなと思いました(詳しくは動画をご覧ください)。       

ここから先は

3,687字 / 1画像

共通プラン

¥980 / 月
このメンバーシップの詳細

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?