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【Q&A】陰部を触る、なんでも口に入れる、そうしたときにどう考える?

(7,748文字/個人差はありますが、約12分~19分程で読めると思います)

こんにちは。よこはま発達グループの佐々木です。
このグループのFacebook版では毎月ゲストの方との対談や鼎談動画を配信しています。過去のこれまで57本の動画があり、どのタイミングでご入会頂いてもご視聴いただけます。
   
また、僕の日々考えていることや感じていることに加え、皆さんからご質問もお受けしてそれに対してのお返事もさせていただいております。   
  
気になる!という方は下記より詳細をご確認いただき、ぜひご一緒できればと思います!
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今回は皆さんから頂いたご質問にお返事をさせていただくQ&Aです。


▼Q1:陰部を触ってしまう

児童発達支援と放課後等デイサービスで勤務しています。知的な遅れもあるASDのお子さんの件で相談です。最近になって陰部を触ることが増えています。触らないように伝えると、その場では触らないということができますが、時間が経つとまた触っています。現場内では、性的な関心なのかどうかという話も出ています。現場ではどう対応を考えていくといいでしょうか。

▼A1:すぐに性的な問題と捉えないで

ご質問ありがとうございます。似たようなご質問は現場でよくある疑問の一つです。
  
こうしたときに考えるのは「すぐに性的なもの」と捉えないでということです。もちろん、性的なことが関与している場合もありますが、最初にそれを考えてしまうとそれ以外の可能性を考慮しなくなるので、何が本質的な問題なのかわからないまま対応を考えていくことになります。何がいい、悪い、正解を探すということではなくて、いろいろな可能性を考えて取り組んでいく必要があります。
  
性的なものなのか、対応をどうするかを考えていく際にまず必要なことは、「状況の整理」です。例えば、僕がその現場に伺ったとしたら以下のようなことは確認するかなと思います。
  
・いつくらいからそうした行動が見られるようになったのか
・事業所だけで見られるのか(ご家庭や他の場所ではどうか)
・どんなときにそうした行動が見られるのか/見られないのか

原因不明≠原因がない

まずは、最低限こうした情報整理は必要になってきます。でも、その場で質問をすると「違いがない」「いつでもやります」などの返答がくることがあります。それは確かにそうかもしれません。でも、「原因がないこと」と「原因が不明なこと」はイコールではありません。
   
原因が不明な場合には「原因が見つけられていないだけ」ということがあります。それは、ASD特性があるが故に見つけにくいというのもあるだろうと思います。だからこそ、ASD特性について勉強し、どのような自閉症特性が関係していると思われるのかを考えていく必要があります。ですから、「基本(=ASDの三つ組や認知特性の理解)」が最も大事なわけです。
   
そして、自分が現場に入るときにはその場を一緒に見せていただきますが、難しい場合には映像を撮っておいてほしいとお願いすることがあります。理由としては、同じ場面を見てもそこから得られる情報は見る人によって違うからです。これは、自分の知識が多いとか、自分ならわかるとかそういう上から目線のことを言いたいわけではありません。
   
僕らは迷っている時ほどなぜか視野が狭くなり、思考の幅も狭くなりがちです。そうしたときに第三者の意見があると「なんでそこに気がつかなかったんだろう」と思うことがあります。少なくとも僕はそういう経験をよくしています。自分自身のこれまでを振り返り、一番のトレーニングになったのは自分が療育に携わっている映像を他の先生方に見ていただきコメントをいただくということです。
     
ある現場でも「好きだった自立課題に取り組まなくなったんです。難易度を変えたり、数を減らしても取り組まないので理由がわかりません」とご質問を頂いたので実際に一緒に現場に入らせていただきました。

何が本質なのかを考える

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