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Q&A:何事も中庸が大事という話

(6,253文字/個人差はありますが、約10分~15分程で読めると思います)


こんばんは。よこはま発達グループの佐々木です。今週は更新がかなり遅くなってしまいました。すみません。
   
今回は、オンラインゼミにご参加しておられる皆さんから頂いたご質問へのお返事です。   

Q1:ご褒美は効果が薄い?

これまで、ご褒美のような「外発的な動機」よりも、自分がやりたいと思うから取り組むというような「内発的な動機」が大事と、佐々木先生のお話で伺ってきました。それはその通りと思う反面、ご本人にとって明らかにプラスになるもの(例えば、ゲームの課金など)に効果がある方々にもお会いします。実際にABAでもご褒美を活用されているようにも思います。この辺りは、どのように考えていけるといいのでしょうか。    

A1:何事も中庸が大切

ご質問ありがとうございます。今回に限ったことではありませんが、何事も「これが唯一」というものはなくて、「あくまで原則はある。だけれども、実際には人によって違うのでケースバイケース」というような、中庸的な考え方が大切です。
  
実際に、何が動機(モチベーション)になるのかは人によって違います。そのため、アセスメントの際には、そうしたことも確認することがあります。例えば、興味関心やご褒美の有無、褒められることがどのくらい影響するのか、しないのか、そうしたことよりも課題の達成そのものがモチベーションになるのかなどです。
  
そのため、課題が達成した際に褒めることもあるのですが、それに対して反応がなければ「褒めることはあんまりモチベーションにならないかも」とか、あんまり課題に取り組みたがらない時に「これが終わったら、この玩具で遊ふよ」と対応すると頑張って取り組んでくれるとか、色々な関わり方をしていきます。

いずれも外発的な動機ですが、これらに意味があればいいかもしれませんが、特に「これが終わったら、遊び」と提示した時には、「玩具」のように魅力あるものがモチベーションになったのか、あとどのくらい課題に取り組むのかがわかった(=見通しが持てた)からモチベーションになったのかという点は整理して考える必要があります。
  
例えば、実際にどのくらい取り組むかは伝えずに、「終わったらこの玩具だからね。もうちょっと頑張って!」みたいな関わり方で頑張れるのであれば、純粋に玩具がモチベーションになったのかもしれません。
  
取り組む課題を提示して(例えば、「これだけ取り組んだら玩具」と教材の数を提示した)頑張れたのであれば、見通しがついたということがモチベーションになったのかもしれません。ですから、こうしたことを意識してみるのも一つです。

外発的動機が悪いわけじゃないけれど・・・

さて、そしてここからが本題なのですが、ご質問いただいたような課金も外発的な動機の一つであり、これが良くないかというと、「テクニック的にはありかも」とぼくは思います。
  
「え?いつもと言っていることが違わない?」と思われるかもしれませんが、続きがあります。あくまで、「きっかけとして使うにはありでは」ということです。なので、毎回「〇〇を頑張れば課金していいですよ」というのは、本質的な対応ではないし、むしろ段々と効力は弱まり、要求が大きくなっていくことがあります。例えば、最初は100円の課金で満足していたけれども、それが1000円になるとかです。
  
できないこと、やれないことが積み重なってしまって、「どうせできない」となってしまっている時には、どうしてもきっかけを作ることが難しいことがあります。そのため、まずはモチベーションになるようなものを活用して取り組むきっかけを作ること、そしてもっと大事なことは「できた」「わかった」という経験になるようにサポートをすることです。
  
勉強でも、きっかけは課金だけれども、ただ勉強するのではなくて一緒にうまくいくような段取りを考えて、それで取り組んでもらうとか、療育でもきっかけはおやつや玩具だけれども、「自分でできた」と感じられるような課題設定を考えるとかです。
  
なので、「できたから、次も」「できそうだから、次も」と継続するような作戦を考えるということです。継続するにはそうした内発的な動機づけが大事ですから、そうした前提なしに「ご褒美だけ」では、なかなかうまくいかないように思います。
  
このように「ご褒美がいい」「ご褒美はよくない!内発的動機が大事だ!」みたいに、極端に考えないことが大切でしょうか。ご参考まで。
   

Q2:進路選択をどう考えていけば良いか

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