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現場の支援はなぜ進まないのか?その理由を考察

(5,775文字/個人差はありますが、約9分~14分程で読めると思います)

こんばんは。よこはま発達グループの佐々木です。
最近は色々なことに忙殺されてしまい、なかなかスムーズに更新できなくなっています。すみません。それでも、週1回のコラムは体調を崩したりしない限り続けていきますので、あたたかい目でお付き合いください!  

今日は「現場の支援はなぜ進まないのか?」というテーマで書いていきたいと思います。


研修だけでは意味がない?

自閉症支援で国際的に優れた取り組みの一つに、TEACCH Autism Programがあります(以下、TEACCHとします)。
       
TEACCHでは、支援者向けにどのようなトレーニングをするのが効果的なのかを2002年に報告しています。そこでは、一般的な座学のような研修会の効果は知識は得られるかもしれないけれども、それが現場で活用された事例は0%だったとまとめられています。
    
もっとも効果的なトレーニングは「コンサルテーション」であり、知識、スキル、現場での活用はどれも95%と高い水準だったそうです。
     
数字には良くも悪くもインパクトがあります。

この結果だけが絶対に正しいというわけではないにしても、少なくともそうした事実もあるということではあります。
  
皆さんは、どのような印象をもたれるでしょうか。
  
すごく個人的な意見を述べると、研修会によるトレーニングが現場に生かされないのは0%というは、ちょっと極端ではないかなとも思ったりします。そもそも、知識がないと技術はあがりませんし、技術がなければ支援はできません。

支援の土台を作るのは知識

例えば、お料理。
カレーライスは、実際に買い物も調理もしたことがなければ、最初はうまく作れないでしょう(技術がない)。
   
でも、そもそもそのレシピはもちろんですが、調理器具の使い方を知らなければ作れません。つまり、知識がないと技術を発揮するまでに至らないわけです。
   
じゃあ、知識があれば技術がすぐにつくかというとそうではありません。
   
何度か繰り返していく中で、「もうちょっと煮込んだほうがいいかな」とか新しい発見をしていき、だんだんと手際もよくなり、日常的に調理できるようになる(=活用できる)わけです。ただ、そこまでやるかは、その人次第かもしれません。  
   
ちなみに、最近の僕の発見は、カレールウは割らずにそのまま鍋に入れたほうがよく溶けるということです(どうでもいい報告ですみません)。
      
さて、何の話なのかわからなくなってきたかもしれません。

要は、支援のためには知識は必要なので、必要な知識をインプットすることの意味は大きい(なので、研修会の意味はある)。ただし、それを技術として、そして日常的に活用するまで整理するのは、誰でもできるわけではないということでしょうか。
   
僕も、県内外問わず、さまざまな事業所さんとコンサルテーションでご一緒させて頂いています。それはコンサルテーションには意味があると思っているからです。
   
でも、「コンサルテーションさえ入れれば、現場の支援がうまくいくか」と言われると、それはまた違うのかもしれません。
   
次の章では、具体的な事例を交えながら、「結局、何が大事なのか」ということについて、私見をまとめていきたいと思います。

よい現場とそうでない現場の違い

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