見出し画像

複雑なダイエット訴求表現、どうしたらいい? 基本Q&A 10選

コロナ対策の巣ごもりで、「太っちゃったな~」という人に対して、ダイエットサプリや健康食品を訴求したいと考えている人はいませんか?

だけどダイエットに対する訴求はとても複雑で、一歩間違うと行政指導、下手をすれば措置命令課徴金となりかねません。。。。

ではどのように訴求すればよいのでしょうか?

そこで本記事では、ダイエット訴求を目的とした商品・サービス開発や、そのプロモーションに関わる方(広告代理店やライター、アフィリエイター含む)のための広告表現のヒントをご紹介いたします。

創業32年、顧問やパートナーに弁護士・官僚OB・元検事長・政府委員・医師も据えた、マーケティングコンサル企業『薬事法ドットコム』が厳選したQ&A10選です。
それでは、お付き合いをよろしくお願いいたします。

【1】ダイエット表現の基本Q&A『訴求表現』

Q.ダイエットの訴求表現ってどこまで可能なのですか?

A.
ダイエットに関する規制は昭和60年6月28日通知(薬監38号)がバイブルです。

▶ 痩身効果等を標ぼうするいわゆる健康食品の広告等について

そのポイントは、

① 食品が体に変化を与える表現
その食品が体に変化を与え、そのことによってやせる、太らないと表現すると薬事法違反となります。

~体の変化の例~

脂肪をとかす、代謝を促進する、宿便を排泄する、肥満体質を改善する、食欲を抑えるetc.

② 体の変化とは関係のない表現

その食品がローカロリーだから太らない、やせると言う、単に「太らない」「やせる」「ダイエット」と言うことは薬事法違反とはなりません。


【2】ダイエット表現の基本Q&A『栄養機能食品』

Q.カルシウムを栄養素とした栄養機能食品を発売します。この商品の広告で「ダイエットにもおすすめ!」と表現してよいでしょうか?

A.
① 栄養機能食品に関してパッケージ上でダイエットの表示を行うことは、平成17年5月1日より禁止されています。

② ただこのルールは表示、即ち、パッケージ上の表現に関するルールであり、広告についてどうなのかは明確ではありません。

この件に関してご相談のある方は『薬事法ドットコム』にお問合せください。
薬事法ドットコムお問合せフォーム


【3】ダイエット表現の基本Q&A『満腹感』

Q.ダイエット食品の広告で「クッキーが満腹中枢を刺激し、満腹感を得られます」と言ってもよいでしょうか?

A.
NGです。
食品の効能効果として、脳に絡めて満腹になるなどの体内変化は言えません。

食品で満腹が言えるのは、「物理的な量を摂取した結果」と「噛む行為」を絡めた場合の2点です。

つまり、「ボリュームがあるのでお腹いっぱいになった」か、あるいは「よく噛むと満腹中枢が刺激される」のように、商品ではなく噛む行為そのものの効果として標榜することはNGではありません。


【4】ダイエット表現の基本Q&A『商品名』

Q.商品名にダイエット(DIET)という言葉を使っても良いのでしょうか?
例えば「ダイエットジュース」です。また、「カロリーセーブ」や「カロリーコントロール」といった文言OKですか?

A.
「ダイエット」はNGです。
当該商品を飲食して痩せられることを標榜していると解釈されても仕方ありません。

ただし、「ダイエット」に*を付けて、「ダイエットする人の健康をサポートすることです」という注釈をすれば必ずしも不可ではありません。

注釈をする場合は、「ダイエット」と同一平面で、なおかつ目立つようにしてください。
目立たない表示であれば、指導を受ける可能性があります。

また「カロリーセーブ」や「カロリーコントロール」もNGです。
カロリーに作用する旨の表現はできません。

ただし、「セーブ」や「コントロール」が「商品のカロリーが控えめ」という意味であれば不可ではないです。

したがってその旨を注釈すればNGとは言えませんが、カロリー控えめを標榜することが出来るのは、100g当たり40キロカロリー以下(飲料水であれば100ml当たり20キロカロリー以下)の商品に限られます。
それ以上であればNGです。


【5】ダイエット表現の基本Q&A『〇〇サポート』

Q.ダイエット系の健康食品で「ダイエットサポート」という表現と「ダイエッターサポート」という表現を見かけます。何か違いがあるのですか?

A.
ほとんど違いがないように見えますが、意味するところは大きく違うと考えられます。

「ダイエットサポート」の方は、ダイエット(痩身)に効果があるという意味になり薬事法に抵触します。

それに対して「ダイエッターサポート」は、ダイエットする人の健康や栄養補給をサポートするという意味になるので、薬事法に抵触しない説明が可能です。

例えば、栄養補給をするという意味で「成長期のお子さんをサポートする」という表現は認められますが、「成長をサポート」は、成長に効果があるという意味以外に取れないのでNGです。

「ダイエットサポート」と「ダイエッターサポート」はこれと同じ関係にあるといえます。


【6】ダイエット表現の基本Q&A『低カロリー』

Q.ダイエット食品の広告で「食物繊維は体内に吸収されにくく、カロリーが低いからダイエットにおすすめ」という表現を考えています。薬事法的に問題ありますか?

A.
問題ありですが、全てがNGということではありません

まず確認しておきたいことは、この表現は二つの要素で出来ているということです。つまり、「ダイエットに効果がある」ということを、「体内に吸収されにくい」と「カロリーが低い」という二つの要素から説明しているわけです。

最初の「体内に吸収されにくいからダイエットに効果的」ですが、これは身体の機能に影響を及ぼす旨の効能表現と考えられます。簡単に言えば薬理的な作用です。したがって健康食品では言えない表現です。

ただし、もう一方の「カロリーが低い」は、身体の機能とは関係のない、単なる成分の性質です。ですから「カロリーが低いからダイエットに効果的」ということは問題ありません。

実際、行政は、摂取カロリーが低いことによるダイエット効果は、薬事法上問題ないことを表明しています(「痩身効果等を標ぼうするいわゆる健康食品の広告等について」昭和60年厚生省通知)。

以上により、「カロリーが低いから、ダイエットにおすすめ」という部分は問題ないといえます。


【7】ダイエット表現の基本Q&A『食事制限』

Q.ダイエットサプリの広告で「食事を我慢しなくてもOK」や「食べることが大好き」といった表現をよく目にします。これはOKなのでしょうか?

A.
ダイエットの効能表現には原則と例外があります。

原則は「ダイエットはNG」ですが、例外として「カロリー制限の結果であればOK」ということになっています。

つまり、例えば通常食と低カロリーの商品を置き換えることによって、1日分の消費カロリーを抑えることにより痩せたということは、薬事法に抵触しないということです。

「食事を我慢しない」は、「痩せる」とはっきり述べていませんが、
「食事を我慢しなくても痩せられる」と解釈される可能性があります。

その場合、「食事置き換えのロジック」に反するのでNGです。

「食べることが大好き」は微妙です。
「いくら食べても痩せられる」とも取れるし、「どんなものを食べても健康でいられる」とも取れます。これは文脈によってOKかNGか判断が分かれるところです。


【8】ダイエット表現の基本Q&A『燃焼』

Q.ダイエットサプリの広告作成をしています。「燃やす」や「燃焼」の表現を効果的に使いたいのですが、取り扱いの店舗からそれはNGだと聞かされました。本当でしょうか?

A.
結論から言えばNGです。

「燃やす」「メラメラ」等の燃焼表現は使えません。
実際に行政がNGとしている前例があります。

ただし、「ダイエットに燃えるあなたの健康をサポート」や「気持ちを燃やすあなたに」のように、体ではなく気分の燃焼であることを明示すれば不可ではないでしょう。


【9】機能性表示で『吸収カット』

Q.食べても太らないイメージで吸収カット系の訴求をサプリで行いたいと考えていますが、機能性表示で可能でしょうか?

A.
①「脂肪の吸収を抑える」なら言えます

② これまでの受理事例では、難消化性デキストリン・ターミナリアベリリカ由来没食子酸・グロビン由来バリン-バリン-チロシン-プロリンなど、関与成分としてこの訴求を行っているものが多数あります。

③ さらに、カロリミット、大人のカロリミット、大人のカロリミットaもそうです。

カロリミット(A310)
食事の糖と脂肪の吸収を抑えて、食後の血糖値と血中中性脂肪値の上昇を抑える

大人のカロリミット(B313)
脂肪を代謝する力を高める、血糖値の上昇を抑える、血中中性脂肪値の上昇を抑える

大人のカロリミットa(C137)
食事の糖や脂肪の吸収を抑えて、食後の血糖値と血中中性脂肪値の上昇を抑える。日常活動時のエネルギー代謝において、脂肪を代謝する力を高める。

④ 以上にない新しい成分でもRCTにて立証すればこの表現は十分可能です。

⑤ 但し、機能性表示では「ダイエット」という表現は一切認めません。

①~④に倣って機能性表示受理されたとしても、広告で「ダイエット」というワードを使っていると、機能性表示受理が取り消されたり、景表法違反を追及されたりする危険がありますのでご注意ください。


【10】ダイエット表現の基本Q&A『糖質ゼロ』

Q.置き換えダイエットの痩せるロジックを、「この健食は糖質ゼロだからこれを通常の食事に置き換えれば痩せる」と低糖質ロジックにしていますが、これはOKですか?

A.
置き換えでダイエットを訴求しても薬事法違反にならないという理屈は、厚生省昭和60年の通知に基づくもので、
   
「単にカロリーの少ないものを摂取することにより、摂取する総カロリーが減少して結果的に痩せることは医薬品的な効能効果とはいえない。」

と述べています。
つまり、低カロリーロジックです。

他方、「糖質制限すれば痩せる」という低糖質ロジックは、世の中的には段々主流になりつつありますが、厚労省の通知類でこれを認めたものはいまだにありませんし、これを認めたのではお米業界から大クレームが沸き起こりそうです。

よって、低糖質に置き換えれば痩せるというのは薬事法違反の恐れがあります。


いかがだったでしょう。

今回は、連日お寄せいただく問い合わせの中から、ダイエット訴求を目的とした商品開発や、そのプロモーションに関わる方(広告代理店やライター、アフィリエイター含む)、必見のご質問をピックアップさせていただきました。

ぜひプロモーションの最適化にお役立てください。

もちろん実務上は、より複雑な問題が絡み合うことが多いと思います。

もしお困りのことがありましたら、ぜひ下記までお問い合わせください。
▶︎薬事法ドットコム問い合わせフォーム

今後も、このようなお役立ち情報を定期的に発信して参ります。

励みになりますので「いいね!」「フォロー」「SNSでの拡散」もよろしくお願いいたします!

薬事法ドットコムについて

創業32年の化粧品・健康食品のマーケティングコンサル企業。

年々厳しくなる薬機法・景表法の規制に対応するための様々なノウハウやサービスを提供しています。

顧問やパートナーに弁護士・官僚OB・元検事長・政府委員・医師を据え、行政処分の対応、エビデンス作りもバックアップしています。

▼公式サイト

▼教えて薬事法

▼公式メルマガ

▼公式Twitterアカウント


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?