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小規模炎上はVtuberを輝かせうる‐えま☆おうがすとの炎上&にじさんじみっくすあっぷ新春SPに鑑みて‐

 キャラクター自体の炎上。それはVtuberの特徴の一つである。他のコンテンツで炎上があったとしても、原作者や声優、制作会社etc……といった背景が燃えているのであって、キャラクターそのものは燃えていない。例えキャラクターの言動に火がついても、そこから作者に引火していって全ての火は生み手に移るだろう。だがVtuberは――特に生放送を主体とするVtuberは異なる。良くないことを言えば彼・彼女自体が燃えるし、焦げた跡が残る。そしてだからこそ、毒のある面白さが生じるのだ。

 さて、最近ではえま☆おうがすとが燃えた。にじさんじというシステムの核を焦がすような小火で焼き上がった。新規ライバーを取り入れ続けることで新鮮さを維持し、関係性というオタクホイホイを増加させ、なおかつ事業としてのリスクを軽減する仕組みに対して雑に触れた結果、スク水魔王は焦げたのだ。この焦げには、不安を吐露しながら新人に対する攻撃をした……などなどの要因があるが、理由の一つはえま☆おうがすとという存在に噛み合い、それが有毒な面白さに繋がっていく。

 にじさんじに入った時点でハコの恩恵を受けているのにも関わらず、システムに逆らうようなことを口走ってしまった、という炎上理由の一つは、えま☆おうがすとの配信内容と噛み合って奥行きを生み出す。彼女はにじさんじの先輩である森中花咲と友人であった上、抱える事情により森中宅に一時同居していた。その関係・同棲状況を活かした配信の数々は、独特の空気感もあって人気となった。個人的に評せば最高だった。しかしその最高さ、面白さはハコが今まで積み上げてきたことありきだ。えま☆おうがすとによる一部配信の魅力は、ハコを活かした素晴らしいエンタメだったとも言える。そんなライバーが機構に逆らうことを言うのは、火種を作るのに最適なムーブだろう。そんなこんなで起こるべくして起きた火起こしは終わり、炎上跡には触れにくいことが幾つか誕生し、みっくすあっぷに繋がっていく。

 触れにくいことに触れるのは、正直面白い。禁忌は魅力に溢れている。vの前世や魂然り、vの叡智然り、vの炎上然り。無論苦手な人もいるだろうが、魅力を感じる層も相当数存在するはずだ。

 ならば、アンタッチャブルなことだらけの中で放送された『にじさんじみっくすあっぷ新春SP』はどうなるか? 当然面白くなるに決まっている。録画という形式が選択されたこともあり、過去に録ったことが複雑な意味を勝手に孕んで黒いユーモアを産む。収録はスク水に火が通る前にも関わらず、危ないネタがどんどん放り込まれて意味深になる。チャイカと言えばそこそこ炙られたことがあったし、群道先生と言えばまああれだし、えまおうもアレだ。センシティブな話題は飛び交い放題だし、共通の話題(森中)もあるし、森中コネネタもあるし、えまかざ同棲に対応するみれろあ同棲もあるのだ。企画自体がそんなに特異でないとくれば、ラインスレスレの掛け合いを繰り広げようとするのもやむなし。そうしてぶっこまれた炎上ネタの数々は魔王様のボヤ騒ぎにより、更に意味を持つ。

 私見では最高だ。ぜひ該当回と同時視聴配信を見てほしい。森中宅の床焦がしと森中宅での滝行提案はナイス切り返しだったので。

 Vtuberは小規模炎上により拡散するし、輝くのではないかと考えは強まってきた。小規模であれば、炎上によるメリットがデメリットを上回るのではないかとも考えられる。(ちなみに魔王様の今回の炎上でも登録者は300人消えただけだったし、それもすぐに戻った)。

 問題はここからで、どの程度が『小規模』なのかということだ。某シンデレラはRP勢の根幹を揺るがして炙られた(過去記事参照)が、かの事例も利の方が大きいだろう。今回はにじさんじというハコの根幹を燃やしていったが、被害の規模はそう広がっていない。であれば、どこまでがアウトになるのか。過去の事例を参考に最悪なパターンから潰していくと、不法行為はもちろん、バーチャルでない魂での性的な関係の炎上も許容範囲外の大火になるはずだ。しかし、小さい火を積み重ねた末に謹慎まで繋がった事例も存在する。今後は炎上の頻度にも注目してVtuberを見ていくと、興味深い気づきを得られそうだ。

 次の記事では、Vtuberは闇が面白いからこそ物述有栖は光であり輝くんですよという話を書こうかしらん。

 

 

 

 

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