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「絵に描いた餅」で終わらせない事業計画

計画なんか作ってもどうせその通りにならないし意味ないよ、という根強い意見にお答えします。

さきにまとめてしまうと、①作り方次第、②将来を当てるのがゴールではない、③計画を作る会社ほど成長が早い、の3点から、計画に対する誤解を解いていくのが今回の記事になります。

ちなみに事業計画は、1年分の利益計画という意味です。12ヶ月分作ります。

さて、それでは本編へ。

同じように見えても、中身が全く違う事業計画

まずは、計画は作り方次第、という話から。
事業計画には大きく2つの要素があり、どちらにどのぐらい比重を置くかで、見た目は一緒でも中身は大きく変わります。

①数値計画:毎月の売上や原価、経費を12ヶ月分予測し、利益見込額を計算する。

②行動計画:数値計画をどうやって実現するか?の仮説や施策。

数字を並べるだけなら、鉛筆なめればできちゃいます。
だいたい、売上は過去のトレンドから、前期比2千万増えて、原価率は一定で、経費もだいたい同じかな・・・。これだけです。

こうして作った計画は、その通りにならないかもしれないですね。

でもそれは、過去のトレンドの延長線上に数字を置いているから、という単純な理由ではありません。行動計画(上記②)の要素がゼロだからです。

どうやって計画の数字を実現するのか、中身を全く作っていなければ、計画と実績の乖離の理由も分析できません。キャッチアップするための改善策も考えられません。

売上を増やすのに、それに見合う営業社員の補充や、そのための採用広告費を計画に織り込んでいなければ、計画を作っても乖離が出るでしょう。

販促を重点的にかけて売上を伸ばすのであれば、どのような内容の販促をどの時期にどの程度行うと、どのぐらい売上UPに寄与するか、仮説や実績を元に数字を考えていなければ、計画と実績は乖離するでしょう。

最初からちゃんとしたものを作る必要はありません。まずは少しずつ中身を詰めていくことをやっていくと、だんだん精度が上がってきます。

これが、計画を作る意味は、作り方次第、ということです。

将来を予測して、備えることが計画作成の目的

次に、「将来を当てるのがゴールではない」という話です。
この表現にはちょっと語弊があるかもしれませんが、ポイントは、

「将来起きそうなことを予測して、手を打っておく」

ということなんです。仮に想定していたとおりにならなくても、準備をしていたことには十分に意味があります。

たとえば、先程見たような、過去のトレンドをベースに、予測に近い計画を作ったとします。利益次第によっては資金繰りがタイトになるかもしれません。

それが先に見えていれば、急がない出費を後回しにしたり、利益が出ているうちに追加融資を銀行から獲得することもできるかもしれません。

感覚で経営していると、大切なことを見落としてしまうことがあります。それを補う意味でも、計画を作って、近い将来に起きそうなことを考えておくのはとても大切です。

計画を作ることが会社の成長を促進させる

計画を作り、実績との比較を定期的に行う(管理会計)を導入している会社の方が、業績が伸びるのが早いという調査結果があります。

対象企業は、アメリカで従業員50〜150名のスタートアップ、約80社です。

下図は、会社を3つのグループに分け、設立後5年間の売上増加ペースをグラフにしたものです。

一番上のラインは(●印)、設立後2年以内に管理会計を導入したグループ。
2番めのラインは(▲印)、管理会計を導入しなかったグループ。
3番めのラインは(✖印)、設立後3〜4年以内に管理会計を導入したグループです。

設立2年以内に管理会計を導入した会社の売上が圧倒的に伸びています。

設立2年目ですから、精緻な計画は不要です。
それよりも、目標としての意味合いの計画を作り、それに届くように実績をコンスタントにチェックして、経営の軌道修正をしたことが、業績アップに繋がっていたものと推察されます。

目標や予定を決めないと、ついいい加減になってしまったり、やろうとしたことが手つかずになり、そのまま何ヶ月も経過してしまう経験が、誰にでもあると思います。

まずは、自社の規模に応じたレベルの事業計画を作り、毎月実績と比較をすることで、会社の経営を前進させる推進力を得ることができます。社内や、社長1人でやるとなかなか難しいので、まずは計画づくりを会計事務所に相談してみてはいかがでしょうか?


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