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【上場経理社員の転職】選ぶべき業界、避けるべき業界はどれ?

転職先を考えるときに、「どの業界に行くか?」についてどのぐらい検討していますか?これやらないと、人生が全く変わってしまいます。

どこの会社でも、経理の仕事はしっかりできて当たり前。決算書が間違っていたら大問題ですからね。

だから、個人の能力差が出にくい。働いている本人が思っているほど、給料の差が付きにくい職種です。仕事の成果によって、ボーナスが2倍増えることなんて、まずないですよね?

これは、経理の中だけではなく、会社全体でも言えることです。経理社員の給料は、個人の能力・成果よりも、社内の平均給与に引きずられる。ということです。

業界を「意図的に」選ぶことの大切さ

社員の平均給与は、業界によって大きく変わります。
それを理解するために、まずはこれを見てください。下記は、私が中小企業を評価する時に用いる、粗利率の基準です。

卸売業:15~20%
小売業:30%
製造業:50%
飲食業:70%
その他サービス業:80%

(粗利益の定義も別途ありますが、まずは売上総利益率と考えてみてください)

同じ1億円の売上を上げても、粗利≒売上総利益の「額」は業界・ビジネスモデルによって大きく変わりますよね。

※この利益率が大企業にどこまで当てはまるか、ということではなく、業界によって利益率はこれだけ違う、ということの事例です。

給料の話なのに、なんで粗利なの?という話なのですが・・・。

粗利(売上総利益)は、人件費の源泉です。これが稼げなければ、どうやったって社員の給料を増やすことはできないのです。これは、中小企業でも大企業でも同じです。

つまり、いかに効率よく売上総利益を上げられる「業界」に身を置くかが、経理社員の生涯賃金を大きく変えるんですよ。能力の違いより、どこに身を置くかが超重要なのです。新卒の時には、誰も教えてくれないですよね。

いくつか事例をお話しします。

製造業から金融業界への転職

私は新卒で上場メーカー、4年後に金融業界に転職しました。
当時、勤務先のメーカーでは抜本的に給与体系が見直され、月収が4~5万円上がったような記憶があります。それを知らずに転職活動をして、退職の意思表明をしたあとに、この給与改定を知りました。

「ウチにいれば給料も上がるし、今のタイミングで転職をする必要はないんじゃないか?」

こんな言葉で慰留されましたが、転職先の給料は改定後の給与水準と同じでした。

私が転職した先は、金融のほかにもいろいろなビジネスをしていましたが、総じて粗利が高いビジネスをしていました。給料については、若いころは不満がなかったですね。

どっちの会社にいても仕事が大変なのは同じ。むしろ、ビジネスが複雑な金融業界にいたほうが、経理のスキルを伸ばす機会は多い。それで、給料も高いのです。こんなにも、同じような仕事をしていて変わるのかと痛感しました。

IT企業への半年常駐

勤務していた金融機関が、M&AでIT系企業を買収しました。その会社に半年ほどヘルプに行ったことがあります。

金融機関を上回る給与水準で、驚きました。経理という部門だけ切り取れば、仕事はこちらのIT企業の方が、だいぶ難易度が低いはずなのに・・・。

こちらの会社の方とゴルフに行った時も、皆さん高級車に乗っていらっしゃって。私の大衆車はだいぶ見劣りしてましたね。

もちろん、こちらの会社さんのITサービスが世の中に大きく貢献しているということですから、しっかり給料で見返りをもらうのは良いことだと思います。

しかし、私の新卒入社のメーカーと比べたら・・・。

業界の知見が求められるマネジメント職

若いうちはいいのです。しかし、ある程度年次が上がってくると、業界特有のビジネス慣習やビジネスモデルについて理解ができていないと、パフォーマンスが上がらないステージになってきます。

40代まで製造業で経理課長をやっていて、金融機関の経理課長になるのは難しいですよ。まったく発想が違うし、組織のリーダーとして他部署との折衝をするときも、「業界のあたりまえ」を理解せずに発言すると笑われてしまいます。

まず、モノを扱うのか、そうでないのかで全くビジネスモデルが変わりますし、利益率が変わります。

勝ち組の業界に行けば、30代でも年収100万円アップなんてザラだと思います。10年で1000万円ですよ。お子さんの教育プラン、家族での休暇の過ごし方、住む場所も、これだけ収入が違えば、変わってきますよね。

有価証券報告書を見てもいいですし、今ならネットで検索すれば、上場企業の平均給与はすぐにわかります。入り口で間違えてしまうと取り返しがつきません。同じだけ働いて、10年で1000万円違うとしたら・・・。転職を考えるなら、ぜひ業界の分析をすることをお勧めします。

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