びっくりするために出かけよう。（2020年5月15日（金））
「おはよう。昨日の学校はどうだった？」
私は昨日からここにしばらく滞在することにしている。ダナは下宿の女将とでも言えばいいか。ダナのところに身を寄せることができるなんて、なんという幸運だろう。「ワタル」だった時にはできなかったことだ。
「突然知らない人の部屋に連れ込まれて顔面をドアップで見せられて、そのくせのっぺらぼうなあのコミュニケーションの感じを突きつけられるのは、やっぱり厳しいよ」
そう答えた私に、ダナは一瞬目を丸くした後、すぐに瞳を輝かせて言った。
「その昨日のユキのびっくりをさ、その時の情景と一緒に書き残しておいてよ。で、このあと好きなところに行ってさ、そこの景色についても描写してきてよ。
…ユキはさ、要は未来に出会うであろう大事な誰かに、何かを伝えたいと思ってるんでしょ？何かを伝えたいならさ、文字情報だけをぎゅうぎゅうに詰め込んでいかにもいいこと言ってますにするんじゃなくてさ、その時ユキの目の前に立ち現れた情景を詰め込んで伝えたほうが絶対にいいからさ」。