見出し画像

ひとりで仕込みをする時間。(2020年5月21日(木))


「ユキ、また学校サボって。」朝からダナにとがめられる。ダナは学び舎の師のひとりでもあるのだ。

「うん、なんか疲れちゃっててね。夜のオンラインは起きてられないの。」

ま、ユキは今は「ワタル」ではないから出席してもしなくてもいいわけだし、そもそも学びが身についてないわけでもないからねと言いながら、ダナは私と自分の分のコーヒーを入れてきてくれて、私の向かいに腰掛けた。

「ついて行きたいのに行けない、猛烈な孤独感には襲われるの」。コーヒーを口にしてひと息ついたところで、私の口からすっと言葉が出た。

「今は休まなきゃダメと強く思うから休むんだけど、休むことによってみんなから忘れ去られるような、誰にも見守ってもらえなくなるような…いや、そもそも他人に依存するのではなく、自分で自分を見守らなくちゃと思うのに…」

「ユキはまじめなのね。」ダナが私の言葉を遮って言う。

「人って、もっともっといい加減なものよ。あなたを見守るなんて言ったって、四六時中あなたのことを考えていられる人なんていない。自分自身に対してだってそんなことはなし得ない。ついついうっかりしちゃうことの方が多い。みんな、自分に気を使うだけで精一杯なのよ。

あなたは自分の能力を外に出せてしまうばっかりに、自分の内のコントロールが難しい時にも外を見ようとしてしまう。

今はあなたの言うように、あなた自身の充電を焦らずにやる時期よ。今年いっぱい、ひとりで過ごしなさいな。

大丈夫。年明けの新しい世界は、あなたを待っているから」。

#エッセイ #小説 #日記 #memento