グローバルな環境で働くために本気で英語スキルを伸ばしたいと思っている人へ

 グローバルで働きたいと言うビジネスパーソンは多いが、必ずと言っていいほどハードルになっているのが英語のコミュニケーションスキルだ。日本では学生時代に何年にも渡って英語を習っているにも関わらず、グローバルな環境で英語で仕事できるレベルの人は驚くほど少ない。そのため社会人になってからも英語教育へのニーズは大きく、書店に行けば膨大な数の英語学習本が並び、英語教科トレーニングプログラムの宣伝もSNSや町中の広告に溢れている。
しかしながら、自分がグローバル製薬企業で働く中で長年不思議だったのは、これだけ課題解決のためのサービスが溢れているにも関わらず実際に英語で仕事ができる人が異様に少ないことだ。人材開発系の会議でも、能力が高いにも関わらず英語がネックで機会を与えられないケースを見てきた。驚くのはそういった人材の中には英語の能力は後から身につけるからとりあえずグローバルにチャレンジする機会が欲しいという人たちが一定割合いることだ。おそらく昭和的日本企業が海外に出向に行き、英語不自由ながらも現地の人たちを管理職として率いていくイメージを持っているのだろうが、正直勘違いも甚だしい。MNC (Multi National Company)では英語は最低限のコミュニケーションツールなので、それができない時点で機会を与えることなど不可能なのだ。もし与えれば日本の人材の評判を下げるだけだ。
ではなぜ英語を学生時代に学び、社会人向けサービスも溢れているなかでまだまだグローバルコミュニケーションができない人が多いのか?ここでは、(単なる出世に響かせるためだけでなく)グローバルで本気で働きたくて英語を学ぶ時間をきちんと確保している人を対象に持論を述べる。
 

「本気で英語で仕事をしたいなら、Non-Japaneseの人と会話する機会をとにかく増やせ。」


これだけだ。
自分がこれまで見てきた限りでは、下記のパターンが多いように感じる。
1.       とりあえずTOEICのスコアを伸ばそうとTOEIC対策をしている人
2.       喋らなきゃと思って英会話スクールやOnline英会話に取り組んでいる人
3.       フィリピン短期留学など一時的に環境変えて英語を伸ばそうとする人
 
1は論外だ。TOEICは日本の伝統的な英語教育と同様に英語が喋れない教育の温床となっている。そもそもグローバルで働くために必須なのはListeningとSpeakingだ。ReadingやWritingは時間をかけれることが多いし、DeepLなど便利な翻訳ツールも使える。TOEICだけ学んできた人は基本的にReadingとListeningだけ学んでいることが多いので実際のコミュニケーションになると全く話せない人を数多く見てきた。
 
2つ目と3つ目は姿勢としては悪くないと思うのだが、結果的に英語への暴露期間が短い。フィリピンで英語漬けになっても日本に戻って英語でコミュニケーションしなければすぐ元に戻る。
大事なのはとにかく英語でコミュニケーションする機会を日常の中に増やすことだ。そしてNon-Japaneseの人が相手だ。日本人同士が拙い英語で会話しても語彙も増えなければ苦手意識が増すだけで、これが自分が楽天などの英語公用化に否定的な理由だ。
 
さて、ではどうしたら日常の中で英語でコミュニケーションする機会を増やすかだが、自分は下記の2つの方法を勧めるようにしている。
a)       社内にいるNon-Japaneseの人 (日本語が話せる人でもいい)と仲良くなって英語で会話する
b)      外国人が集う店やBarの行きつけになって英語で会話する
 
aについてだが、最近では一定規模がある会社であれば社内にNon-Japaneseの社員がいる場合(ただし日本語が話せて日本語で仕事している)が多い。こういった同僚に対してランチやディナーがを奢るなどして仲良くなり、日本語ではなく英語で会話するようにしてもらうのだ。彼らは日本で働く中で課題意識を持っていることも多いし、日本に関するディスカッションには乗ってきてくれることが多い。仲良くなれれば日常的に英語でコミュニケーションする機会が生まれやすい。自分は東京で働いているとき、こういったNon-Japaneseの他部署にいる友人を複数名作って英語でお茶したり、ランチしたりすることで英語に触れる機会を増やしていた。
ただ、Non-Japaneseの社員が全くいない人もいると思う。そういった人たちにはbを進めている。コロナ禍で減ったとはいえ大体どの年にも外国人が集うバーなどがある。自分も営業時代には僻地にいたが、そこにも日本に帰化したアメリカ人が経営するバーがあり、多くのNon-Japaneseが集って会話していた。こういったところに参加してとにかく会話を始めてみるのだ。緊張して話せないと思うかもしれないが、どうせ相手は一期一会の人たちで、うまくコミュニケーション取れなくても相手はすぐ忘れる。だから練習するにはもってこいだ。
 
なので兎にも角にも英語の対話的コミュニケーションに触れる機会と時間を増やすことだ。そうしなければ英語を聞き取る耳は作れず、うまく言葉も出て来ない。逆に慣れてくればそのうちBreak Throughのタイミングがやってきて一気に成長するはずだ。
 
そういう機会を多くの人に経験してほしい。

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