キャリアパスの基本的な考え方

「なんで日本人って自分の将来のキャリアを全然考えてないの?」
以前勤務していた会社でアメリカ人が部長に就任したときに言われた言葉で、今も鮮烈に覚えている。
当時彼は赴任直後ということもあり、部員一人一人と1on1を実施して業務相談やキャリア相談を行った。その結果、彼が驚いたのは「10年後どうなっていたい?」という質問に答えられたメンバーはほぼおらず、「次はどこに行きたい?」という質問に対しても明確に希望を言えたメンバーは少数派だった。
多くのメンバーは「特に考えてません、会社に従います」「できればこの部署で10年後も働いていたいです」などと答えていたようだ。部長からするとただただ言われるがままに仕事をするだけで自分で考える頭を持っていない人たちと映っただろう。

これは多くのJTC (Japan Traditional Company)でよく見られる現状だと思う。新卒で入社した社員は終身雇用を前提としており、かつ「自分のキャリアは会社が決めるもの」と思い込んでいるのだ。そのため会社に依存することが当たり前になっており自分で自分のキャリアを考えることがない。これは日本において未だに(上昇しているものの)転職率が低い要因の1つだと思っている。

しかし、現在はもう会社に依存していては危険な時代だ。終身雇用が保てないことはトヨタ社長ですら断言していたし、解雇規制の岩盤を変えなければ日本の雇用流動性は上がらず、給料も上がらない。
とりわけ製薬企業は新薬のパイプラインの豊富さと特許タイミングに売上予測は依存する。よって大型品の特許が切れるときには人員削減が行われるのが自然だ。もちろん優秀な人材は残れるが、キャリアパスを真剣に考えておけば割増退職金 (パッケージ)を受け取ってもっと良いキャリアに進むこともできる。なので、会社に依存することなく自らがキャリアを考える癖をつけるべきだ。

では、どうやってキャリアを考えればいいのか?私の考えは単純で、
1. 10年後のキャリア目標を立てる
2. 現在までのキャリアを棚卸しし、持っている経験とスキルを明確にする
3. 1と2のギャップが何かを考え、書き出し、それを埋めることができるキャリアを設定する
というものだ。

1については野心的でもいいので一旦設定してみることが大事だ。どう考えても難しい場合には後で修正すればいい。そしてそれさえできれば、自ずと何をすべきか、次にどう進むべきか見えてくる。
製薬企業であれば例えばMRが10年後支店長になりたいとする。そうなると、そもそもギャップとしては所長職の経験、人材マネジメントスキルなどが出てくる。更に会社によっては本部経験者が支店長になる可能性が高かったりするので、そうなると本部経験も入ってくる。

このような形で自らキャリアを考え、プランを立てて、適宜修正しながら切り拓いてくことが今後の社会では肝要だ。
会社に依存するのではなく、会社を利用してキャリアを作るのだ。

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