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14年の片思いが終わった日

私には小学1年生~20歳まで好きだった人がいる。

彼をA君としよう。
A君との出会いは小学校の入学式の日だ。

母と学校に向かう途中にA君に出会った。

私の兄とA君の兄は同級生で母親同士軽い面識があり、母親同士が話している中、横にいるA君をチラリと見た途端、

電流が走った。一目惚れだ。


今思うと漫画みたいな話しだ。A君は顔が特別整っている訳では無いが、サッカーの才能に恵まれていてシャイだけど男子の友達が多くかっこいい男の子だった。

私とA君は苗字が似ていて、入学式は手を繋いで入場した。
とてもドキドキしたのを覚えている。

小学校ではA君と1年生~4年生まで同じクラスだった。
A君は女子とはあまりつるまずサッカーに没頭していた。
エースで上級生よりも上手く、サッカーでは地域で名を馳せるようになっていた。

私はクラスによくいるお笑い担当でA君と話せるのはいじられる時くらい、
それでもAくんと話せるだけで嬉しかった。
胸がドキドキしてあぁ、私はほんとに彼が好きだなぁって自分でもびっくりするくらい好きだった。

彼と話せた日は「Loveノート」(今となっては黒歴史…)なるものを書いていて、1人ニヤニヤした。
後に、兄に見つかり死ぬほどからかわれた。
クソ兄貴め…。


私は好きな人を前にすると顔に出やすく私がA君を好きだと言うのは6年生にあがるとみんな知っていた。

その頃、私はとても太っていて恥ずかしいことに身なりにも気をつかっておらず、頭はいつも実験に失敗した化学者のように爆発していた。

彼のクラスの前を通る度に、囃し立てるA君の友人たち。
A君の嫌そうな顔。今でも忘れられない。

卒業間近に自分の見た目の悪さにやっと気づいてやっと身なりを整えだした時、A君がサッカー強豪の中学校に行くことを知った。

思春期特有の恥ずかしさもあり、結局A君とは何の発展も出来ないまま別々の中学校に進学した。
卒業式の夜は家族に見つからないよう部屋でこっそり泣いた。

中学校では特に好きな人もできず、高校は女子校に進学した。
その間、A君とは1度も会うことは無かった。けどAくんの事は何故かずっと好きだった。

高校に入学してしばらくたったとき、小学生の頃からの友人からA君が県外のサッカー強豪校高校に進学したことを知った。

ショックだったけど、サッカー頑張ってるんだな。
すごいな。って心の中でひっそり応援していた。

そんなとき、友人から彼の連絡先を知っている交換しなよ!と声をかけられた。

私は恥ずかしさもあり、最初は遠慮していたのだが、この時、既に片思い歴10年。
何か進展させたいと思い、本当にドキドキしながらLINEを送ってみた。
あの時が1番人生で緊張したかもしれない。

私「A君久しぶり!県外の高校に進学したんだね!元気してる??」

A君「おう!久しぶり!練習あるんでまたな!」

見事に撃沈。
しかも、ワンターンで終了。

このときはさすがに傷ついた。
けど、このままでは終われない!!!
この片思いに何らから形で蹴りをつけるんだ!!!!

と、3年間数ヶ月に1度、大きな大会がある度に応援のLINEを送り続けた。
時には県外に応援にも行った。

はっきり言ってA君には迷惑だったのかもしれない。
素っ気ない返信は相変わらずだったが少しずつ彼の返信も柔らかいものになっていった。

傍から見ると望みも何も無く冷たい返信。
会える機会もなかったので、無理を前提でLINEで告白もしたりした。

結果はもちろん振られました!涙。

高校3年生、最後の冬。
彼が全国的に行われるサッカー大会の県代表としてスタメンで出場した。
私は、テレビの前で見るしか出来なかったが、A君の活躍を本気で願い、怪我をしないかなどヒヤヒヤしていた。

大会中に送ったLINEにも忙しいだろうに返信してくれた。

そういえばA君は私の一方的な応援LINEにも邪険にすることなく絶対に返してくれた。

そういうさりげない優しさが私は本当に好きだった。
そして、サッカーを頑張るA君が大好きだった。

A君は高校卒業後、東京のサッカー強豪校へ進学した。

高校を卒業して20歳になっても私はA君への思いを断ち切れずにいた。
成人式の日が近づき、A君に会えるかも。と淡い期待を抱いたままその日を迎えた。

成人式当日、晴れ着に身を包んだ友人たち、

私は高校に入学してから綺麗になりたい一心でダイエットに励んで痩せていた。

久々に会う友人からはとても驚かれた。
痩せたのもA君に少しでも可愛い、綺麗と思われたかったからだ。

会場に到着し、会館に入ってもA君はいなかった。
大学が忙しいのかな。やっぱり会えなかったか。
と会場を後にしようと思っていた時

A君がいた。

8年ぶりに会うA君。
とてもかっこよくなっていた。

私の方に進んでくるA君。
すれ違いざま声をかけるか、かけまいかパニック状態になっていた。

「LINE、ありがとうね。」

なんとA君から私の方に声をかけてくれた。
声も低くなってビックリした。今考えると当たり前だ。
私の中でA君はずっと6年生のままで止まっていた。

パニクりつつも私はA君の大学の話しなど何気ない会話をした。
正直、このことはあまり覚えていない。

突然、私と行動を共にしていた友人がA君に
「ねー、弥生(私)と写真とってくれない?」
とA君に声をかけてくれた。

A君は快く承諾してくれた。
2ショットを撮れるなんて夢にも思っていなかった。
ほんとに友人よありがとう。
あなたは女神様です…!

写真を撮る時、距離が肩と肩が触れ合うくらい近くめちゃめちゃ緊張した。

人生で1番幸せ!!!

この瞬間心からそう思った。


そして写真を撮ってA君と別れを告げたあと、
自分でもびっくりするくらいにA君への恋心がすーっと溶けた。
「ありがとう。本当に好きだったよ。」
私はA君の後ろ姿を見ながら心の中でそっと呟いた。

A君のおかげで痩せることも出来たし、可愛くなろうって思えた。

人生で1番緊張したのも、嬉しかったのも全部全部、A君のことだ。

実は成人式の日にとった写真をこっそり現像して手帳にはさんでいる。

A君への恋心はないとはっきり断言出来る。
だが、A君との写真を見ると勇気がでるのだ。

成人式から3年経ったがまだ私には好きな人はできていない。

しかし、私は前を向いている!好きな人探さすぞ!

サッカーボールを見る度に彼を思う。
これからもきっとそうだろう。

どうか、彼がこの先もずっと幸せでありますように。

私はまた心の中でそっと呟いた。

終わり

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