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学振DC1申請書の書き方例

この時期になると毎年学内の学振についての講演を依頼される.スライドをそのままアップするのも雑なので要点だけまとめました.

 学振とは

 学振は,日本学術振興会特別研究員(制度)の略称で,博士課程の際に生活費と研究費を補填してくれる,研究支援制度である.詳しいことはJSTのサイトを読んでください.https://www.jsps.go.jp/j-pd/

 

 申請書をどう書けばいいか? 

 学振の申請書は修士学生にとって,おそらく人生初めての長文による研究説明と提案となる.もちろん,就活のエントリーシートでの概要説明,論文投稿を経験している学生も多いと思うが,それらとは違う.まず分量が長いので概要ではなく詳細を書く技術,それよりも精神力あるいは体力が求められる.論文の査読者と違い,学振の審査をして下さる人は必ずしも専門性が合致するわけではないので,いい具合の説明が難しい.そんなこんなで,書きはじめてはみたけど応募まで至らない学生が多いと聞いている.そこで,申請書を少しでもスイスイ書けるように3つ経験上の個人的な意見を書きます.

 1:加点要素だけでなく,減点要素に気を付ける

 修士の段階で業績が沢山あれば申請書も書きやすいだろうし,そもそもこの記事を読んでいないだろう.この業績で受かるのかな?と考える暇があるなら,申請書の減点要素を減らすことに注力しましょう.読む相手は忙しく先生かつ,ほぼボランティアで審査して下さいます.心証だけで合否はもちろん判断していないはずですが相手も人間です.誤字脱字わかりにくい専門用語,読みづらい文章(紙面)構成のある申請書にポジティブな印象を持つのは難しいと思います.ぜひ,そういう減点要素に目をむけてはどうでしょうか.

 2:後進育成

 業績や研究について書き方を悩む人が多いですが,学振審査は,その案内にもあるように「研究者としての資質」も重視して審査されています.学振を取得した人が必ずしも大学などのアカデミアで働く必要はないですが,後進として育つ資質があるのか,さらに後進を育成する資質があるのか,つまり「研究者としての資質」も審査されているはずです.その視点を持って申請書に力を入れてはどうでしょうか.

 3:ナルシストにならない

 潤沢でない研究業績や研究内容を大きく見せようと,ついつい大風呂敷を広げてしまいがちです.読む相手は研究のプロなので,専門性が違っても論理性の欠如には必ず気が付きます.事実(実績)と期待(計画)を明確にかき分けることをお勧めします.自分もそうでしたが,渾身の第一稿は冷静に読むと,まるで自分がスーパー研究者かのような歯の浮く申請書になりがちです.自分で読み返す,先輩に読んでもらうなど客観的に胡散臭くない(抽象的ですが)イメージを与える申請書に仕上げることを目指すのはどうでしょうか.

 以上,学振申請書のちょっとしたアドバイス?でした.
参考になれば幸いです.

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