モラハラ発言いろいろ#1
モラハラ発言をする人の特徴
発達障害の特性が分かってから、言語化するということに気をつけました。分からないのなら教えてあげればいいと思ったのです。その効果はムスメにはありましたが、モトオにはありませんでした。
ある日、彼が何か酷いことを言ってきた時に「それは酷いことで、私は言われたくないので言わないで下さい」と丁寧に言いました。すると、彼は「オレはひどいことだと思わないね!」と言うのです。話になりませんでした。
特性がある人は、自分がひどいことを言っている自覚がないので教えてあげないといけないとよく言いますが、大人の彼は外では絶対にひどいことは言わないので、彼は分かってやっていたのです。
彼のモラハラ発言を集めてみると、お金に関するものが圧倒的でした。彼が転職する際、いろいろ分からないと言って頼ってきたことがあったので、ブレイン・ストーミングと思い「あなたが一番大切にしているものは何?」と聞いたことがありました。すると、彼は迷わず「年収!」と答えました。質問を勘違いしたのかと思いましたが、本当にそういう人だったのです。
そもそも家族に優しくできない人は結婚は向いていないので、なんで結婚したんだって話ですが、そのことも傍若無人が止まらないモトオに話したことがありましたが、逆に私がひどいことを言ってきた!と言って、一向に話が進みませんでした。
屁理屈の応酬のように思えましたが、脳の癖からそういう風にしか取れなかったのかもしれません。
いずれにせよそういう時は、さっさと会話を諦めて切り上げるか、誰がなんと言ったか具体的に書き出して話がズレないようにするといいのですが、うっかり「あなたが最初に酷いことを言ってきたんでしょ?」なんて答えてしまったら最後、絶滅したドードー鳥のように息絶えるまで、堂々めぐりをさせられることになってしまうのです。
「いつになったら働くの?」
これを言われた時は、耳を疑いました。多くの女性が今でもそうであるように、私は家事育児を優先させながら働いていました。恐ろしく手が掛かるムスメが生まれて、育児は想像を超えて大変だったのに、ほとんど協力しない夫がこんなことを言ってくるのです。「誰のおかげで仕事に専念できてると思ってるんだ」と思うわけですが、彼には伝わりませんでした。
モトオは初めから家事育児を仕事とみなさないどころか、お金でしか人の価値を測れないようでした。つまり、絶対に結婚してはいけない人だったのです。
モトオと私は同じ会社で働いていましたが、部署も勤務先も違ったので、二人を知る同僚はごく僅かでした。その僅かな元同僚の一人に相談すると、驚いてこう言われました。
「ここのお給料なら、モトオちゃん一人の収入でやっていけるよね。それにモトオちゃん、営業でインセンティブもらってたくらいだから、そんなに焦らなくてもいいんじゃない? せっかく留学までしたんだからもったいないよ」
そう言われて、目が覚めました。モトオは結婚前と後との言行不一致が激し過ぎたり、意図が分からないことを言ってきたりするので、私はよく惑わされました。
何か分からないけど、何かがおかしい。それだけははっきりしていましたが、
その何かが分からなかったせいで、長い間迷走することになったのでした。
「マックの時給より低いじゃん? いつになったら、英語の仕事すんの?」
私のイラストの仕事のギャラを時給に換算したモトオが言ったセリフです。
これも当人曰く、本当のことを『言っただけ』なそうですが、絵を描く仕事と素人でもできるバイトを比較して、それより低いと言っているのですから、ひどいことを言っていることに気づかない方がどうかしているのです。しかも英語を使う仕事をするなんて私は言ったことがないので、この人誰?となるわけです。
彼が使った言葉に含まれる意味を伝えると「オレはそんなことは言っていない」、「言葉を変えるな!」と怒りました。言い換えられると分からなくなるのは特性の一つですが、これも本人に自覚がないと周りは大変なことになるのです。
「そんなことまで人のせいにしてくる!」とモトオがよく呆れたように私に言ってきたので言いたくないのですが、人はいつも不機嫌でネガティブなことばかり言う人と暮らしていると、やる気を奪われ自信も無くすようになるのは本当です。その影響力は計り知れませんから、そんな人とは距離を置かなければいけないのです。
実は当時私は右手首の骨にヒビが入る絵描きとしては致命的な怪我を大学卒業前にしてしまっていました。このせいでモトオに頼るようになったのは事実でした。
私は迷惑をかけている自覚があったので、ひどいことを言われても仕事で疲れているからだと思いました。けれど、そんな事は絶対にありません。
仕事で疲れたからといって家で傍若無人に振る舞うのは、自分の感情をコントロールできない幼稚な人のすることです。
モトオの心ない言葉をきっかけに、私は英会話の仕事を始めました。家で家事をしながら絵を描いて、作った食事に感謝されずに文句を言われる毎日は耐えられませんでした。それでも、別れられなかったのは稼げない自分に非があると思えたからでしょうか。或いは、彼から繰り返しそういうことを言われていたからかもしれません。因みにその頃描いていた絵は、恐ろしいほど暗い絵でしたから、ネガティブパワーの影響は恐ろしいのです。
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