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動画編集ソフトで音楽をつくる試み【「映像のためのBGM制作」後記】

「映像のためのBGM制作」はその名の通り、映像のためのBGM制作をする様子を記録したシリーズ。

【映像のためのBGM制作】01 筑後川のほとりでフィールドレコーディング・猫ちゃんピアノ【リヴ、ラヴ、ドライヴ】

その場にあるものを使ったフィールドレコーディングと持ち運べる楽器、実家のピアノを使って勘で作曲していく。
私は音楽家ではないので作曲経験はほぼ皆無で、楽器の演奏もほぼできない。
傷つきたくなくて再三言っているが「子供の描いた絵」として見てほしい。

BGMは映像を構成するための大事な要素だ。
私たちが映像をつくるうえでBGMは不可欠と言い切ってもいいだろう。
前職の時に重宝していたサービス「Artlist」はクオリティの高いロイヤリティフリーの音源が大量にストックされていて、BGMを探すのにはすごく便利だ。
しかし楽曲の大半がどこかで聞いたことあるようなものばかりで、これだ!というものを探すのにかなり時間がかかる印象だ。
Artlistはとても良いサービスなので使っているクリエイターも多いのだろう。
他のロイヤリティフリーの楽曲についても、クオリティが高くて使いやすそうなものは大抵どこかで使われている。
自分の名義で映像を出すなると「オリジナリティを出したい」と欲が出て、BGM選びには苦戦した。

そんな時に、そういえば昔BGMをつくったじゃないか、ということを思い出した。
昔のハードディスクを漁ってみると録音したままのデータが出てきた。
大学3年生のころ、はじめて自分1人で監督した自主映画に自分でつくったBGMを使った。
BGMと言えば聞こえがいいが、友人伝手で借りたピアニカを6畳のワンルームで音声録音用のマイクを使ってただ録音したものだ。
録音データを編集するという発想がないので、ミックスはおろかノイズもとらず切り貼りもせず、そのフレーズを間違えずに弾き切るまで何回も録り直すという愚直なやり方でつくった。
試しに動画に使ってみたらなんだかとても「らしい」感じがした。
やっぱり自分が作ったBGMは自分が作った映像にも合うということなのだろうか。

【うろうろ】熊本県南阿蘇村「夏休みの草千里/雨の水源巡り」【リヴ、ラヴ、ドライヴ】
↑オープニングの音楽と途中の写真パート、エンデイングに自作のBGMを使っている

というわけで、自分たちの映像のために自分たちでBGMをつくろう、どうせなら制作過程も見せてコンテンツにしよう、と「うろうろ」の編集中にこのシリーズ(連載)を思いついた。
フィールドレコーディングを中心に音楽をつくろうと思ったのは、単純に見てて楽しいかなと思ったからだ。
それに「ローカルヴィデオマガジン」を名乗っているのだから、気に入った土地に行ってその場所でフィールドレコーディングをするのは自然な流れなんじゃないかと腑に落ちている。
また、この企画を思いついてすぐ、フィールドレコーディングで音楽をつくっているプロの音楽家の方と知り合う機会があった。
もちろんその方の作る音楽のクオリティに達することはまだ全然無理なのだが、不思議でありがたいご縁に勝手に背中を押された気分になっていた。

撮影をすると決めていた日の前日、朝の4時まで外で飲んでいたので昼ごろ起きた。
超グロッキーになりながらもなんとか家から這いずり出て、その時点で14時近くなっていた。
筑後川沿いで撮りたいと漠然とおもっていただけで場所が決まっていたわけではないので、降りられる良い感じの場所を探すのに時間がかかってしまい、ここで撮ろうとシートを広げ始めた時にはしっかり夕方の画になっていた。
まあ夕方ってキレイだし結果オーライかなと都合よく考える。
うしろで気にせず手長海老をとっているおじちゃん、たまたま落ちていた立派な鹿の角、ちいさなふね、テキトーに場所を選んだ割には素敵な要素がたくさんあるいいスポットを選んだものだ。

ピアニカで旋律を考えて、それに合わせてフィールドレコーディングをするという順番で進めたが逆の方が良かったかもしれない。
結局ピアニカで考えたメインの旋律は没にしてるし。
本当はその場で編集もある程度並行する予定だったが今回は時間がないため録音に集中した。

帰って編集しようとした時、そういえば全然音楽編集ソフトの使い方がわからないことに気づく。
とりあえず有名なガレージバンドかな、と思って使い方を調べたが、習得するまで時間がかかりそうである。
AdobeのauditionならMAで使ったことがあるのでそっちに切り替えるも、こちらもどうもうまく操作できない。
じゃあ何ならできるんだと考えていたときに、動画編集ソフト「premiere」ならいつも使っているし機能もほぼわかっているじゃないか、これでやったら早いんじゃないかと思い使ってみると結構調子がいい。
そのままpremiereのタイムラインに切り貼りした音を並べる形で曲を完成させた。
漫画家の山本直樹が大昔の作画ソフトを使っていたり、ブロガーのARuFaも変な無料ソフトで画像編集をしていたり、photoshopでわざわざ手描きの絵を描くイラストレーターもいる。
その感じに近いんじゃないかな。(違うかな)

切り貼りされたタイムラインをながめていると、ふとあることを思いついた。
この音の通りに映像を配置したら「音を見る」ことができるんじゃないか。
大発見だ!とばかりに映像を音に合わせて置いてみた。
(大発見だ!と書いたがどこかで絶対やられていそうな発想ではあると思う)
出来上がった映像は見心地がいいわけではないが、映像を撮る私たちが音楽をつくる意味のあるかたちにうまくおさまったんじゃないか、と感じた。
この方法でつくるなら次回からレコーダーじゃなくてカメラにマイクをつけたものでもいいかもしれない。

「映像のためのBGM制作」というテーマでつくりはじめたが、BGMに合わせて映像が変化する様子は「BGMのための映像制作」とも言える気がしている。
私がやっているのはBGM制作なのか?映像制作なのか?
関係性がごちゃごちゃになったこの感覚が新鮮でおもしろくて、改めてこの企画をもうすこし続けてあたらしい音楽制作の可能性を…といったら大袈裟か。
まだまだ音楽づくりは初心者なので、気張らず楽しくテキトーにやっていくつもりだ。
いつかは自分たちのつくる映像のBGMすべてを自分たちのつくった音楽で賄って、私たちらしい感じを存分に感じてもらえるようなものにしていきたいなと思っている。

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