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夏のおかゆ「清」と「陰」夏ver.のこと

陰と陽というテーマでおかゆの具材の乾物詰め合わせを販売し始めて半年になろうとしてます。実際は春に「巡りのおかゆが閃かない!!!」となって、2ヶ月ほどおやすみしてましたが、のべ半年。
夏は販売できる運びになりました。良かった。お待たせしました。

その名も「清」
暑い夏にあったかいおかゆ。
食べた方がいいけど中々受け入れられないメニュー。
物理的温度は冷やしちゃいけないけど、暑気払いはしたい。だから、暑邪をはらう食材や体を冷やす系の食材をあったかい状態で食べるのが良い。
販売サイトはこちら。6月10日までは予約受付です。

具体的な中身は、
・くちなし
・粟
・切り昆布
・かんぴょう
・しいたけ
です。
陰陽美のようなパッとするものが入ってないのですが、チカラ的にはかなりいい仕上がりです。写真の上部がくちなし、時計回りに粟、かんぴょう、昆布、しいたけです。お米は半合入ってます。お鍋のサイズ、これくらいスカスカした感じの大きさがよいです。小さいと吹きこぼれリスクが高まります。

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くちなし

苦/寒 心・肺・胃 瀉火除煩・清熱利湿・涼血
 くちなしは、栗きんとんやたくわんの着色に用いられる黄色い色が出る実です。帰経は心肺胃なのに、肝の熱をしっかりとってくれる。しかも、肝だけでなく胆もだし、熱だけでなく湿邪も祓う優れもの。
 身近な生活の中で、肝胆に湿熱邪が溜まるのってどんな時?というと、お酒です。お酒飲まなくても、わき腹がモやる、げっぷが出がち、白目が黄疸なりかけてるなどの所謂酔っ払いのおっちゃん症状が出たら使いたい食材です。
 味やにおいは、栗きんとんやたくわんの着色に使われるだけあって、嫌な臭いや味はしません。一応五味的には苦いになっていますが、濃く煮ださなければ苦味も気にならない程度。ここは、お好みで調整されてもいいかもしれません。(煎じ汁でお粥をつくるとか)

甘塩/涼 脾胃 健脾和胃
 栗じゃありません。黄色い細かい粒々のあわです。これ、検索すると鳥さんのごはんばっかり出てくるんですよね……
 なので、イメージ悪いような事をおっしゃる方もちらほら。でも、粟のおかゆ美味しいし、熱のこもりやすい夏にぴったりなので入れました。
 四性は涼ですが、胃熱を取るチカラがしっかりしてます。胃熱は食べ過ぎと関連付けられることが多いですが、胃がむかむかするのも、鳩尾がもやもやするのも、胃熱のせいの場合があります。
 脾胃に帰経しますが、全身のこもる感じの熱も取ってくれます。
 そして、脾胃を元気にしてくれるので、夏場に食欲が落ちがちな方にも食べてもらいたい素材。
 珍しく、併用しちゃいけないものがあります。杏仁です。杏仁豆腐くらいしか手に入らないと思いますし、本物の杏仁を使っていない場合も多いので、それほど気にしなくていいかと思います。

昆布

塩/寒 脾腎胃 軟堅散結・利水清熱・明目
 こちらも四性が寒です。軟堅というチカラは固まったものをほぐす力です。そして、散結も、むすばったものを散らす。固まったり結ばったりするのは気血津液などです。気滞、瘀血、痰に対して作用するという事です。
 その後に利水と続くので、主に痰に対して使うと効率が良さそうですね。ちなみに、体に水が溜まるなーという方、利水だけしていると「水」ばかり出ていってしまって痰は残ったままなので、徒労になります。ほぐすのと、出すのとバランスよく使いましょう。
 そして清熱と続きます。むくんだ足が熱く感じる人、結構いるのではないでしょうか。
 寒性で清熱のチカラもあり、溜まった水分の排泄を助ける利水のチカラもあるので、夏のお出汁は昆布が一押しかもしれませんね。かつおばかりじゃなく、使い分けしてみるとバリエーションも広がって良いですよね。

かんぴょう

 甘/寒  肝心 滲湿利水・清熱生津・除煩
 あんまり食べる機会のない食材でしょうか。そもそも乾物って、水戻ししなくちゃいけないというハードルがあって、使わない人多そうですね。でも、干瓢は水戻ししなくても煮てしまえる代表格かもしれません。
 栄養素も少ないイメージあるかもしれません。栄養素の事は知りませんが(調べるの放棄しました)、薬膳的には清熱のチカラも湿邪に対するチカラも、水を捨てるチカラもある。しかも、動悸のようなそわそわ感や変な緊張感のある人にはぴったりな、除煩のチカラもあります。これ、夏に症状が増える方が多いので、時期的にもいいと思い選びました。
 ぺろぺろの白い弱っちい感じのするかんぴょうですが、意外にしっかりとしたチカラを持った子です。この機会に見直してあげてほしいです。
 今回はお粥のキットに入れた形ですが、めんつゆなどで軽く煮てごはんに炊き込むのも美味しいですよ。一旦煮てからの方が味染みが良く、アクセントになるので煮てから炊きますが、めんどうならカットしただけで炊飯器に入れて、おつゆで炊き込んでもできるはず。

しいたけ

甘/平 肝小腸 益胃気・止血・托透疹
 これは特に夏っぽくないなと思われると思います。ですが、夏は汗をかきますよね。汗をかくと一緒に気が出ていってしまいます。
 脱水には気を付ける人が増えてきていますが、脱気とでも言いますか、それに気を付ける人はまだ中々いません。これをスタミナ不足とか夏バテとか表現してしまうと、多くの人が焼肉やニンニクやジンギスカンを食べに行ってしまいます。これらは全て陽を盛り上げる食材であって、気を補う力とはまた少し別になります。(かろうじて牛肉は補気ですが、大体ニンニクやにら、ネギ、唐辛子がついて回るのが焼肉という食べ方なので、夏には本当は避けたい。夏に牛肉食べるなら、しゃぶしゃぶやステーキの方がマシです)
 ですので、陽を盛り上げるのではなく気を補い、しかも胃に負担の軽いものを摂りたい。その為にはキノコや山芋が良いのです。
 と言うわけで、干ししいたけを入れました。切り昆布だけだと若干出汁成分が弱いのもありまして。

 これにて、ベジタリアンにも使ってもらえる夏バテ防止おかゆの誕生です。ベジタリアンじゃない人は、おかずでお肉とか食べてください。

 陰もマイナーチェンジしました。山芋である山薬を入れていましたが、それを蓮の実に。汗で出ていきにくいように〆ることを優先しました。冬にはまた戻すかも?まだ分かりませんが。

 気に入った素材があったら、それのみをご自身で買って日常使いにするのもおススメしています。うちのお粥キットはあくまでも入り口。きっかけ。それだけでいいので。そろえるの面倒とか、バラで買うと大量すぎるとかなら、また是非お買い上げください。
 それでは、気楽な食養生ライフを!

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