見出し画像

夏の薬膳をしてみよう

季節に合わせた薬膳をする時には、次の3つのポイントを合わせて考えます。
①その季節に多いとされる「天地の気」に対する対策とその気に犯された時の対処
②その季節に影響されやすい臓腑器官のケアと影響されてしまった為に起きる症状への対処
③年間の季節の巡りに乗る為の方法
夏も同じです。ただ、ここで言う夏は五行論でいう夏の話です。例えば、夏には夏バテや夏に増える下痢などもありますが、それらはどちらかというと、五行論では「雨の多い時」の話です。合わせて読んでもらうと、日本の夏の養生として使いやすいかもしれません。(後日掲載します)
また夏はクーラー病と呼ばれる状態も発生します。この時クーラーから出てくる冷気はダミーの天地の気であり、それが暴走した「外邪」ではあるものの、夏の気ではないので、別に紹介することにします。
それでは夏の薬膳の仕方を順番に見ていきましょう。

①その季節に多いとされる「天地の気」に対する対策とその気に犯された時の対処
夏に多い「天地の気」と言えばすぐにピンと来ますよね。それです。
「暑気」
暑気払いという言葉があります。夏には暑気が多くなるので、それを払う力を持つ食材を使います。天地の気と邪の違いは、人間の体にいい影響を与えるか悪い影響を与えるか、ですので、「暑気」のうちから払い除けておくのが無難です。
清暑:苦瓜、ココナツ、緑豆
それでも体にたくさん暑気が入ってしまい、暑邪になってしまう時もあります。ここ数年はとても暑く40度を超える地域もあります。暑気を払い除けるのでは追いつきません。こうなってくると、体の中に熱が発生します。そうしたら熱を冷ます力を持つ食材の出番です。
清熱 スイカ、きゅうりなど
このような食材だけで夏をのりきれるのが望ましいです。②を使わないといけなかったり、夏バテになってしまわないように、袪暑や清熱の食材を上手に使いましょう。
また、夏はたくさん汗をかく季節でもあります。この時、水分である津液が出ていきますが、一緒に人体の気も出ていきます。水分補給に加え、生津という力を持つ食材や、気を補う補気のものを使って対策しましょう。
生津 レモン、梅
補気 枝豆、山芋、きのこ、鶏肉

②その季節に影響されやすい臓腑器官のケアと影響されてしまった為に起きる症状への対処
夏と関連の深い臓腑は、心と小腸とされています。現代の科学側の「小腸」は十二指腸・空腸という食べ物の消化吸収の要と、回腸という腸内細菌叢があり免疫機能の要とで出来ていますが、中医学の小腸がどこまでなのか分かりません。心の臓は割と現代と似ていて、血のポンプ機能とこころのコントロールタワーが心にあります。
夏になると暑くて動悸息切れしやすくなる方は、季節だから仕方ない一面もあるわけです。
詳しい話は臓腑についてのページを見ていただくとして、夏の心の臓には、心の火が燃え盛りすぎないようにする食材を使います。火を消す瀉火や清熱の食材や、水を足す滋陰の食材が代表的です。
瀉火 くちなし、あさり
清熱 緑茶、小麦、苦瓜
滋陰 なまこ
また、心の臓が元気をなくすために動悸息切れになる場合もあります。龍眼、なつめ、蓮の実、ハツなどを使うのも良いです。

③年間の季節の巡りに乗る為の方法
夏はものごとが栄える季節です。陽気の高まり、上昇気流に乗っかって何でもいけちゃう感じです。夏至に向けてどんどん陽気が高まっていきますので、上がりすぎないように調整をしましょう。春のページにある「潜陽」のものを使うこともありますし、逆に「壮陽」などの陽気を持ちあげるものを避ける養生も必要です。
壮陽 羊、鹿、エビ
絶対にだめというわけではありません。でも夏にのぼせや鼻血が出やすい人など、上半身に熱っぽい症状が起きやすい人は避けて吉です。

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
薬膳に必要な基礎理論をまとめた本を出しています。
よろしければそちらもご参照ください。
「やわるしすの薬膳本【門】

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

ほとんどの記事を無料公開しています。 なので、「新しい記事待ってるよ!」「頑張れ!」「おもしろかったよ」など思っていただけたら、ご支援いただけますと嬉しいです。 100円から可能です。お気軽にどうぞ。