春の薬膳をしてみよう
なんと本日は旧暦の元日でして、良いタイミングに春の薬膳について書くことになったなと。新春であり、もう少ししたら啓蟄、節分、立春と春めく暦が次々とやってきます。
季節の薬膳をするということは、
①その季節に多いとされる「天地の気」に対する対策とその気に犯された時の対処
②その季節に影響されやすい臓腑器官のケアと影響されてしまった為に起きる症状への対処
③年間の季節の巡りに乗る為の方法
を実践するということです。
順番にいきましょう。
①その季節に多いとされる「天地の気」に対する対策とその気に犯された時の対処
夏なら暑いから暑気が多いし、冬なら寒いから寒気が多く、それぞれの季節はそれぞれの気の影響を受けやすいです。これは分かりやすいんですが、春は一体、何の気が多いのか?
五行論では「風」とされています。
風邪
「カゼひいた」のカゼとは別モノ
大気の変化が大きい季節
風が強く吹く季節
風邪(ふうじゃ)は軽く、人体に入りやすく、しかも他の邪気を連れてきがちです。どの邪気とも仲良しで、連れてくるものの特徴と合わさってカラダのバランスを崩します。カゼもその一つ。風×熱、風×寒、風×湿、風×燥、それぞれ違うことが起きます。だから風邪は万病の素とも言えます。
また、風邪は、動きや変化が速いという特徴を持ちます。風邪が絡んでいる場合は、症状がころころ変わったり患部が移動したりします。例えば、カゼが、ゾクゾクから鼻水、咳痰、発熱と症状が変わっていくのをイメージしてください。全てを「カゼ」と呼んでいますが、実際の症状ごとに見ていくと、素早く変化しています。また、皮膚が痒くなるのは原因が様々にありますが、風邪が絡んでいると、痒いと思って掻いてたらその隣辺りが痒くなって、そっちを掻いていたらまた隣に、という事を経験したことがある方はそのイメージです。
こういった性質を持つ「風」なので、「伸び伸びと」「芽吹く」「生長」のグループ「木」に配属されました。
春の薬膳としては、まずこの「風邪」を防ぐことがポイントの一つになってきます。
袪風、疏風、逐風、熄風
が対策名です。
細かいことは省きますが、うど、さくらんぼ、うなぎ、コールラビ、桑の実などがこれに当たります。あくまでも「ふうじゃ」対策であって、「カゼ」対策ではありません。
②その季節に影響されやすい臓腑器官のケアと影響されてしまった為に起きる症状への対処
春や風の所属するグループ「木」
ここに所属する臓腑は何かというと「肝」「胆」です。ここでは肝の話をメインにします。
肝は陰陽どちらかというと陽側の臓です。春という季節も陽気が上がってくる季節なので、季節の影響を受ける時には陽側の症状が出やすいです。熱や、動きのあるものです。
赤いニキビや目の充血、のぼせ、筋肉が痙攣しやすくなるなどや、イライラしやすくなる、寝つきが悪くなるなどがそれに当たります。
この状態が生まれるのに、肝の陰が足りないからというパターンと、肝の陽が多すぎるからというパターンがあります。
肝陰が足りないならば、枸杞の実、イカ、鴨肉、うなぎ
肝陽が多すぎるなら、あさり、くちなし
を使います。
肝は、人の気のポンプ機能、血の貯蔵をしてくれる臓です。ここが熱くなりすぎてオーバーヒートすると、気の巡りが悪くなり、血が焦げ付き貧血に似た状態になることもあります。ですので、春の陽気が上がるとともに、肝が熱くなりすぎないようにするのが肝要です。
春になるとため息が増える方は、柑橘類やセリ・セロリ、薄荷(ミントでも)を試してみてください。
③年間の季節の巡りに乗る為の方法
ここまでは春という季節に対しての対策でしたが、季節を乗りこなすには前後のイメージが大事です。本来は、春(2〜4月)を元気に過ごそうと思ったら、1月くらいから準備をするのがおすすめです。
春は芽吹きの季節です。伸び伸びがキーワード。
でも冬は寒いし縮こまってます。冬はある意味それでいい季節です。蔵の扉をしっかり閉めて、気が外に無駄に漏れ出ないようにするのがいいです。でもこのまま春が来てしまうと、外界の陽気上昇の勢いに乗れず沈んでしまうか(そのまま5月病に…)、うまく扉が開かないまま中身がぶはっ!と飛び出してしまうか、どちらにしてもあまり良くないです。
上手に扉を開けて、清々しい気持ちで蔵を開いて新芽を出すには。
固まったものをほぐすことと、溜め込んだ要らないものを捨てることです。
ほぐすには、理気、活血、化痰利水を使います。ここには体質の話も少し絡んできます。が、満遍なくこの辺りを使いながら、ストレッチをするのがおすすめです。ストレッチはヨガでもバレエでも、体幹をしなやかに使うものならなんでもいいのではないかと思われます。
理気は柑橘類やジャスミンティーなど
活血は紅花、赤貝など
化痰は海藻類、玉ねぎなど
そして要らないものを出すには、苦味をとるようにしましょう。春に山菜や芽のものを食べられるのは、偶然の幸運なんでしょうか。不思議です。
芽のものは上へ伸びる力が強いので、食べすぎると咳が出たり嘔吐したりすることもあるので注意してください。
一つのメニューに全てを盛り込まなくても大丈夫です。食材は全てを書いてはいませんから、他にも調べてみていただくといいと思います。
ぜひ、旧正月がやってきたタイミングから、春の薬膳を始めてみてください。
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よろしければそちらもご参照ください。
「やわるしすの薬膳本【門】
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