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コロナの副産物(弱さを見せ合える発達指向型組織へのチームビルディング)

【この記事は書籍「なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか」の分析が含まれています。読了目安:5分】


「アフターコロナ」という言葉をよく見聞きするようになった。

この未曾有の状況は、通常の意思決定ではとんでもなく時間がかかったことが、ものの数分で下される状況。リスクを考えると石橋を叩いて叩いて、叩き割ってから動く(場合によってはそれでも動かない・・)ような国や組織が、とんでもないスピードで意思決定を下すような状況と言える。

願わくば、今起きている数々の意思決定が、進化した新しい未来の明るい素地となって、コロナの先にある世界がよりよくなっていることを願う。

そして、その片鱗を最近、身近で感じ始めたというお話。


1.コロナの副産物(組織作りに与える影響)

テレワークライフが始まってはや一カ月が経とうとしている。

はじめは「大変だ大変だ」と騒いでいたチームメンバーも、この環境に慣れてきている。とはいえ、物理的に移動できない環境下で、できないことも多く、本来あるべき仕事のやり方から、「どこまで妥協するか?」「どう代替するか?」という不測の問題に日々ぶつかっている。

つまり、組織全体が「やったことないけど、どーする??」という局面に同時多発的にぶつかっているという感じ。

ただ、ここに来て、意外な副産物を感じるようになった。


「チームの結束力は高まっている」


いくつかの要因が揃って、このような副産物が生まれている。

①組織全体がキャリアに関係なく「同じ境遇」に立たされている。つまり共通の言語がある。

②誰しもが悩ましい状況にあり、程度の差はあれ「誰もが困っている」

③力を合わせて乗り切る、ムードがあり「Helpに対して助け合いのアクション」が生まれている

④もらったらお返しするというマインド。返報性の法則により、「Give&Takeが高速で回っている」ということ。


この、Helpから生まれる善循環は、組織を強くする引き金になるのではないかと思う。

そこで、以前読んだこの書籍を改めて読み直し、この気づきを構造的に理解しようと試みた。

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書籍:「なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか」

以前読んだ時は小難しすぎたというのと、緊急性の低さもあって、腹落ちするまでいかなかった。今読むと非常にすっきりと腹落ちする。


2.「なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか」

この書籍では先の見えないVUCAの時代に、特にリーダーはより難解な意思決定をスピーディに行う必要があり、そのための人材育成の必要性を問うている。

個人のWill(やりたいこと)とCan(できること)、そしてMust(すべきこと)この3つが合致しなければ、組織も個人もお互い不幸である。

そのためにも個人の成長が必要であり、それがひいては組織の成長になる。

この書籍ではDDOという考え方が中心に語られている。

DDOはDeliberately Developmental Organizationの略で【発達指向型組織】のこと。難しいが、要するにどんどん上を向いて成長して行ける組織ということ。

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この本の面白いところは成人の成長を3段階で語っている事。

「成長」というと「子供が大人になること」、というニュアンスで考えがち。でもこの本は「大人も3段階に成長せよ」と語る。

①環境順応型知性(まずはその場になじんで順応する)

②自己主導型知性(組織の中で自分の判断基準を確立する)

③自己変容型知性(自己の価値基準の限界に挑戦し矛盾や対立を受容する)

現在のコロナ危機の状況は否応なく、この③の段階に直面させられているとも言える。この変化と素直に向き合い、課題解決に動ける人間は発達志向型組織をドリブンする人材として成長しうると思う。


3.「弱さを見せる」の本当の意味

この本を手に取ると、「プロジェクト・アリストテレス」という言葉がすぐに頭に浮かぶ。心理的安全性という言葉を世に知らしめたGoogleのプロジェクトである。Googleが分析した結果「優れたチームを作るためのただ唯一の鍵は『心理的安全性』を持てるかどうかである」との結論を出した。

プロジェクト・アリストテレスを象徴するエピソードはこんな内容。

チームリーダーが、自分が大きな病(癌)に犯されていることをメンバーに伝えたところ、メンバー間の関係性が単なる役割を超えたものとなり、メンバーが次々に自分の弱みを語りだし、結果チームの結束力が高まった。
メンバーが常日頃から仕事や生活の中での心配事や自分の弱みを共有するチームの方が、そうではないチームよりも生産性が高い。結果、プロジェクトの成功確率が高くなる。

で、この本もそんな内容なのかと思いきや、実は全く違う内容。

Google心理的安全性:弱ささらけ出し、お互いの存在を認め、何でも言い合える組織にする
DDO:弱さをさらけ出し、その弱さに対してお互いに克服するように刺激し合い、組織として強く成長する

比較するとこんな感じ。DDOは「弱さから逃げるな!」と言っている。はっきり言ってこの2者は真逆のコンセプトである。
いや、DDOは心理的安全性を担保した上で、更に高みを目指せと言っている。

この書籍では弱さを隠し、放置することについてこう言及している。

現代社会にありふれた組織、つまり、自分の弱さを隠すという「もう一つの仕事」に誰もが明け暮れている組織の状況を考えてみてほしい。経営者は、そのような仕事しかしていない人にフルタイムの給料を支払っている。しかも、弱点を隠している人は、その弱点を克服するチャンスも狭まる。その結果、組織は、その人の弱点が日々生み出すコストも負担し続けることになる。

だからこそ、弱さを引きずり出し、組織ぐるみでそこから逃げずにたたき上げて克服する、それこそが発達型組織であると説く。

言っていることは分かるが、想像以上にスパルタな内容・・・。


しかし、この考え方を理解した上で、現状の置かれている組織に目を向けると自分ゴト化できる所も多い。
この「弱み」を「現状できていないことを隠さずに素直に表出させる」と理解すると、今それが自然にできている環境なのではと思う。

幸か不幸か、ロバート・キーガン氏が語る、発達指向型組織の入り口に、今立っていると言えるのではと改めて思う。


まとめ

この書籍にはホーム、エッジ、グルーヴという3つのコンセプトが登場する。

ホーム:自分をさらけ出せる環境

エッジ:個人の限界(エッジ)まで挑戦する強い欲求

グルーヴ:発達を促す慣行と仕組み

これら3つの総和で個人も組織も発達(成長)していけると語る。

「ホーム」はGoogleの心理的安全性が言及するところであり、この重要性は以前から意識していたこともあり、ある程度の素地があったと思う。そして、今のコロナの環境により、否応なく「エッジ」の必要性を突き付けられている。これを機会と捉え、その先の仕組みとしての「グルーヴ」を整えるチャレンジをすることで、組織は次のステージに上れるのではと思う。


コロナのおかげで、チームの結束力の在り方に目を向けられたのは良かった。

危機とは「危険」+「機会」

何事も「機会(チャンス)」と捉え、ポジティブに行動を変えて行こうと思う。


ちなみに、この書籍にはほかにも掘り下げて理解したいティップスが盛沢山。なんせ400ページ、2,750円もする圧巻の内容。また折に触れ理解を深め、改めてnoteでも整理していきたいと思う。



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