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表現の自由?保障されてるからって何でも許されると思うなよ。

このペースで投稿していては行政書士試験の期日までには到底間に合わないと気づきはじめた行政書士応援ポッドキャスト「やわらかいほうのごたく」

今回は憲法21条「表現の自由」に関する有名判例をピックアップ。
自由は保障されているが何でもアリというわけではなく、公共の福祉による制約が一定ございますよ。という趣旨を様々な判例が伝えています。

≪ポッドキャスト版 やわらかいほうのごたく≫
https://listen.style/p/yawarakaihou/8kqpu3mm

立川反戦ビラ配布事件(最判平20.4.11)
立川自衛隊監視テント村は自らの発刊する月刊新聞をダイレクトメールで送付、あるいはポストへ投函するといった活動を行っていた。同団体は自衛隊イラク派遣に反対する旨のビラを投函。これに対し、官舎の管理者は、立川警察署へ被害届を提出。
【判例要旨】
各室玄関ドアの新聞受けに政治的意見を記載したビラを投かんする目的で、職員及びその家族が居住する公務員宿舎である集合住宅の共用部分及び敷地に同宿舎の管理権者の意思に反して立ち入った行為をもって刑法130条前段の罪に問うことは、憲法21条1項に違反しない。
→管理者の管理権および住民の私生活の平穏を侵害する、公共の福祉に反するのでダメ。

表現の自由など精神的自由権の規制を審査する場合、職業選択の自由などの経済的自由権の規制審査よりも、厳しい基準で審査される。=二重の基準と呼ばれます。
厳しめに審査しても、不法侵入してビラ配りする行為は制限されますと結論づけられています。

レペタ法廷メモ採取事件(最大判平元.3.8)
研究の一環として所得税法違反事件の裁判を傍聴していたXがメモをとろうとしたが裁判長に許可されず、不服として国家賠償請求訴訟を起こした。
【判例要旨】
憲法82条1項で裁判の公開が制度として保障されている。
傍聴することはOK。
メモをとる権利を要求できることまでを認めたものではない。
筆記行為の自由(というものがあるならば)は憲法規定の精神に照らして尊重されるべきものである。→故なく妨げられてはならない。
しかし、筆記行為の自由は憲法で直接保障されている表現の自由とは異なるので、その制限または禁止には表現の自由に制約を加える場合に一般に必要とされる厳格な基準が要求されるものではない。(表現の自由と同レベルではない)メモを一般傍聴人に対して禁止する裁判長の措置は合理性を欠くとまではいえず憲法14条に違反しない。

こういうのに、クソ真面目に答えてくれるのがめっちゃ好き。分かりづらい表現が続きますが、慣れましょう。
※メモを取る行為が法廷における公正・円滑な訴訟の運営を妨げる場合にはそれを制限・禁止することも許されるが、通常そのような事態は起こりうる可能性が低いので特段の事情がない限り、メモは傍聴人の自由に任せるよって意味にも解釈されます・・・

博多駅テレビフィルム提出命令事件(最大決昭44.11.26)
学生と機動隊員の衝突事件の際、機動隊側の過剰警備の証拠として裁判所が放送会社に対し衝突の模様を撮影したテレビフィルムの提出を命令した行為は報道の自由の侵害にあたるか。
【結論】
報道の自由は憲法21条1項で保障される。
報道は事実を伝えるものであり思想を表明する「表現」とは異なるものの、国民の「知る権利」に奉仕する重要なものであり、21条1項で保障されている。
取材の自由は憲法21条1項で保障されない。
報道のための取材の自由も、憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値する。
報道機関の取材活動によって得られたものが証拠として必要と認められるような場合には、取材の自由がある程度制約をこうむることとなってもやむ得えないところというべきである。

関連判例:取材源の秘匿=石井記者事件(最大判昭27.8.6)
新聞記者の取材源についての証言と刑訴法上の証言拒絶権
新聞記者は記事の取材源に関するという理由によつては刑訴法上証言拒絶権を有しない。憲法第21条は、新聞記者に対し、その取材源に関する証言を拒絶し得る特別の権利までも保障したものではない。
→刑事事件において、新聞記者は今後取材がしづらくなるからといって証言を拒否するといった権利を主張することはできない。
※民事事件において、新聞記者はその職業の秘密について証言を拒絶することができる(最決平18.10.3)★原則と例外★
民事事件において証人となった報道関係者は、当該報道が公共の利益に関するものであって、その取材の手段・方法が一般の刑罰法令に触れるとか、取材源となった者が取材源の秘密の開示を承諾しているなどの事情がなく、
しかも、当該民事事件が社会的意義や影響のある重大な民事事件であるため当該取材源の秘密の社会的価値を考慮してもなお公正な裁判を実現すべき必要性が高く、そのために当該証言を得ることが必要不可欠であるといった事情が認められない場合には、原則として、当該取材源に係る証言を拒絶することができる。

こういう判例独特の言い回しで「結局、なんなん!?」ってなるんですが、とにかく慣れましょう。慣れたら何言っているか何言いたいか分かるようになってきます。こんな案件ぶつけられる裁判長の気持ちになったら、こういう日本的な表現もしょうがないかなと思うように・・・

行政書士試験的にはすごくひっかけやすい論点盛りだくさんですかね~!「尊重」とか「刑事事件の場合は」とか間違えやすいので、しっかり覚えましょう!!


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