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子どもの権利を奪わない世界への扉を開くお話

こんにちは、やわデザnote編集部兼「目的地は鬼ヶ島」制作チームの ひろきょんです。

以下の記事でご紹介したとおり、富士通グループ横断「やわデザ」コミュニティを舞台に新しいイベント「目的地は鬼ヶ島」を開催しています。

「目的地は鬼ヶ島」は、一言でいえば「社会課題」についてみんなで楽しみながら理解を深める、全9回の社内イベントです。

本記事では、最終シリーズとなる「世界も未来も変えられる編」の第1話(7月13日開催)についてレポートします。最終シリーズの計3回は、実験的にライブ配信範囲を広げ、ご招待したいくつかの企業のみなさんと一緒に「鬼ヶ島」に行きます。

「目的地は鬼ヶ島」世界も未来も変えられる編

イベントの雰囲気を実際に感じてみたい方は、以下の動画をご視聴ください(40min)。

子ども、若者が自らの意思で人生や社会を築ける世界をつくりたい

今回の桃太郎(ゲスト)は、特定非営利活動法人 ACE(エース) 岩附 由香(いわつき ゆか)さん です。

みなさんは「児童労働」という言葉を聞いたことがありますか?

児童労働とは、義務教育を妨げる労働や、法律で禁止されている18歳未満の危険・有害な労働のことを指します。児童労働をしている子どもはなんと世界に1億6000万人!農業に携わる子どもが一番多いと言われています。
しかも、新型コロナウイルスの蔓延などによって貧困が広がり、その数は、今後ますます増えるとも言われているそうです。

岩附さんは大学時代にアメリカに留学し、帰国する際に立ち寄ったメキシコで衝撃的な体験をしました。小さな兄弟が紙コップを手に「お金をちょうだい」と近寄ってきたのですが、彼らの母親はすぐ近くでその様子を眺めていたそうです。その時、「どうして(親が)子どもにこんなことをさせるのだろう?」と疑問に思ったとのこと。それが「児童労働」との初めての出会いでした。

帰国後、岩附さんは大阪の大学院に進学し、「児童労働に反対するグローバルマーチ」という世界的なムーブメントがあることを知りました。日本からは参加を表明する団体がないことを聞き、それならば自分がやろうと思い、6ヶ月限定のつもりで仲間と立ち上げたのが「ACE」です。

団体での活動を始めたころ、岩附さんは、サッカーボールの児童労働に関わり、児童労働を強いられていた少女を日本に招くことになりました。その時、少女が記者会見で語った「大人が正当な賃金でつくったものを使ってください。子どもは学校に行くべきです」という言葉を聞いてハッとします。「児童労働は遠い国のかわいそうな子どもの問題ではなく、消費している自分たちの問題である」と気づいたからです。

現在は、ガーナのカカオ産業インドのコットン産業における児童労働をなくすため、地域の人たちと一緒に教育の支援や子どもの見まもり活動を行いつつ、企業などのステークホルダーへの働きかけを続けています。

カカオと言えばチョコレートの原材料であり、日本が輸入するカカオ豆の約7割はガーナ産です。したがって、私たち日本人も児童労働と無関係ではいられませんが、最初は企業は相手にしてくれなかったそうです。しかし、強い想いをもって粘り強く働きかけた結果、今ではチョコレートを扱う企業から寄付を受けたり、ACEの支援した地域で採れたカカオを使ったチョコレートを企業が販売するようになるなど、その活動は大きく広がっています。

悲しいエピソードに胸を痛めるヤマカワとメグ

その一方で、悲しい出来事もあったと岩附さんは語ります。それは、インドのコットン産地で出会ったある家族のお話でした。農薬が原因で体調が悪化している少女をコットン畑から引き離すため、両親を説得しようと試みたそうです。しかし、「働くしかないんだ」と返され、児童労働を続けた少女は命を落としてしまいます。この時、岩附さんは悔しい想いと共に、「児童労働は子どもの今を奪うだけじゃなく、未来も奪ってしまう」「子どもの可能性がどんどん奪われていく現状を、早く何とかしたい!」と強く決心したそうです。

運転手のヤマカワが、おとぎ話「桃太郎」を例えに岩附さんにとっての「鬼(一番大きな困難や課題)」を尋ねたところ、「心の持ちよう」とコメントされました。貧困のために余裕がなく、子どもの現状に対して親が「自分には何もできない」「変える力がない」と諦めてしまっているのだそうです。

また、岩附さんにとっての「イヌ、サル、キジ(大切にしているものを3つ)」を尋ねると、「いっしょに活動を進めていく企業、政府、応援してくれる人(市民社会)」という答えが。団体として何も実績がない頃から応援してくれた人たちがいたから今のACEがあり、企業を動かすためには政府の力も必要だと教えてくれました。

25年にも渡って活動が続いているACEのパーパスは、「子ども、若者が自らの意志で人生や社会を築くことができる世界をつくるために、子ども、若者の権利を奪う社会課題を解決する」です。これをみんなで実現していきたいと、岩附さんは最後に語ってくれました。

イベントを視聴した社員の反応は?

当日は富士通グループの社員を含む約180人が視聴してくれました。イベント中に、投票サービス「slido」に寄せられた社員の感想やコメントをいくつかご紹介します。

視聴した方の感想やコメント

今回は富士通グループ以外の企業から参加した方から、嬉しい感想を頂きましたので一部ご紹介します。

・素晴らしい内容でした。複雑な話を面白く、わかりやすく聞けました。あっと言う間に時間が過ぎました。ありがとうございました。
・最終シーズンを迎えると聞いています。頻度が少なくなったとしてもずっと継続してほしい。
・大手企業の中でこのような企画が実施されていることが非常に新鮮で、素晴らしいと感じた。

第2話へ続く

「目的地は鬼ヶ島、面白い!」と思った方はぜひ、「世界も未来も変えられる編」の第2話「移動映画館を通じて子どもの将来の夢を広げるお話」の開催レポートもぜひお楽しみに!

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今回の桃太郎さん(ゲスト)プロフィール
岩附 由香 さん
14~16歳まで米国ボストンで過ごし、桐朋女子高等学校卒業。上智大学在学中、米国留学から帰国途中に寄ったメキシコで物乞いする子どもに出会い、児童労働と教育を研究テーマに大阪大学大学院へ進学、国際公共政策修士号取得。在学中にカイラシュ・サティヤルティ氏(2014年ノーベル平和賞受賞)の呼びかけた「児童労働に反対するグローバルマーチ」をきっかけにACEを発足させる。その後、NGO、企業、国際機関への勤務やフリー通訳を経て、2007年よりACEの活動に専念。
https://acejapan.org/

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