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彼女の名は、シャネル・ミラー

4年間エミリー・ドゥという仮名で知られていた、スタンフォード大学の元水泳選手ブロック・ターナーにレイプされた被害者女性。彼女がついに実名シャネル・ミラーを明かし”Know my name”というメモワール(回想録)を出版するという記事を目にしました。

私が初めてシャネル・ミラーを知ったのは、彼女をレイプした犯人が将来有望な”白人"の水泳選手だったから、3度の裁判で陪審員全員一致で有罪になったにも関わらず、判事はたった6ヶ月、しかも刑務所ではなく留置場での禁錮という、信じられない減刑を言い渡したニュースを見たときでした。

こんなに理不尽な事がまだ起きているのか…と思うと被害者の気持ちを考えずにはいられませんでした。しかし、シャネルがここまで注目され続けているのは加害者が”白人”だから減刑されたという判決内容ではなく、彼女が判決後に法廷で読み上げた声明文の素晴らしさが、性別を超え人々の心に響いたからだと思います。

私は当時、朝キッチンでニュース記事を読むというルーティンをしていたのですが、ツイッターから次々に流れてくるシャネルの声明文が気になり、その全文を探し読み終わる頃には涙が溢れ出していました。

かなり長文なので、声明文の最後の一部を抜粋しようと思います。

そして何より、意識を失って倒れていた私を助けてくれた、まだお会い出来ていない2人の男性にありがとうと言いたいです。ベッドの上に、2つの自転車の絵を描いた紙を貼り一緒に眠っています。この物語にもヒーローがいることを忘れないように。それは、私達はお互いに助け合えるんだと思わせてくれます。これらの人々を知ることができたこと、彼らの保護や愛を感じられたことは、私にとって消して忘れられない出来事になるでしょう。
そして最後に、世界中の少女達、私はあなたと共にいます。あなたが孤独を感じる夜、私はあなたと一緒にいます。皆んながあなたを疑い、信じず仲間はずれにし疎外する時、私はあたなと共にいます。あなたへ届けと、毎日戦っています。だから、戦うことをやめないで。あなた達を信じています。作家アン・ラモットが書いたように”灯台は島中を回ってボートを助けることは出来ません。灯台はいつもそこに立ち、光を照らしています”私は全てのボートを助けることは出来ませんが、今日私が話すことによって、少しでも光を感じ、少しでもあなたを黙らせる事はだれにもできないと知り、正義が勝つということもあるんだと感じ、私達は何処かで繋がっているという小さくても確かなものを感じて欲しいです。そして何より、あなたは疑う余地などなく重要で、誰もあなたに勝手に触れていいはずがありません。あなたは美しい、尊敬され否定されることのない価値ある存在です。1分1秒、毎日、パワフルで、誰にもそれを奪うことなどできません。ガールズ、世界のどこにいても、私はあたなと共にいます。ありがとうございました。

シャネルの声明文は、私たちが住んでいる世界の文化や、性犯罪から生き延びたサバイバーが正義を得るためには”こうしなくてはならない”という誰が決めたのか分からない常識をくつがえしてしまう力があります。彼女の声明文が4年経っても、こんなに鮮やかなのは、”ヘイトは愛でしか乗り越えらない”というパワフルなメッセージが込められいるからだと思わずにはいられません。

“Living well is the best revenge”という言葉があるのですが”自分の生き方を見いだすことが、一番の復讐になる” シャネルの生き方から、私はそれを実感しています。


めちゃくちゃ勇気でた!


Bibliography:スタンフォードの犠牲者が、加害者に宛てたパワフルレター全文

Bibliography:スタンフォードの性暴力被害者、そのヴェールを脱ぐ


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