見出し画像

サバイバー達の快進撃

昨日書いたシャネル・ミラーの新しい記事が続々と出てきていて、どの記事も彼女の生き方に賛同するものばかりで、シャネルの勝利を感じ嬉しくなります。

その記事の中で、当時副大統領だったジョー・バイデンがシャネルに宛てた公開書簡の存在を目にしました。私は米大統領選に興味があり”趣味"と呼べるほど、その行方を見守るのが大好きです。ジョー・バイデンというと、来年に迫った米大統領選挙の有力候補の1人です。元副大統領という知名度の高さも加わり、最新の世論調査ではトップに躍り出ていました。

バイデンは過去にセクシャルハラスメントを訴えていた女性アニタ・ヒルの公聴会で議長を務めていたのですが、セクハラを裏付ける証言が多数あったにも関わらず彼女の訴えを退け、彼女を「妄想に取り憑かれたウソ付き女」に陥れ侮辱しました。バイデンは今回の大統領選出馬の際に、不公平な人格攻撃をしたことをアニタ・ヒルに謝罪したのですが、彼女は謝罪を受け入れていません。

そんなバイデンが一体どんな手紙をシャネルに書いていたのかが気になり、その手紙の全文を探しました。バイデンという人物の良い、悪いは別として、「誰にも言えない」「言いたくない」ようないような経験をした女性サバイバー達(性犯罪の被害者はvictim/被害者ではなくsurvivor/サバイバーと呼びます)を、とても勇気づける内容でした。

「誰にも言えない」というのは、想像しただけでかなり辛い。バイデンの手紙は、悪いのは加害者なんだというパワフルなメッセージが込められいました。

かなり長文なので、「誰にも言えない」経験をさせらてしまった全ての人に当てはまる部分を、抜粋したいと思います。(シャネルは当時匿名です)

私たちは、一見もっともらしい反論をする道を探し求める人達に対して声を上げよう。こんな酷いことが起こっているのに、関わりたくないと云う人達に。こんな酷い犯罪が”ややこしい”から関わりたくない、と云う人達に。
私たちはあなたのことを、これからも話すでしょう。あなたが匿名で留まったことは、ただ自分のアイデンティティを守るためではなく”全ての女性"の気持ちを代弁するためでもありました。私たちは、あなたがしたように灯台になり、光を放ちます。あなたのストーリーは既に多くの人々の人生を変えました。そして常識を変えました。自分は関係ないと目をつぶって、無関心を貫く何千人もの人達がこの問題を引き起こすことを許しているんだ、と目を覚まさせました。あなたの言葉は、あなたが生涯出会わない人、まだ見ぬ人々の助けとなるでしょう。彼女達が戦う勇気を与えました。だから私は確信しています、あなたはこれからも「誰にも言えない」と絶望する人達を救う希望だと。私はあなたの名前を知りませんが、決してあなたを忘れることはないでしょう。あなたの勇気あるストーリーに触れた何百万人もの人々は、あなたを決して忘れません。

日本では今、実父からのレイプ事件や、泥酔させてからレイプした事件に対して、立て続けに無罪判決がでています。この無罪判決は女性の尊厳を傷付けるだけでなく、裁判で繰り広げられる卑劣な尋問が女性を更に自己嫌悪に陥らせる話しが後を絶えません。

「そこに何しに行ったのか?何を話したのか?どれだけ酒を飲んだのか?なぜノースリーブを着ていたか?」は問うべきではありません。問うべきは「なぜ、その男はレイプする権利があると思ったのか?」です。

シャネルの勇気が見せた希望は、アメリカを震源地にし、今再び世界を揺らそうとしています。今度こそ、日本もその大きなムーブメントを掴めるチャンスなんだという希望を持ちたいな、と思います。

希望がないと未来は切り開けない。


Bibliography:ジョー・バイデンがスタンフォードのサバイバーへ書いた公開書簡  全文

Bibliography:ジョー・バイデンがアニタ・ヒルに遺憾の意を表明したが、彼女は”ごめん”では済まされないと発言



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?