理屈っぽい人のための教科書『これってホントにエコなの?』
巷には「環境に優しい」をうたう商品が溢れているけれど、「ホントに?」と思うことが頻繁にあります。(多くのものは、「その会社の従来製品と比べて」という意味での「環境に優しい」であり、他社製品などと比べて良いとまでは、名言していない)
そんな「ホントに?」に答えてくれるのが『これってホントにエコなの?』(東京書籍)です。
日常のあらゆる場面で生じる「環境への影響」を教えてくれる本
この本では、以下のようなカテゴリごとに、「ヨーグルトの容器は、リサイクルに出す前に洗うべき?」など、日常の中でぶつかる具体的な疑問がいくつも挙げられ、それぞれに対して詳しい解説がなされています。
この本が面白いのは、判断基準が「環境への影響」の一点のみであるところ。コストや利便性の観点は脇において、環境への負荷を最小限にするためには、どのような選択をすべきかが明確に書かれています。
例えば「子どもをもってもグリーンであり続けられる?」というトピックスでは「出生数を減らすのは、個人レベルとしては非常に大きな影響力のある環境対策のひとつだとも言えます。」とあり、子どもの存在についてこういう書き方をするのは感情的に受け入れがたい、と感じる人もいるかもしれません(さすがに著者も、「子どもを持つな」とは言っておらず、人口増加による影響に強い不安があるのであれば養子縁組をするという選択肢もある、などの提案もなされています)。
この本の使い方と効果
なので、この本の使い方は「書かれていることに全て従う」ということではないでしょう(それは不可能)。生活の様々な場面でどのように環境負荷が生じているかを知り、自分の行動を選択するための視点や知識を身につける、という目的で読むのに適しています。
私も、これを読んでから新たに気をつけるようになったことがあります。
例えば、同じ製品を買うにしても、どこでどのような手段で買うかを以前より考えて判断するようになりました。
以前は、「ネット通販って便利だけど、配送によるCO2排出が気になるなぁ」と思っていました。
それがこの本によれば、消費者がそれぞれ車で買いに行くのと比べ、「一度に大量のアイテムを輸送でき、消費者のもとに商品が届くまでの往来数が少なくて済むため」、ネット通販の方が燃料効率が高くなるとのこと。
もちろん、他の買い物のついでに買えるものなら、実店舗で買う方が効率が良いでしょう。でも、それを買うためだけにちょっと遠くのホームセンターまで足を伸ばすのなら、ネットで買った方がいいのかな、という考え方ができるようになりました(ただし、通販だとプラ製の梱包材などもたくさん入っているので、簡易包装で送ってくれるところを選んだりできればより良いと思います)。
理屈で考えたい人に
「国内産の食品だけを購入すべき?」というトピックは、答えは明確ではありません。輸入食品は輸送の過程で多くのCO2を排出しますが、その食品を作るプロセスで生じる環境影響なども鑑みると、輸入食品の方が環境に悪いとは一概に言えないとあります。
「なんて理屈っぽいんだ!」と呆れる方も多いかもしれません。普段の会話でしょっちゅうこういう発言をしていたら、相手は自分の行動を非難されているようでうんざりするでしょう。
でも、「商品パッケージに書いてある『エコ』って、どういう意味で言ってるの?」と突っ込みたくなっちゃう理屈っぽい人には、とてもおすすめの本です。
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