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一級建築士、学校か独学かの話

2018/12/20、私は一級建築士という資格に合格しました。

当時、合格発表の欄に載っていた番号と名前は自分のものでしたが、記載ミスだったら恥ずかしいと思い周囲には告げられず。

2018/12/21、合格通知が家に届いたことでようやく自分の合格を確信できました。

そこから1年が経過し、仕事周りの方やTwitterなどの一級建築士受験生の方が費用面で悩んでいたので、参考までに私のケースを交えて費用がどの程度必要となったかを書いていこうと思います。


何年で合格したのか?

私は学科初受験から数えること7回目で学科合格、製図は2年目で合格、計8年を要しました。

最初の数年間は会社から受けろと言われ、やらされ感から受験していたので成果はさっぱり上がらず。

ちゃんと計画性をもって勉強したと言えたのは5、6回目あたりからです

製図試験は1年目は近所にあった日建学院の通学、2年目はTACの通信と建築資格研究会という所の通信を併用して勉強しました。


費用はいくら?

合格までに要した金額は約87万円でした。
(プラス登録に約8万円)

雑費分を含め、端数を丸めて計算した各項目の金額内訳は以下の通りです。


・受験料約2万円×8回=16万円
・学科対策「合格物語」約6.5万円+約5.5万円=12万円
・合格物語用タブレット端末約2万円
・学科用書籍及び雑費約1万円
・製図対策1年目「日建学院通学」約45万円-教育訓練給付金8万円=37万円
・製図対策2年目「TAC通信」16万円+「建築資格研究会」約2万円=18万円
・製図用書籍及び雑費約1万円


合計約87万円。
この金額は当時いた会社の資格手当ではペイするまでに14年半かかるものでした。

それでも、周りの方の話を聞くとプリウス買えるくらいかかった、ウン百万円使ったという話が出るので、私はまだ安上がりだったのかもしれません。
(それでも時間という資本を多く使っていますが)



他の方はどのくらいかかってる?

私が本当に安上がりだったのか、聞いたことのある範囲で他の方が要した費用例を挙げたいと思います。

前職で大変お世話になった方は、学科3回、製図7回を経験したそうです。
その間学科は1度、製図は全て学校に通ってたとの事でした。

当時でいくらかかったかまでは聞いていませんが、今の資格学校のHPに掲載されている費用で計算すると、受講料だけでも約400万円を費やしたことになります。
(以下、全て総合資格で算出)


私より5歳ほど上の年齢の方では、学科2回、製図1回で合格された例もあります。
全て学校に通っていたそうなので、受講料だけで約180万円。


学科2回、製図3回全てを学校に通って合格された方だと、受講料は約280万円。


学科1回、製図2回で合格、製図1回目は通学、2回目は通信を利用した方だと、受講料は約66万円。
(通信の費用のみTACで算出)


金額を計算してみて感じるのは、学科を通学しただけでも一気に総額が上がってしまうということ。

なので私は時間は多く使ったけれど、学科で通学しなかった分だけ安上がりになったのでした。

この結果を踏まえ、(絶対にもうやりたくないですが)私が改めて一級建築士を受験するとしたら、費用対効果が良いと考える方法を考えました。


①学科は独学(通学しない)

学科は独学でいけることは多くの方が証明しています。あとは独学の方法を確立すること。

私ならやはり合格物語を活用します。その際、タブレット端末はsurfaceなどちょっと高価な機器を選んでもいいと思います。だって通学しないんだから。


②製図は理想は2年目合格

いや1年で合格できるのが理想に決まってるだろ、とお考えの方、そのご意見はごもっともです。

ただここで私が提案したいのは、費用対効果のある合格手段なんです。

正直資格学校のお世話にならずに製図試験を突破するのは至難の業です。

そこで、1回無料で学校を利用させてもらえばいいのです。
いや何言ってんの?って感じかもしれませんが、方法はあります。

それは学科試験の点数を合格ボーダーギリギリにすること。(実際狙って取るのは無理ですが…)

学校が発表する合格基準点より1点程度低い点数だと、とりあえず製図通学講座を受講しませんか、とお誘い頂けます。

その時、例えば日建学院ですと学科不合格だった場合は受講料を返金します、という条件で受講させてもらえるんです。

学科ボーダーギリギリ→製図通学受講→学科不合格→受講料返金、となればタダで約1.5ヶ月、実質前半戦の勉強をすることができるんです。

そして翌年、学科合格→製図通信講座受講とすれば、必要最小限の費用で製図試験を戦えます。

これで学科製図合計約39万円という破格の費用で一級建築士合格できる可能性があるのです。


・受験料約2万円×2回=4万円
・合格物語約7万円
・タブレット端末約10万円
・製図通信講座約18万円


ちょっと無理がありますかね?



製図試験に学校は必要か?

私の個人的な感想としては、製図試験で学校に通わないと厳しいという意見の根拠は、

①製図の基礎(作図手順、表現など)がわからない
②その年の課題に対応する知識を独学で収集するのは困難

という2点にあると考えます。

①については、先の製図講座の前半戦で学ぶことが出来ますし、最近ではYouTubeでも実際の作図を観ることができます。

②については、知識収集をする時間が惜しいのは確かです。課題発表から試験まで約3ヶ月、仕事も生活もしながら勉強をしなければならないことを考えると、知識を覚えて活用する練習に時間を当てたいですよね。

そうすると、この部分は学校の通信課題などで対応するのが一番費用対効果が高いと思います。


一方費用は高いですが通学のメリットを考えると、上記の点プラス講師に教えてもらえる、質問できるということが挙げられると思います。

ですがこの講師に依存する部分が逆に良くないと私は考えるのです。

私も1度製図で通学しましたが、講義の大半はビデオを観ること、その日の課題でエスキス、作図することでした。

講師がしていたのは、ビデオの情報を補足すること、質問があればそれに答えること、提出課題の添削結果を報告することでした。

しかし実際、ビデオの補足は配布される資料でわかることばかり、添削指導は数回受ければ見ている点が把握できてくることでした。

おまけに、本試験後に復元図を提出してランクⅠの評価を受けた人が実際はランクⅢという例も聞くので、学校の評価基準が正しい訳でもない。

となれば、講師がいることってそんなにメリットにならないのでは?というのが私の結論です。
(もちろん素晴らしい講師の方もいるでしょうし、あくまで私の経験からの意見であることをご容赦ください)


人によっては通学すること自体が勉強への強制力となるケースもあるので、私の考えが一番良いとは到底思いません。
色んな勉強の仕方があり、その中にはこんな考え方もあるんだなぁと思えていただけて、これから受験される方々にとって少しでも参考になれば幸いです。

【2020/02/16追記】
下記noteを書きました。合わせてお読みいただければ幸いです。
一級建築士の製図試験に思うこと

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