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『新歴史・時代小説家になろう』第11回「図書館、使ってますか」

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 今回の話も、引き続き資料の探し方、本の探し方についてです。
 早速行ってみましょう!

図書館とは何か

 皆さん、図書館に行ったことはおありでしょうか?
 たぶんない方はいらっしゃらないと思います。子供の頃、絵本を読みに行った思い出のある方は多いんじゃないかと思いますし、学校の図書館で本を借りた経験は一度や二度はあるんじゃないでしょうか。
 では、ここで質問です。図書館とは、なんのために存在するのでしょうか。
 ちょっと哲学的にも聞こえかねない問いですね。なので、ちょっと設問を変えましょう。

「家の本棚と図書館は何が違うのか」

 この設問で行きましょう。
 例えば、わたしは物書きなのでそれなりに蔵書を有しています。実家の本をカウントすれば、数千冊くらいになるんじゃないかと思います。でも、蔵書家の中には、個人で数万冊以上本を有している方もいます。場合によると、公立図書館よりも遙かに書籍所有数の多い蔵書家もいらっしゃるはずです。
 では、家の本棚と図書館は何が違うのか。
 それは、例外もありますが、

 図書館においては、洗練化され、標準化されたルールに従い本が分類され、情報を手に入れやすくしている

 ことが挙げられます。図書館における分類法はいくつかあるそうなのですが、いずれにしても、様々なジャンルの本を網羅的に分類し、それぞれの棚に収めてあるのが図書館なのです。つまり、図書館の分類ルールを勉強しておけば、大体どの辺りの本棚に目的の本があるのか見当が付くようになりますが、実はこれらの分類は「図書館学」という立派な学問分野として成立しており、奥が深いので、何かの知識を得ようとするために図書館学を修めるのはあまりにも迂遠すぎます。なので――。

レファレンスサービスを受けてみよう

 地域の大きめな図書館には、「レファレンスコーナー」などと名前が付いた一角があります。ちなみにわたしの住んでいる地域では、すべての図書館でレファレンスコーナーを備えています。
 しっかりした図書館だと、「これこれこういうことを調べたいのだけれど」と具体的に調べたい内容を説明することで、図書館学のプロである図書館員が館内・館外図書情報を精査して、ある程度の当たりをつけてくれます。
 たとえば、「江戸時代後期の町人の暮らしについて知りたい」とレファレンスサービスで相談すると、図書館員さんが「こういう本があります」「ああいう本に記載がある可能性があります」とご紹介してくれるのです。
 ちなみに今ではこんなサイトもあります。

 こちらはこれまで図書館が受け付けてきたレファレンス事例を集積、回答も含めて掲載されているデータベースです。新規の質問はできませんが、キーワードを入れるだけで過去のレファレンス事例を確認できるので、何かを知りたい際の入り口としても使えます。

レファレンスブックという概念

 図書館に行かれた際、「禁帯出」となっている本を見たことはありませんか。図鑑や事典など、貸し出し不可となっている本のことです。
 そうした本はなぜ「禁帯出」となっているのでしょう?
 大きいから? 重いから?
 違います。これらの本が、知識の入り口として重要視されているからです。
 事典や図版、または本を検索するための本などのことを、レファレンスブック(レファレンス本)などと言います。知りたい情報のドアを提示してくれるこれらの本は、調べ物の最初の一歩となる本なので、図書館としても貸し出すことができないのです。
 すなわち、レファレンスサービスを諸般の事情で受けられない(たとえば極度の引っ込み思案であるとか)方は、それら禁帯出のレファレンス本に目を通し、そこを足がかりに知識を深めていくことができる寸法です。

 ちなみに、先にご紹介したレファレンス協同データベースには、優れたレファレンス本を教えてくれという身も蓋もないレファレンス事例が寄せられています。

https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000102174

 何から調べたらいいか分からない!
 そんなあなたは、地域の大きな図書館へGO! です。

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