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駄目人間が書きたいのです

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 これまで色んなものを書いてきたわたしこと谷津は、「駄目人間を書く」ことにこだわってきた観があるなあと思っています。
 いや、よくないですか、駄目人間。
 こう言っちゃアレですが、わたしもあなたもある一面においては駄目人間です。えっ? 「俺は完全無欠のスーパーマンだ」? ああ、そういうことを言っちゃうあたり、人格面で駄目人間ですねえ。「駄目」というレッテル、あるいは称号は、わりと任意に貼り付けることができるものなので、このそしり、あるいは誉れから逃げることのできる人はそうはいません。

 ところが、わたしの活動フィールドである歴史小説においてはなかなか書きづらいモチーフであったりします。
 歴史小説の登場人物には往々にして御子孫がおられます。そうした方からすれば、その人物の駄目っぷりを前面に出すことは「お前の母ちゃんデベソ」と罵るのと同義……とはいかないまでも、それくらいセンシティブなことです。また、歴史上の人物はある意味でアイドルのようなもので、その英雄性に惹かれているファンがいます。そうした方々を敵に回さない工夫も必要になります。
 わたしが絵師もの(広く芸道もの)を描いてきたのは、「駄目人間」を書くためでもあります。現代で言う芸術家は、現代の目から見てちょっと変であったり駄目であったほうが「それらしく」なるので、変人を書きたいあなたにはお勧めです……。

 とはいえ。

 確かに谷津は「芸道の谷津」のイメージが強くなりましたし、次の絵師ものはなにやるんですか? みたいなご質問をいただくことも増えました(実はネタは温めているものの、まだ本決まりのネタはありません)。でも、芸道ものにはどうしても芸道ものの”型”が存在するため、あまりこれだけに寄りかかってもいけないと思っています。
 そろそろ、歴史上の人物で、なおかつ駄目人間の面を出しても問題のない人物を探し出してゆかないとなあと感じています。

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