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1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑯結局、誰もが悪党なのだ

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 本作を書いている最中、わたしが強く感じたのは、「誰もが悪党なのだ」これにつきます。
 原典において割と善玉風に描かれている人物も結構深刻な前科持ちであったりしますし、悪玉と呼ばれている人々も、シチュエーションなどを考えてやると「こうなっちゃうのはしょうがないよね」と思わざるを得ないだけのなにかがあります。
 もちろん、だからといって、彼/彼女らの行いが免罪されるわけではありませんけど、もし、自分が同じ時代で同じ立場にいたら、おそらく登場人物たちとそう変わらぬ行動をとっていたのだろうなあ、と思わされてしまいました。
 近世という時代に生きる人々は、現代のわれわれのように自由意志を行使できる存在ではありません。生まれや育ち、その他、様々な事情により自分の人生の幅が決められ、その中での行動を強いられていました。そこから自由になるためには、アウトローとなって流れてゆくほかない。でも、アウトローで居続けるにも力が要る。
 原典に登場する人々の多くは、そんな閉塞感の中、必死に何かにしがみついて生きているように思えてなりませんでした。
 そんな乾いた絶望感みたいなものが、拙作の核となっています。

 さて、これで『小説 西海屋騒動』関連のご紹介は最終回です。
 本作がより多くの方の手に届きますよう!

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