それさく文庫書影

第一稿という航海

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 今日、ある書き直しの仕事の第一稿が終わりました。

 実は、前回書いた際、かなり背骨の曲がった小説になってしまい、担当者さんとの打ち合わせがお葬式状態、「どうする?」と顔を見合わせた挙句、「再走します」と高らかに宣言して今に至っている次第です。というわけで、18万文字ほど捨て、本日15万文字ほどの物語になりましたよ、というわけです。
 ぶっちゃけた話、書き直しなんて恥ずかしいことこの上ないわけで(うまい作家はそもそも書き直しなんかしなくとも一回目の時点でよい作品になっているはずで)、己の見通しの甘さに慄然としちゃう今日この頃ではあるのですが。
 でもまあ、第一稿ってなんだかんだで楽しいんですよね。
 第一稿は、いろんな意味で何が起こるかわからないんですよ。
 いうなれば、新航路を開拓するがごとき行為です。もちろん、ずっと凪の海で順調にゴールまで行けることもありますが、それだけではありません。ある時にはとんでもない嵐に会ったり、目的地から外れてしまったり(それはそれでいい場合もありますけど)、今乗っている船の出力では到底ゴールまでたどり着けないことがわかってしまったり、一度ゴールまで行ったはいいけど積み荷をなくしてしまったり……。一回として同じ航海はありません。
 これを「だから辛いんです」と言うか、それとも「だから楽しいんです」と言うかは人次第かもしれません。けれど、わたしは第一稿の博打感が大変好きです。この第一稿での航海如何で第二稿以降で楽できるかどうかが決まってきますし……。

 ちなみに今回の航海は、「ルートは開発できたものの改善の余地は大いにあり。第二稿以降の奮闘に期待する」。船長の谷津からは以上です。

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