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1/26、本日『小説 西海屋騒動』(二見書房)発売日です

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 本日が発売日です、ひゃっはー!
 といいつつ、数日前から店頭に並べてくださっている書店さんもちらほらあるのであんまり発売日という感じはしませんが、それにしても発売日はどきどきします。

 そして発売日、谷津はあることに気づいてしまったんですぜ。

 今、落語ブームのただ中です。
 もちろん出版もそのブームに目をつけないわけはなく、有名演目の解説書なんかも出回っていますし、落語をネタにした小説作品なども数多く出回っています。そんな中、「西海屋騒動」「唐土模様倭粋子」関連はわたしの本を除いてゼロ……、これはすごい。
 実際、あまり高座でかからない作品らしいとは伺っていたのですが、これだと今後、「あれ、落語に西海屋騒動ってあるけど、どんな話なんだ?」となったとき、わたしの本が参照されてしまう!

 つまり、売り方として、「あの有名な演目を小説化!」ではなく、「知る人ぞ知る名作を復活!」の売り文句が正しいことに気づいたわけです。

 というわけで、今日からちょっと売り方というか、説明の仕方を変えていこうと思ってますよ。

 本作は、いわゆる任侠ものです。
 任侠というと、国定忠治や清水次郎長など、主に講談の世界で扱われて現代に至っているジャンルですが、落語においてもテーマになっていた時期があるんですね。
 本作もこうした任侠と、江戸後期から流行していた水滸伝をドッキングさせたような作品になっています。世間のルールから外れた男たちが、自らがルールだといわんばかりに駆けずり回り、暴れ回る。そんな、ノワールな世界です。
 原典を読んだわたしも楽しく読めたんですよ。「どうしてこうなるの!」「なんでお前はこういうことをしちゃうかな!」とツッコミを入れながら、ヤバい思考回路の中にある登場人物たちに魅せられたわたしがいました。
 でも、本作を現代人の読む時代小説に仕立てるには、いくつかの工夫が必要なのもまた事実でした。心象風景が一切描かれず、行動や発言のみが描かれている原典に、無軌道にしか生きられない人間たちの「あはれ」を見出す、それが本作を書くに当たりわたしが行なった作為といえましょう。

 その結果、何が生まれたか――。
 大江戸ノワールです。

 何を隠そう、わたしは江戸ノワール『奇説無惨絵条々』(文藝春秋)を書いたこともあり、こういうの大好きなんです。そんなわけで、げっへっへ、と変な笑い声を上げて書き進めたテキストです。
 本作、とてつもなく暗い噺なのですが、もしかすると、ヤバい人たちを主人公にしたブラックユーモア的な受け取られ方をしていた噺だったのかもなあという気もしています。
 とはいえ――。
 現代風の江戸ノワールとなりました本作、なにとぞよろしくお願いいたします。

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