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1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑤女の話

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 本作には「女」が多数登場します。
 皆、登場人物の妻や恋人という位置づけで現われているのは原作に準拠したからですが、それにしても、原作に出てくる女たちは、時に男たちよりもどぎつい色彩をでもって作品の中を飛び回っています。
 特に本作の中ですごい女といえば、「お蓮」でしょうか。
 この人物は本作『小説 西海屋騒動』主人公である理吉の憧れる、西海屋主人代行の慶蔵の妻に当たる人物です。しかし、この女がなんというか強烈です。「金簪のお蓮」なんていう二つ名を持っている上、作品の中ではすごくトリッキーな動きをする人物です。ぶっちゃけた話、原典ではもっと派手に動いているのですが、ちょっとこれはさすがに慶蔵を食いかねぬと思い、無理くり小説の形に落とし込んだという裏話も。
 そして、もう一人登場する重要な女が「お柳」でしょう。この人物は主人公理吉の思い人なのですが、この人物、前半のある場で行方知れずとなり、そのまま物語から姿を消します。その後、どうした運命の悪戯か、また理吉の前に現われるに至ります。そして、理吉の運命をよき方向へ導くかと思いきや……?

 えー、実を言いますと、この二人の人物造形については、特に手を入れています。特に、お柳については原典の人物像との間にかなり乖離があるんじゃないかと。
 このシリーズは古典落語を時代小説に仕立て直すというものです。そして、『西海屋騒動』は名作ではあるものの、あまり掛けられることがなくなってしまった演目であるといいます。そのため、明治期のノリが結構そのまま残っているように感じたのですね。
 もちろん、その色合いはある程度は残さねばなりません。けれど、2021年に読まれる時代小説であるということは、ある程度直感的に読めるように”翻訳”してやる必要があると判断し、現行の形としております。もし、実際はどうなんだということが知りたい方は、原典に当たって頂けますと幸いです。
 というか、読み比べて頂けると、谷津の意図なんかも見えるかも知れません。

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