捨てちゃいなシンド

頼むから自創作物の講評のためにプロのクリエイターに凸しないでくれ

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 実は結構告知したいことがたくさんあるのですが、そういうわけにいかない事情が出てきまして。

 ここのところ、Twitterアカウントを持っているプロのクリエイターに向け、自作の講評を頼んでくる人がいるそうなのです。いや、まさか本気でそんなことをやる方がいらっしゃるとは……。
 少し前、わたしはTwitterで「わたしには送ってくるなよ」と、やや腰の引けた物言いをしましたが、はっきり言いましょう。

 今すぐやめろ。

 例えばなんですけど、あなたが学生さんだとして、明日の試験の勉強中だとしますよね。ああ、このテストで30点以上取らないと留年確定、さあどうする、そんなタイミングの夜中二時。そんなとき、あなたのケータイが鳴ります。恐る恐る出てみると全く聞き覚えのない声、それもそのはず、電話口の向こうにいるのは同じ学校に通っているという赤の他人です。その人は、電話口の向こうからこんなことを言ってくるのです。
「ねえねえ、今度の試験範囲、どうなってるか教えて」

 ……正直、こいつのこと、埋めたくなりません? 正直わたしは埋めたくてしょうがありません。
 でも、プロのクリエイターに作品講評凸を行なうのは、これに近い行ないなのです。

 クリエイターの多くは締め切りに追われて活動しています。わたしの知り合いの作家さんの中には月間10本以上連載を抱えているなんていう方もいらっしゃいますが、そうした方はひと月当たり一冊の本ができるくらいの執筆をこなしつつ、ストーリーを練ってプロットを組んで、勉強をしているのです。
 それはさながら、試験勉強に追われる学生さんみたいなものです。毎回毎回、本が売れるかどうかで腹をしくしくさせながら、結果に一喜一憂しながら、それでも及第点を取るべく頑張っています。
 そう、クリエイターは暇そうに見えても忙しいのです。
 えっ? 「毎日noteを書いてるお前、相当暇そうやん」って?
 いや、これも仕事みたいなものなんで。クリエイターの仕事には、他の業態の方には理解しづらい業務もたくさんあります。他の皆さんには旅行のように見えても、ロケハンのためのものだったなんてことも結構あるわけです。ちなみにわたしのこのnoteは、自らの発信力を強化するという宣伝活動的な意味合いの強いものです。
 クリエイターは、ファンやクライアントに向けて自らの創作物を作り、その対価としてお金を得ています。極論してしまえば、「後進の育成」はクリエイターの主業務ではないのです。

 えっ? 中には後進の指導に当たるクリエイターさんもいる? はい、おっしゃる通りです。地域のカルチャーセンター、あるいは書店さんや学校などで小説を教えておられるクリエイターの方もたくさんいらっしゃいます(わたしもそうした場で小説の書き方を教えています)。けれど、そこまで分かっているのなら、逆に問いたい。
 なぜ、そうした場に行かない?
 そうした学校で教えておられるクリエイターの方は、自らの思惑やお考えの上で教鞭を執っています。でも、物を教えるというのはクリエイターの主業務ではないというのは先に書いた通り。こうした講座で講師をやっておられるクリエイターさんの多くは、あくまでその講義を開講することで想定される時間拘束と自らのクリエイティビティのバランスを取って教鞭を執られているはずです。講師業をなさっておられるクリエイターさんとて、時間外に見てくれなんて依頼に応えられるはずはありません。もちろん、地方にお住まいで受講しにくいという方もいらっしゃるでしょう。でも、最近では、動画配信などでどこでも受講できる講座なども開かれているらしいですよ。
 えっ、どこでやってるの? って? いや、調べればすぐに出てきますから、今すぐこんなページを見てないで検索検索ぅ!(古)
 自作品を見てくれるかどうかも分からないクリエイターに突撃するより、「やるよ!」と手を挙げてくれている方のところに頼まれた方が、はるかに読んでくれる確率は爆上がりだと思うのですが(名推理)。

 いや、なぜわたしがこんなことをつらつら書いているかというとですね、世に出るはずだったトップクリエイターの傑作が消滅したらどうするつもりなんだという怒りもあるのです。
 現在Twitterでは、様々な界隈のトップクリエイターが集結しています。中には、プロ作家の端くれのわたしも新作発表を楽しみにしている方もたくさんいらっしゃいます。そうした方に変に突撃が殺到した挙句、トップクリエイターの方が疲弊して作品が停止したら誰がケツ持つんでしょうね、とやさぐれた思いにもなります。

 もちろんあなたが未来のトップクリエイターになる可能性だってあるでしょうが――。
 いや、むしろ、そうした可能性があるからこそ。
 あまり、既存のクリエイターの時間泥棒になるようなことをして、各方面の心証を害するようなことはしない方がいいと思いますよ。どの業界も、広いようで狭いそうなので。

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